第31話 31

31


僕は東京から帰った翌日の朝早速皆をプールへと誘うべく携帯のグループメッセージに送信した。

このグループはリョー様のバイト仲間で作った物で、僕、イブキ、ヨウコ、ミチコの4人が入っている。

プールには高木たかぎ君も誘うがそれは後からで良いと思いメッセージを書き込む。


-


良太りょうた『父さんより名古屋最大のプール、ビックナイヤガラの優待券を貰ったのでみんなで遊びに行きませんか?』

イブキ『行く!出来れば二人で行きたいな』

ヨウコ『私も行く!二人で行きたいイブキは置いて行こう』

イブキ『そう言うヨウコを置いていく』

ミチコ『じゃあ私と良太りょうたで行ってくるね』


~くだらない女子のやり取りは割愛~


良太りょうた『皆で仲良く行こう。それと父さんより年上の保護者も同伴して欲しいと言われたけど誰かいる?』

ヨウコ『私お姉ちゃんがいるから聞いて見るね。ちなみにお姉ちゃんは高3だよ』

良太りょうた『ヨウコよろしくね』

ヨウコ『は~い』

ミチコ『私大学生のお兄ちゃんがいるからダメ元で聞いて見るよ』

良太りょうた『大学生がもし行ってくれるなら頼もしいね』

ミチコ『頼んでみる』


良太りょうたは知らない事だが良太りょうたが年上の保護者と言った瞬間にヨウコに姉や、ミチコに兄が出来た事は良太りょうたは知る由もなかった。


良太りょうた『ヨウコよろしくね。後、高木たかぎ君も連絡しておくね』

-

良太りょうた高木たかぎ君にメール送ったらOKもらった』

イブキ『男子二人に女子が三人ね。私当日休憩に摘まむお菓子とか持って行くね』

良太りょうた『イブキ気が利くねありがとう』

イブキ『彼女として当然よ』


この会話でヨウコとミチコのハラワタは煮えくり返っていたが、文字にはしないのだった。

その後、ヨウコの姉とミチコの兄のOKをメッセージで貰い、プールに行く事が正式に決定したのだ。


-


プール当日。

天気は快晴。蝉がこれでもかと言うくらいに鳴き声を上げ夏を知らせて来る。

僕達は最寄りの駅で待ち合わせをした。

ちなみにオクトパス教団が僕を駅まで送ってくれたのはありがたかった。

イブキは中学の時に被っていた麦わら帽子に水色のワンピースを着て来た。


「イブキとても似合っているよ」


「ありがとう良太りょうた良太りょうたも短パンにお洒落なTシャツなんて夏の男って感じがするわ」


「サンキュー」


そしてヨウコとミチコも到着した。二人共夏らしい服装をしていた。

後ろに見た事ない男女がいたので紹介をしてもらった。


「初めまして、ヨウコの姉の橋爪はしづめジュンナです。今日はよろしくね」


ヨウコの姉のジュンナさんはヨウコをさらに大人びた感じの黒髪ロング美人だ。

しかも、当然なのかもしれないがスタイルが超絶に良いのだ。正しく目のやり場に困るとはこういう事なのかと思った。

次に男性が声を掛けて来た。


「初めまして、ミチコの兄の遠藤えんどうカズヤです。今日は楽しもうな」


ミチコの兄のカズヤさんはイケメンだ。夏が似合う男のイケメンだ。彼がナンパをすれば100%女の子が着いてってしまうような気がする。僕は正直にうらやましいと思ってしまった。


良太りょうたです。お二人とも今日は保護者的な事をお願いしてすみません、今日はよろしくお願いします」


僕は軽くだが頭を下げた。

そして高木たかぎ君が到着した所でプールへと出発した。男性3人、女性4人の7人だ。女性の方が多いが丁度良い感じの人数に落ち着いた。


プールのチケット売り場はすでに長い行列が出来ていたが、僕達は優待券があるのでそのまま入口へと足を進めた。そして問題なく園内へと入る事が出来たが、園内の混みようもかなりの物で僕達は更衣室から出た時の待ち合わせ場所を決めて男女で別れた。

僕の水着は中学3年の時に買った物なので多少古い感じはするが、男物のトランクス水着はどれも似たような物なので僕は気にしない事にした。

最初に水着に着替えたのは高木たかぎ君で、黒と水色のトランクスなのだが僕は少し割れた腹筋を見て思わず声を掛けた。


高木たかぎ君腹筋凄いね、僕なんて全然だよ」


「中学の時にサッカーをやっていてねその時に鍛えたんだけど、高校は何もしていないからもうプニプニになって来たよ」


「そうだったんだ」


そこへ遠藤えんどうカズヤさんが僕と同じような黒色のトランクス水着を着て来たのだが、カズヤさんの腹筋はシックスパックと言うのかとにかく凄かったが、まだそれ程親しくないのでそのまま更衣室の外へ出た。

