第29話 29
29
病室には私、
女性看護師二名とシグナルスキャン達は
落ち着いたところで男性医師がベッドの男性へと声を掛ける。
「足は動いたかもしれないが寝ていたせいで筋肉が落ちているのでリハビリが必要だね。これから頑張るように」
「はい、頑張ります!」
ベッドの男性は元気に答えた。
母親であり
私はここでの仕事はないなと思った時に
「
「ええ、構いません」
私が答えると
屋上では天気がいいのかたくさんのシーツが干してあり、まるで漫画の一ページのように風にシーツがなびいていた。
私達はシーツの間を通り柵越しまでくると
「
「やめてください
「確かにそうかもしれんが、リョー様が居なければ孫は一生ベッドの上か車いす生活だったかもしれないのだ。本当にありがとう」
「それで君が言っていた要望に加えてもう一つ褒美を出そうと思う」
「褒美ですか?」
「ああ、どうせ君がゆくゆく声を掛ける男を紹介しようと思ってな」
「それはどなたですか?」
「ははは、とぼけなくてもいいぞ。外務大臣の
「お手上げです。すでに読まれていましたか」
私は両手を上げて降参のポーズをする。
「人を対外から守るとなると国内だけでなく外からのアクセスも入るからな。考えなくてもわかるぞ」
「ええ、おっしゃる通りに警察庁トップの
私は頭を下げた。
「良い。しかし外務大臣の周りで怪我なんて話は聞いた事がないからそこは知らないぞ」
「
「おっ忘れておったわ。厚生労働省だったか」
「そうですが、それ以上は言うのは辞めて下さい。私捕まりたくはないので」
「安心しなさい。捕まりそうになったら一度だけ助けてやるから」
「それはありがたいですが、出来れば
「ははは、それもそうだな」
それから私と
*
僕が目を覚ますとそこは病室ではなく病院の処置室のような場所だった。
「起きたか
声を掛けて来たのは父さんだ。
「うん大丈夫。僕どのくらい寝てたの?」
「20分くらいだ。病室を出た後直ぐに寝始めたからな」
「そうなんだ。そう言えばあの男の人は治った?あんまり記憶がなくてさ」
「安心しろしっかり治ったみたいだぞ」
「良かった」
僕が起き上がろうとしたら直ぐに女性の看護師に留められた。
「ダメです。先生より2時間は安静にするように言われていますので」
僕は又ベッドへと体を戻した。
「
「うん、そうする」
「それじゃあ俺はいろいろと話があるから行くな」
父さんはそう言うと看護師に挨拶をして部屋から出て行った。
部屋には女性の看護師が一人残されたのだが、なんだか様子が変に感じた。
父さんが部屋から出て行くと扉の方へ行き耳を澄ましているのだ。
そして少し経った後になんだか怖い笑顔で僕の方へ近づいてきた。
「君があのリョー様だったんだ。ふふふ可愛い男の子だったのね」
「いっ一応高校一年生ですよ」
「と言う事は16歳くらいかな。私にとっては可愛いで通用するわ」
看護師はそう言いながら僕のベッドへ腰を下ろした。
僕はなんとなくヤバイ人だと思ったけど体がまだしんどいので逃げるのは無理だと思った。
かと言って大声で叫ぶのも男として恥ずかしいので口頭で対処しようと思った。
「なっ何が目的なんですか?」
「目的?そんなの決まっているじゃない。私も動画と同じように顔を綺麗にしてもらいたいわ。昔、海で焼き過ぎて化粧で隠しているけど染みが出来ちゃってるのよね」
「普通に受付をすれば順番が回ってくるんじゃないですか?」
「あら?ここにリョー様がいるのに待つ必要なんかないでしょ?」
「いや、僕疲れているし」
「動画では何十人?かそれ以上の患者をさばいていたでしょ?こんなシミ簡単に治せるんじゃない?」
「あっでも一応お金が必要かと…」
僕はなんとか話を延ばして逃げようと思う。
「私まだ看護師になって日が浅くてねお金なんてないのよ…だ、か、ら…ねっ、わかるでしょ」
女性看護師の手がするりと僕の胸へと滑り込んで来る。
僕は声を上げそうになったがそこは男として堪える。
「やっぱり16の体は触りごごちが良いわね」
女性看護師の手はだんだんと下がって行き、服の上から股間へとたどり着く。
「女は知ってるの?」
僕は首を左右に振る。
「ふふふ、若いから仕方ないわね」
そして女性看護師の手がズボンのベルトに掛かった瞬間に扉がガチャリと開いて初老の男性医師が入って来た。
女性看護師はサッとベッドから降りたがその様子をしっかりと見ていて声を上げた。
「何をやっているのかね」
「なっなんでもありません院長」
どうも初老の男性医師はこの病院の院長らしい。
「ここは私が見るから他へ行きなさい」
「はい、失礼します」
女性看護師が院長の横を通り過ぎる時にバシッと院長が女性看護師の尻を叩いた。
女性看護師は逃げる様に部屋から出て行った。
「まったく最近の若い奴は何を考えて居るやら…」
院長はため息をつきながら僕のベッドの脇にある椅子に腰かけた。
「大丈夫かね?何かされたか?」
「いえ、なんとかセーフです」
「ははは、セーフか。もう少し遅い方が楽しめたかな?」
「けっ結構です」
「冗談はこれくらいにしてすまなかったね、一応あれでもかなり優秀でね、学校の成績もトップだった子なんだ。許してやってくれ」
院長はそう言うと頭を下げた。
「だっ大丈夫です、セーフでしたから」
「そうか、ありがとう。それで話は変わるのだが君は金持ちにはなりたくないかね?」
僕は唐突な院長の問いにどう答えようか考えるのだった。
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