第25話 25
25
私の名前は
土曜日に
日が暮れてきたころ私は疲れを癒す為にソファーでぐったりとしている時にある女から声を掛けられた。
「こんな所で何やってるのよイブキ」
茶色い髪を可愛いタコのピン止めで止めたミチコが声を掛けて来た。
「一日お世話をしてたから休憩しているのよ。悪い?」
「悪くはないわ。暇人には良いお仕事じゃないの?」
ミチコは少しバカにするような言葉を掛けて来る。
「あなたは何をやっているのよ!時間がある時にはお手伝いとかをする決まりでしょ!」
私は睨みながら叫ぶ。
「私は私の役目を果たしていたのよ」
「役目?」
「そうよ。リョー様とお話をすると言う役目よ」
ミチコが得意げな顔で言い放つ。
「っ!りょっ!
「さあ?どうかしらね。イブキがどう言う態度でリョー様に接しているか、自分で自分の胸に聞いて見たら?あっない胸に聞いても駄目だけどね。忙しいから又ね」
「ちょっと待ちなさいよ!」
私の声が届かない振りをしているのかミチコは足早に去っていった。
どう言う意味よ!
リョー様に対する態度って…それよりミチコがリョー様とお話をしていたって…
私はそこでハッと気づく。
この強気の態度がまずいのでは?
最近なんとなく
私が彼女の座と言うのにあぐらをかいているのかもしれない。
これは少し考え方や態度を改めないとヤバイ結果になるかも…。
私は今一度考え直すのだった。
*
俺の名前は
いや、ただのジャーナリストではない。
自分で言うのもどうかと思うがターゲットの弱点の写真もしくは動画を撮影し、ターゲットにコンタクトを取りその弱点を高額で買い取ってもらう事を
そして最近気になっている動画がある。
リョー様と言う怪しい奴だ。
手を触れるだけで傷を治すと言う怪しげな術を使う奴だ。
裏では宗教団体オクトパスがいる事は明確だ。
今度こそはこの手の輩の裏を暴いてやろうと思う。
少しいや…かなり前になるが俺と同じような仕事をしている奴が、病気占いのシグナルスキャンに粉を掛けた奴がいた。
しかし、そいつは俺達の前に戻る事はなかった。
恐らくだが消されたのだと思う。
今回の山はそれと同様かそれ以上になると想定される。なので俺一人では荷が重いと思うので裏の社会のゴミを使用しようと考えている。
都内某所、俺は組事務所に来ていた。
この組事務所は他の事務所からの下請けの様なガラの悪い連中の集まりだ。いや、肥溜めと言ったところか。
俺はスキンヘッドの
「お世話になっております陣野さん」
「おう、
「今回の依頼は少しヤバメの依頼なんですが、実は最近話題に上がっているリョー様ってご存じですか?」
「ああ知っている。傷を治す訳の分からない奴だろ?」
「そうです。そのリョー様って奴を狙おうと思っているんですが手を貸してもらえませんか?」
スキンヘッドの陣野が腕を組んで考え込んでから口を開く。
「無理だな。やめた方がいい」
俺は予想外の答えに口を開けて驚いていると陣野が訳を話し始めた。
「まず第一に裏で宗教団体オクトパスがいる事は分かっていると思うがこの教団はヤバイ。人を消す事をなんとも思っていない連中がいる事は有名だからだ」
「確かにそう言う噂も聞きますがそんなにヤバイ連中なんですか?」
「ああ、関わりたくない連中だな」
「じゃあ手を貸してもらえないと言う事ですか?」
すると再度スキンヘッドの陣野が腕を組んで考え込んでから口を開く。
「監視と言う面では手を貸せる事が出来るがそこまでだ」
俺はハァーとため息を吐いてから答えた。
「それなら結構です。自分でなんとかします」
「そうか…
「なんですか?」
「俺がこんな事を言うのもなんだが、金の大きさと自分の命を天秤に掛けて行動しろよ」
「ありがとう、肝に銘じておくよ」
俺はそう言いながら立ち上がり事務所を後にしたのだった。
俺は街を歩きながら思う。
どいつもこいつも俺の思い通りに動きやがらねぇ…。しょうがねえ、今回は俺も腹をくくって飛び込んで見るか。
この日一人の男がリョー様の正体を暴くべく立ち上がったのだ。
-
俺は直ぐに名古屋へと飛んだ。
リョー様がいる場所へ。
リョー様が住む場所は恐らく宗教団体オクトパス教団の施設内だと思うが流石にここに立ち入るのは俺も無理があると踏んだ。
なので俺はリョー様が治癒営業をする場所を会員登録した人から情報を貰い待ち伏せる事にした。
待つ事しばし一台の黒塗りのワンボックスカーが現場に到着した。
中からは想定通りにリョー様らしき、恐らく男性が降りて来た。
周りにはボディーガードが張り付いていて近寄る事は出来ない。
当然俺も近づかずに遠くから眺めるだけだ。俺が知りたいのはリョー様の治癒が本当かどうかではなく、リョー様は誰かと言う事が知りたいのだ。
俺はリョー様が治癒の営業が終わるのをじっと待ち続けた。
しばし待つと行きと同様にボディーガードに囲まれてリョー様がワンボックスカーへと乗り込むのが分かった。
しばらくするとワンボックスカーが発進したので、俺は用意していた二輪のバイクに乗り込み跡を追う。
車だと追跡が難しいがバイクなら小道に入られても追えるし、さらにもしもの時は逃げれると言う利点があるのだ。
ワンボックスカーが県道から市道へと道を変え走るとだんだんと人気と言うより民家が少ない道へと入って来た。
俺はこの時点で気づくべきだった。
そして信号のない交差点に差し掛かった時にワンボックスカーが一旦停止した。
恐らくこちら側が一旦停止なのかと思った瞬間に強い力が俺の左腕脇腹に掛かり、俺はバイクに座ったまま地面へと放りだされた。
俺は地面に倒れながらもフルフェイスのマスク越しにチラリと横を見ると、覆面を被った数人の人間が俺のバイクを取り囲んでいたのだ。
俺は逃げると言う選択肢がないまま俺は覆面の奴らに捕まったのだった。
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