第6話高校生Vtuberは親友とお泊まりする。

あのゲーム配信からもう一ヶ月。


毎日配信を続けた結果、

チャンネル登録者数は三十万を越した。


そのお陰で有名Vtuberも

僕の事を認知してくれていた。


だけど、僕は炎上が怖くてコラボは控えていた。

あの時の様になったらと思うんだ。


前の炎上にガソリンをかけた様な物になるだろう。

さらに、コラボした人にも危害が及ぶだろう。


結局は怖いのだ。

だが、やっとの怖さを知ってもこの界隈に来たのは僕。


責任は僕にある。


だから、僕は決めた。

百万人のチャンネル登録者を得よう。


目標を決めたから何かが今すぐ起きるわけではないが、

目標は大切だろう。






「今期の学級委員は投票の結果成内君になりました。」


その言葉が僕の頭に響いた。


今は確かホームルーム。

考え事をしすぎていた様だ。


いや、まてぇ!


なんで僕が学級委員になっているねん!


相方は誰ダァ?


確か、この学校は最初に選ばれた学級委員が相方を選ぶんだった。


僕を選んだのはぁ!?


「神楽 美里ぉ?」


神楽 美里。

彼女は神社の子で、中学からの親友だ。

神楽という通り、

神の様な笑み、

楽しく盛り上がる力、

などと祀られている。


何故こんな僕を選んだのだろう。

そんな事を考えても仕方ない。


そのあとは記憶がほぼなく、昼休みの時間になった。


僕はただ一人で菓子パンを食う。

その時、僕に話しかけてきた女がいた。


「成内くん。やあ、今日も一人で菓子パンでも食べてるのかい?悲しいねぇ」


イラッとくるその言葉、

こんな事を言うのはこいつしかいないだろ。

神楽だ。


「お前、よくそんな事言えんな、」


「だから、悲しいのは事実なんでしょ。

だから、この可愛い兼美少女の私が一緒に、

昼食を食べてあげてんの。」


自分の事をこいつは良く評価するが、それを否定出来ないのも事実。

神楽は可愛いからな、


「キモ、」


「お前、心を読めるのか、」


そういうと神楽は笑った。


「本当にキモい事考えてたんだー」


罠にハマった。

羞恥心が僕を襲う。


「まあいい。

で、何故お前は僕を学級委員に選んだんだ?」


「面白いから」


即答だったしかもしょうもない即答。


「そうか、まあいい責任は取ってくれるんだろうな?」


僕は神楽に少しだけ近づいた。


「取るわよ、変態。」


少し頬が紅潮しているように感じたが、多分勘違いだろう。


「変態って結構傷つくぞ」


「まあいいわ、じゃあ勉強がんば。」


そう言って神楽は逃げるように去っていった。









家に帰ってきた。

家に帰ってきても誰もいない。

僕はやる事済ませて、夕食の買い物に行った。


昼はいつも菓子パンで済ませている。

朝は生憎起きれないからだ。


だから、夕食だけはちゃんとしないとと思っている。

家の近くのスーパーで献立を考える。

考えている時に、特売品の生姜焼きに向いている肉が売っていたので、野菜やそう言うものを買って帰った。


丁度、お米が炊き終わるまで30分。

おかずを作るには丁度いい時間だ。


僕は買ってきた商品を机に出す、その時だった。

家の呼び鈴が鳴ったのだ。


誰だろう、そう思ってインターホンを覗くと、何処かで見たような顔の女がいた。


「何だ神楽、家出か?」


「とりま、開けてよぉ!」


神楽がいた、学生服を着た神楽が。


「いや怖いだろ、」


「開けてぇ!」


そんな感じの会話を繰り返していると、僕も妥協して、家に神楽を入れた。


「何だよ」


神楽はお構いなく靴を脱ぎ、

自らの家のように過ごし始める。


「事情を説明しろや」


僕が今度こそと、言うと、神楽は話し始めた。


「家帰ったらドアに、9時までいません。

美里はどうにかしたください。

というものが貼ってあったんだよ、」


「そうか、じゃあここで飯でも食べろ」


「いいの!?」


わかっていたかのような目でこっちを向く。


「ああ、」


今日は二日分の材料を買っていたから丁度いい。


「神楽、お前は座ってろ、邪魔だ。」


「酷くなぁい!?変態のくせにい、、」


「黙れ、飯作らんぞ!」


「へいへい」


そんな感じで会話を済ませて僕は生姜焼きを作る。


手際よく作業をこなしていくと、後ろに気配を感じた。


「何だ、神楽。」


背中にがっつく神楽。

腕が動かしづらかった。


「優斗って料理上手いんだね。」


呼び方が変わる。

「お前、呼び方変わったぞ」


「人前だとめんどいじゃん、だってさ家だよ。

誰もいないんだから硬い言い方じゃなくてよくね!」


「そうだな、美里、で、どけ。」


「えぇー」


「じゃあそこの食器棚から皿大小を二枚ずつ、

と茶碗をやっと出しとけ」


「はいはい」


そう言って神楽は皿を出す。

僕も丁度よくおかずを作り終わった。


二人で向き合って異様に大きい机で向き合って食べる。


結構我にしてはよく出来た方だ。


神楽が生姜焼きを口に運ぶ。

咀嚼音を立て、飲み込んだあと、神楽は言葉を発した。


「優斗って、変態じゃなくて、天才だったん?」


