第21話 21

21


息子の良太りょうたの話に一区切りついたのか、皆お茶や菓子に手を付けながら雑談をしていた。

俺もゆうこや良太りょうたと先ほどの話で何かないかなどの話をして問題なさそうなのでここで閉める事にした。


「それじゃあ今日の話合いはここまでとして、もしなんら問題が発生したら隠さずに直ぐに報告なり連絡をしてほしい。時が早ければ早いほど問題解決の時間が取れるからよろしく頼む」


俺の話が終わると皆立ち上がり帰ろうとするなかイブキが良太りょうたへと話しかけていた。


良太りょうた今日はお疲れ様。この間言っていた誕生日会の事なんだけど後で少し話せる?」


「あっ今でもいいよ。もう何も話す事ないし、家族の話なら夜にでも出来るからね」


「それじゃあ誕生日会に必用な物を注文しちゃおうか」


僕はイブキの提案に乗ってスマホのタコショッピングモールのアプリを開いて、欲しいものとか誕生日会に必用な物を購入するのだった。

その後イブキは一人で自宅へと帰って行った。


-


俺は話合いの夜にベッドの中でゆうこと話をしていた。


「あれで良かったのかな…」


「ケンちゃんどうしたの?弱気になっちゃって」


「いや…あんな力を使っていたら良太りょうたの体がボロボロになるのではないかと思ったんだが、あの良太りょうたのキラキラした目を見るとダメとは言い出せなかったんだ」


「でもさ、良太りょうた良太りょうたなりの考えでやっているんだから、もし助けが必要な時は助けてあげればいいんじゃない?」


「ゆうこの言う通りだな。俺も良太りょうたに腰を治してもらったんだから我がままは言えないな」


「ふふふ、そうよ良太りょうたじゃなくてリョー様のおかげで、私は楽しい夫婦生活が出来るんだから幸せよ」


ゆうこはそういいながら俺の首に手を回して抱き着いてきた。


「おいおい、昨日も愛し合っただろ?」


「昨日は昨日よ。今日には関係ないでしょ」


俺はヤレヤレと思いながら夜は深まって行った。


*


話し合いの後、教団に帰った笑顔えがお万歳まんさいは直ぐにリョー様護衛計画を幹部と共に立案した。

オクトパス教団内にいる時は流石に中には入れないので外で待機になるが、移動時のフォーメーションや連絡をいかにスムーズに行うかが話合われ、イヤホンマイクによる相互通信で護衛をする事に決めたのだった。


そして笑顔えがお万歳まんさいは携帯電話を取り出しいつも掛ける番号へと発信した。

電話に出た男性は昔は優しい声をしていたが、現在は歳を取ったせいなのか太い声に変わっていて少しの違和感を覚えるが今日の報告を行った。


「それは一度会って話さないといけないね。私の方から直接連絡するのでそちらは護衛の方をお願いしますね」


そうして電話は切れた。

笑顔えがお万歳まんさいは携帯電話見ながら思った。便利な世の中だがいつでも電話で連絡が取れてしまう時代はどうなのかなと呟くのだぅた。


*


宗教団体オクトパス 教祖 たこ海海かいかいは教団に戻ると直ぐに幹部を集めて会議を行った。

議題はたくさんある為に順番に処理していく事にした。


幹部A「最初にリョー様の護衛の件ですが我が方の護衛に加え一生笑顔スマイリー教の護衛が付く事になります。よってリョー様の予定表を渡す事になりますが意義意見はありますか」


幹部B「どう言う経緯でそう言う事になったんですか?」


幹部A「リョー様の父上であるシグナルスキャン殿からの依頼です」


幹部達は答えに納得したのかそれ以上は声を上げなかった。


幹部A「続いてはリョー様のお布施についてです。現在リョー様には現金とポイントとして渡していますが、その他に通帳を作成し現金を入金せよとの依頼がありました」


幹部C「銀行なら我々の教団が管理しているタコアイアイ銀行で良いのじゃないか?」


幹部B「確かにあそこなら我々が管理する事は容易だ」


幹部A「それではタコアイアイ銀行にリョー様の口座を作る事にします。続いてなのですがリョー様の父上つまりシグナルスキャンよりリョー様を使っての信者集めは辞めて欲しいとの依頼がありました。もし人だけを集めたいのなら歌手等芸能人がやっているようなファンクラブなどの会をとの話です」


たこ海海かいかい「その話なんだが私からの意見を言わせてもらう」


幹部達が考えるより早くたこが話に割り込んだ。


たこ海海かいかい「私の計画では少し先にリョー様をオクトパス教とは切り離す事は既に思考してあった。今回それが少し早めに出たと言う事だけなので心配をする必要はない。それでどのようにするかと言えば会員制のファンクラブを作成しようと思う。当然ファンクラブにはランクがありブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナそして考案中だがミスリルを加えようと思う。内容は金額が違うのだがリョー様への謁見が速やかに行えるか、それとも順番待ちをするかなどで分けたいと思う。そしてファンクラブの名前なんだがリョー様を愛する会すなわち、リョー愛会はどうだろう。議論して欲しい」


たこ海海かいかいの言葉で議場は少しざわめいて流れは了承している物の、名前については少し異論があるようで後日改めて決定する事になり今回の会議はここまでとなった。


-


数日後改めて会議が開催された。

そこにはリョー様のクラスメイトのイブキ、ヨウコ、ミチコそして高木たかぎシンジが参加していた。


幹部A「それではリョー様のファンクラブの名称について話し合いたいと思います。前回海海かいかい先生よりリョー様を愛する会リョー愛会との意見がありましたので意見あればお願いします」


イブキ「リョーって呼び捨ては良くないわね」


ミチコ「同感ですね」


ヨウコ「リョー様なになにがいいんじゃない?」


イブキ「リョー様FCつまりファンクラブの略はどう?」


ミチコ「サッカーみたいだからボツ!」


イブキ「チッ!」


ヨウコ「リョー様心愛会はどう?」


イブキ「ファンクラブの名前としてどうかなって感じ」


ヨウコ「結構いい案だと思ったんだけど」


高木たかぎシンジ「リョー様なになににこだわらなくて、FCリョー様会でいいんじゃない?」


イブキとヨウコは顔を見合せて頷きイブキが口を開いた。


イブキ「ともていい案ね、FCリョー様会がいいわ」


幹部達もその動向を今持っていて頷いた。


幹部A「それではリョー様のファンクラブの名前は『FCリョー様会』とします」


そして会議は終了した。


*


その週の週末に良太りょうたの誕生日会が良太りょうたの家で行われた。

土曜日と言う事もあり両親共に仕事で不在の為、同級生だけでの開催となった。


相変わらずのイブキとヨウコとミチコによる良太りょうたの取り合いの様な事は起きたが、対した問題ではなく良太りょうたは終始笑顔で特に高木たかぎシンジと仲良く話すのだった。

そして14時頃に誕生日会は終了し、予定通り良太りょうたは宗教団体オクトパスへと向かった。

そこではリョー様のお布施金を入金する為の銀行口座の事務説明と、新しく決まったリョー様のファンクラブの事とそれに伴う新たな動画の撮影が行われた。


その動画は女性を中心にもの凄い勢いで拡散を始めたのだった。

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