第33話 33
33
僕は高校二年生に進級した。
二年生のクラスは一年生からそのまま上がる感じでクラスメイトの変更はなかった。
と言う事は当然イブキと又同じと言う訳だ。
別に嫌ではないが僕も出来れば他の女子と仲良くしたいなと思うこの頃だ。
そして少し前の出来事になるがイベントでバーコードとえんぴつを呼んだ奴が居たのだが、残念ながら呼ぶよう提案をしたのがイブキだった事が分かった。
前に見た記憶が忘れられなくて思わず提案してしまったとの事だった。さらに運が悪い事にスタッフは良く調べもせずにそのままオファーを出したの事だった。
スタッフ及びイブキは僕に謝って来たのだが、僕は今さら怒る事が出来ないので今後気をつけるようにとだけ伝えた。
ヘタレな自分に少し嫌気が指したがここは大人の対応と言う事で自分を納得させた。
高校二年生になり僕は今後の進路を少しだけど真剣に考えるようになった。
現在アルバイトではリョー様として活動していて、貯金と言っても良いか分からないがタコショッピングモールアプリのポイントが凄い桁になっている。
父さんも知っていて「あまり無駄遣いするなよ」とは言われているが、無駄遣いで減るような桁ではない。
ポイントは3千万ポイントを超えているのだ。
高校1年の夏事から初めて9か月で3千万ポイントと言う事は、年収4千万くらいは軽く稼げるような気がする。
こうなってくるとお金を稼ぐための進学は少し考えものである。
父さんは大学に行き経済を学んだらしいが、僕は正直に勉強をしたくないのが本音だ。
なので大学進学をNGにしようと考えている。
そんな事を考えながら生活をしていると予期せぬ事が起きた。
テレビのコメンテーターがリョー様の治癒に言及し、リョー様の治癒は医療行為ではないだろうかと話したのだ。
ワイドショーのネタがないのか今までスルーしていた事に言及して来たのだ。
そのちょっとしたネタだったかもしれない事だったのだが、SNSでも語られるようになりそれは大きな波紋となり、実際のリョー様まで届くようになってきた。
僕達はこのままではマズイと言う事で緊急会議を行った。
そこで宗教団体オクトパス教祖
*
私の名前は
年齢は48歳でテレビでコメンテーターや司会をやらせてもらっている。
最近はテレビ離れが激しく視聴率がグングンと下降線をたどっているのが現状だ。
私はこれを少しでも改善したく、あまり足を踏み入れてはいけない領域へと手を出した。
それは宗教絡みの案件だ。
最近リョー様とか言う怪しげな奴が出て来たので世間の動向を見ながら粉を掛けた。
世間も興味があるらしく私の想像よりもヒートアップし始めた。
私はここぞとばかりに回りのコメンテーターを煽りリョー様に駄目だしをテレビで言いまくった。
その結果なんと今までダンマリだったリョー様達が記者会見を行うと言うではないか。
当然私もイチ記者いやコメンテーターとして参加する予定だ。
もしリョー様の化けの皮が剥がれでもしたら私は時の人にのし上がれるかもしれない。
私はワクワクしながらその時を待つのであった。
*
ホテルの大広間に大勢の記者やリポーターなどがひしめき合う。
その大広間の上座に長机がありその上にはマイクと多数のボイスレコーダーが置いてある。
僕と
「リョー様、今回は初めて公の場で話す事になるから慎重に」
「ええ、落ち着いてゆっくり話します」
僕は
「
声を掛けて来たのがイブキだ。
僕を心配してここまで駆けつけて来たのだ。
僕としては嬉しいのだが以前失敗した事があるので少し不安だが、誰もいないよりは良いと思い答える。
「イブキ頼むよ。ミスは致命的になるからね。まあ、致命的でも問題ないと言えば問題ないけどね」
「ははは、リョー様よ。それを言っては元も子もなくなるぞ」
僕はリョー様のいつもの衣装を再確認して立ち上がり声を掛ける。
「さあ、さっさと記者会見を終わらせて美味しいご飯でも食べに行こう」
「そうじゃな」
イブキはサングラスにマスク姿で会見の横から指示を出す予定なのでスタンバイに入る。