「ああ?」


「だから美味しいって事だよ!」


「そうか、ありがとな」


僕も口に自らの料理を運ぶ。


美味しかった。


そうやって二人で生姜焼きを食べてると、時間が長く経っていた。


外はもう真っ暗、七時半になっていたからだ。


その時、電話が鳴った。


「電話出てくるわ」


そう言って僕は電話の方に歩き、電話に出た。


『こんにちは、優斗くん。

私は神楽美里の母です。

そっちに美里はいますか?』


『はい。います。』


『じゃあ変わってはくれないかしら』


『はい、ちょっとだけお待ち下さい。』


そう言って美里を呼んだ。


『なに?お母さん、どうかしたの?』


『今日,予定が入っちゃって、家に帰れないの、だから

どこかに泊まってくれない?』


『分かった、お母さん、じゃあね』


『じゃあね、美里』


そう言って美里は電話を切った。


「どうするんだ?美里僕は別に泊めてやってもいいよ」


何故かそう言ってしまった。

そういうと美里はすぐにこっちを向いて、


「いいのぉ?!やった。でも変態と一つ屋根の下か、」


「泊めねえぞ、」


「ごめんね!」


そんな感じで僕は美里を家に泊まるわけになったのだ。


「服、どうしよう。」


美里が困った表情を浮かべる。


「あ、そうだ。」


僕はそう言ってクローゼット部屋にいく。

ここには母と父が揃えた服が多くある、

だが、ほぼ全て使った事ないものらしいが。


引き出しを見るとちゃんとパジャマがあった。


「美里!来い!」


そう叫ぶと美里が走ってきた。


「何ぃ!」


「ここから服選べ、」


「え、そういう趣味があったのね、」


「そんなわけないだろ!」



「焦ってんね、」


「じゃあ、お前はもう裸で寝ろ。」


「はいはい、分かったよー」


「僕は食器、洗ってるから、選んで風呂に入っとけ」


「ええ、きも、」


いかにもイラつく言葉を吐いてくる。


「別にお前の出汁など僕は堪能しない。」


「言い方からキモさを感じる。」


「そうか、入るな。」


「もーう、めんどくさいなぁー少しは遊ぼうよ」


「そうだねー」





こう言うテンションでめんどくさいことは済ませた。


今は夜9時。


風呂上がりの美里に僕は言った。


「ちょっとコンビニ行ってくるわ、

  なんか欲しいものあるか?」


「面倒見がいいね」


「いらんって、ことでいいか?」


「、うーんえーと、そうだ!

あれ買ってきてよ、酒が入ったチョコ。」


「犯罪を犯せと?」


「いや、平気でしょ。」


「そっか、じゃあ行ってくるわ」

そう言って家から出た。、






その時、家では。

美里が探検をしていた。


「優斗って凄いよね。」


人の家に入ったのは本当に久しく、懐かしかった。


「そうだー!優斗の部屋に、

ムフフな本があるか調べようじゃないか、」


そう言って私は優斗の部屋に入った。


大きなデスクトップパソコンに小型冷蔵庫、そこにベッド、本棚には教科書しか並んでない。


小型冷蔵庫を開けると、そこには大量のカフェイン。

こいつは寝てないのか、と思った。


ベッドの下を見ても本は見当たらず、ゴミ箱にも何の痕跡もなかった。


「くそぉ!!」


だが、ベッドの上には写真が飾ってあった。


幼い優斗とその両親。

あともう一人、黒髪のショートカットの可愛い女の子、

優斗との歳の差はほぼ無い。


もっと調べたいが、もうそろそろ優斗が帰ってくると思い、リビングに戻った。





「ただいま」


「おかえり」


目の前にはちょっと茶髪の美少女。

どこのアニメだろう。


「ちょっとニヤついたなぁ」


「そうかぁ、、、」


「そんなに落ち込まないでよ」


「ああ、そうか」


僕はリビングに買ってきた夜食を並べた。


「僕、お風呂に入ってくる。」


服を持って風呂場に行った。


今日は大変だった。

配信はしないでおこう。


服を脱いで鏡に向くと、首下の鎖骨に深い傷跡がある。

小学生の頃、飛行機に乗って、事故が起きた。

死亡者や負傷者は幸いすくない事故だったが、

妹の意識がなくなってしまった。

僕もこの傷が出来た。


妹にはいつも花を持って行ってるが、

それで何かが変わるのか?

でも、ああ。


涙が溢れてくる。

こんな毎日じゃ、笑ってられない。


だから。


「ねえー!チョコ早く食べたい!」


「ちょっと待ってろ」


「はい!!」







「このチョコレートって美味しいのか?」


「うん。すごく美味しい!」

 

その言葉の通り僕はそれを食べた。

普通のチョコだった。


そこからは意識が朦朧だった。


何か、分からない。


何か、、、、





























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僕の唯一の趣味、配信が大嫌いなクラスメイトのマドンナにバレてしまいました。 小説狸 @Bokeo

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