女性陣はまだ来ていないみたいなので僕は周りの人間観察を始めた。

家族連れも多いが男性だけや女性だけのグループもチラホラと見えた。

そんな時に声を掛けられた。


良太りょうたお待たせ」


最初に出て来たのはイブキだ。イブキの水着は上下別れたセパレータータイプの赤い水着で胸元には可愛いフリルが付いていた。少し子供っぽいがイブキらしい水着だった。


「イブキ水着似合っているよ」


「ありがとう」


それから残りの女性達が出て来た。ミチコは水色のワンピースタイプの水着だが着やせするタイプなのか中々のスタイルだ。

ヨウコは赤と白の柄のビキニで自分のスタイルの良さを発揮するような水着だ。

そしてヨウコの姉の橋爪はしづめジュンナさんは黒のビキニで、姉妹でスタイルが似るのか思わず目の保養と言ってしまうレベルだ。


「ヨウコもミチコも水着似合っているよ」


僕はイブキと同じような言葉を掛けた。トゲがないように。

二人共笑顔で返してくれたので僕達は荷物を置く場所を探しつつ園内をうろつき始めた。

このプールはいろいろなゾーンで別れていて、一般ゾーンは25メートルプールがあり、アスレチックゾーンにはアトラクションが用意されていて、流水ゾーンは流れるプールがありとまだ他にもある大型プールだ。

当然飲食をする場所もあるので一日楽しめる。


僕達は迷ったが流水ゾーンへ来た。

ここは浮き輪で浮かんでいれば一周回ってこれる感じのプールがあるので迷わないと思ったからだ。

浮き輪はレンタルがあり優待券を使えば格安で借りれるので、僕は人数分を借りる事にしたが保護者的なジュンナさんとカズヤさんはいらないとの事なので5人分を借りてみんなに渡した。

高木たかぎ君と保護者の二人以外には事前にリョー様で儲かってるから奢ると伝えてあったので、みんな笑顔で浮き輪を受け取ってくれた。


そして僕達は浮き輪に入り流れるプールへと飛び込んだのだった。

水は冷たく周りの人の声よりスピーカーから流れる音楽に耳を傾けながら流れているといきなり浮き輪が掴まれた。

僕が掴まれた方を見るとそれはイブキだった。


良太りょうたせっかく一緒に来たんだから一緒に流れようよ」


僕はイブキの唇を見て少し動揺したがにこやかに了承した。

イブキと一緒に流れていると高木たかぎ君達も合流してみんなで流れる事になり、僕達は水に流れるままに身を任せて会話を楽しんだのだった。

元の場所に戻るとカズヤさん達が荷物の番をしてくれていた。僕が礼を言い交代すると言ったがあくまでも保護者で来たから気にしなくて良いとの事だったので僕達は甘える事にした。


次に僕達はアスレチックゾーンへとやって来た。

ここも流れるぷーるがあるのだが、その近くには大型の水鉄砲やバケツ等々の遊具が設置してあり、流れている人を攻撃する事が出来るのだ。

そして流れるプールには注意事項の看板が大きく出ていて『水を掛けられる可能性あり、了承して入る事』とあった。

僕達は男性チームと女性チームに別れて遊ぶ事にした。

当然最初に僕達は攻撃に回った。

僕達は女性達が流れてくるのを先回りしながらいろんな遊具で攻撃を始めた。

最初は上から被せるバケツ、つづいてはドラム缶そして最後は水鉄砲だ。

僕は夢中になり水鉄砲で女性陣に攻撃を仕掛けたのだった。

攻守交替をする時にヨウコから「胸に水鉄砲が当たって痛かったから、後でマッサージしてね」とからかわれる場面もあったが、僕は華麗にスルーして切り抜けに成功した。


それからいろいろあったが僕達はレストハウスで食事をして午後の遊びの準備をする為に各々用意してから再度集合する事にした。

僕、イブキ、ヨウコ、ミチコの4人が最初に集まり高木君とカズヤさんとジュンナさんを待っている時に良からぬ連中が声を掛けて来た。

男一人に可愛い女性3人となれば少しは注目されるのか、頭を茶色に染めた男3人が声を掛けて来た。


「そんなダサイ男ほっておいて俺達と遊ばないか?」と。


僕は自分でもダサいとは思っているが他人から言われると腹が立つし、女性が危険となれば僕が前に立つしかないと思い声を上げようとしたが、僕以上に強い女性達が先に声を上げた。


ヨウコ「良太りょうたは見た目じゃないのよ!あなた達には分からないけどね!」


グサッ!僕の心臓に杭が打たれたような気がする。


ミチコ「顔の良しあしだけで男は決まりませんよ!」


ウゴッ!さらに僕の顔に杭が打たれた気がする。


イブキ「良太りょうたは…お金持ちだから、外見は関係ないわ!」


ウギャァー僕の右手に杭が打たれた気がする。

男達は女性達の言葉を聞いてドン引きし一言声を掛けて立ち去って行った。


「まあ、その、頑張れよ」と。



「俺、一人で休んでくるよ」


僕は女性達に声を掛けて歩いたのだが、当然女性達は後をついて来て「どうしたの?」とか「体調悪いの?」と声を掛けてくれたが、僕は「一人にしてくれ」とだけ言い足場やに脱出したのだ。

時間が経ち僕は多少復活したが、二度とたくさんの女性達と遊びには行かないと誓った。

こうして魔のプール事件は幕を閉じたのだった。

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