「行きましょう」
僕と先生は控室から出て会場へ歩き出す。
僕は覆面を被っているがそれでも心臓はバクバクだ。
当然
僕達は広間の扉を開けてもらい中に入ると一斉にフラッシュの嵐を浴びる。
僕達はまるで太陽の下にでもいるような明るさの中を歩き、上座にある椅子へと腰かける。
そして僕は覆面に新たな仕掛けをしてもらった事を実行する。
口はストローを咥えるだけの穴だったが、今回の為にチャックで口元を開くように改善してもらった。
口元が開くと同時にもフラッシュが焚かれるが、段々とその光景も時間と共に麻痺して来る。
そんな中で司会のお姉さんがマイクで話だす。
「それでは只今より宗教団体オクトパス主催による、リョー様の記者会見を始めたいと思います。最初に宗教団体オクトパス教祖
「今回はリョー様の起こす奇跡についての記者会見をさせて貰う。一部のメディアではリョー様の起こす奇跡が医療行為ではないかとの話が出ているが、それはメディアが視聴率を稼ぎたいだけの噂話にしか過ぎない。リョー様のは道具も何も使わずに依頼者を治癒しているのだ。これの何処が医療行為に当てはまるのかが知りたいものだ。今回は記者会見と言う形を取っているのでなんなりと質問に答えようと思う。以上」
「それでは早速質問タイムに入りたいと思いますので、順番にマイクで所属と名前を言ってから質問をお願いします」
司会のお姉さんが合い間を取り仕切る。
すると直ぐに女性記者から質問が入った。
「C新聞の田中です。初心的な質問なのですが奇跡と言っていますが、その奇跡はどこから来ているものなのですか?」
「リョー様に治癒の神であるイムホテプが降臨した事による奇跡だ。普通の人では成しえない事が出来る事を人は奇跡と呼ぶ」
「それでは動画ではニキビを治す際に事前に傷つけてから、その奇跡を使っているのですがそこが治すと言う行為に繋がるのでは?」
「確かに傷の治療が医療行為と言われるかもしれないが、医療行為とは医学に基づいて行われる行為とあるので、リョー様の奇跡は医療行為には当たらない」
「次は男性の方どうぞ」
司会のお姉さんが質問者を変える。
「テレビでコメンテーターをしている
「金に関してはリョー様に対する寄付と位置付けておる」
「そうですか、それでは少し話を変えてリョー様にお聞きします。あなたは誰なんですか?歳はいくつですか?答えられる範囲で答えて下さい」
等々僕に質問が飛んで来たので僕は答える。
当然見耳元のイヤホンからはイブキのアドバイスが通る。
「僕はリョー様と呼ばれている身体的男性の男です。年齢は言えませんが義務教育は終了しています」
僕は声の震えを押さえながら答える。
「驚きましたが、素直に答えてくれてありがとうと言いたいが、私が見る限り未成年である可能性があると言う事ですね。答えからすると15歳以上で20歳未満と取れますがいかがですか?」
「年齢は言えません」
「ほらっ!私の推測通りに未成年を使った新手の商法じゃないですか?」
この
僕はイブキの指示に従い少し相手の土俵で踊る事にする。
「商法ではないですが、あなたは僕達に何をさせたいのですか?ハッキリ言って下さい」
男はニヤリとして話す。
「そのペテン師のような行為を辞めるべきじゃないですか?それと身分を明かし医療行為について謝罪や法的な罰を受けるべきだと思います」
僕は
そして僕は席から立ち上がり口を開く。
「分かりました。只今、15時48分を持ちましてFCリョー様会を解散します。予約なされていた方々申し訳ありませんが、世間及びここにいるコメンテーターの
僕が言い放つと会場はドヨメク。
そして次に
「会見は以上だ。奇跡を有難く思わない連中にはうんざりだ!恨むなら世間とその男を恨め!」
会場を出る際に「ちょっと待って下さい」などの声を掛けられたが全て無視して歩き去ったのだった。
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