第12話 ドラゴンスレイヤー

ーー 冒険者としてドラゴンスレイヤーに


新たな国王が即位して落ち着きを取り戻したスーザン王国。

私は冒険者活動を再開することにした、未だ飛竜、火竜、風竜、水竜といった大物やリッチやバンパイアなどの有名どころを狩っていないからだ。

女神の五指などを引き連れて魔の森の奥地やダンジョンに挑む。


ー 魔の森の奥地



「セシル様この人数でドラゴンは倒せるのですか?」

女神の五指のカレンが尋ねる。

「あなた達は忘れたの、この間地竜倒したじゃないの。」

「あれは・・・そうですね。がんばります!」

分かってくれたようね。



光さへ届かないような森の奥に大きな暗い穴があった。

「これは何でしょうか?」

盾役のスメルが慎重に中を覗き込みながら呟く。

「多分ダンジョンよ。」

私が予想を口にすると皆が頷く。

「この辺で野営をして明日早く挑戦しましょう。カレン皆んなに役割を振ってね。」

「はい!セシル様。」

森の奥地とは思えないような料理や野営施設が出来上がる、周囲は結界で囲っている為匂いや音は漏れていない。

私は

「迷え!」

と唱えながら幻惑の魔法を周囲に掛ける、これで魔物も近づかないだろう。


今回引き連れてきたのは、女神の五指の5人のほか4パーティー20人と私にタロウの27人だ。

それぞれに適した武器や防具を新調し渡してある。


次の日朝早く準備を終えた私達は、2パーティーを入り口に置き、1階層に挑戦する。

中に入るとすぐに暗い洞窟が薄暗くになりそして薄明かりになる。

「これなら松明はいらないわね。でも影に注意してね、罠もあるかもしれないわ。」

と注意を促して奥へと進むとスケルトンが1体現れた。

「ラッキー、ここは死者のダンジョンね。2パーティーはスケルトン3体か別種2体まで進行し、入り口のパーティーと交代しながら攻略してね。」

と指示するとタロウと女神の五指を連れて駆け足にような速度で階層を進む。


2階層でスケルトン2対、3階層でスケルトンと腐食のスライムが出た。

4パーティーはこの辺りで訓練ね。と思いながら先を進む。


4階層でスケルトン3体かスケルトン2体とスライムが出始める。

5階層はスケルトンにゾンビ系が混じり始めるがまだ動きが遅い。


6〜8階層は数が増えるだけで特に問題はない。

9階層に来て初めてレイスが現れ始めた、浄化などの魔法を使わなければ倒すのが難しい相手だが、動き自体は鈍い。


10階層はボス部屋のあるフロアーボス階層だ、ボウス部屋に入ると言葉お話すレイスが親玉で10体のスケルトンやグールが周りに居た。

女神の五指が連携よく倒して行く。

「あッ!宝箱です。」

レイが嬉しそうに言いながら箱を開けると、剣が2振りに聖水が5瓶入っていた。

「コレがあるともっと簡単に倒せそうね。」

と言いながら奥の部屋の転移陣に登録をして入り口に戻る。


外に出ると陽が真上にあった。

「時間はどのくらい経ったのかしら?」

私が呟くとカレンが懐中時計を確認しながら

「1日と半というところです、セシル様」

「そう、ありがとう。」

ダンジョンは時間の流れが掴みにくい、いつの間にか疲労で戦えなくなることも多いと聞いていたが、コレなら納得ね。


「一旦休養を取って明日からまた挑戦よ。」

と声をかけて4パーティーに戦果を尋ねると

「問題ありません、明日からはもう少し下に向かいたいと考えています。」

というので宝箱から出た剣と聖水を手渡して

「無理はしないこといいわね。」

と念押しをする。


次の日は、転移陣を使い10階層の奥から11階層に向かう。

11階層から動きの速いグールや意志のあるレイスにコウモリが加わる。

順調に踏破する私たちの前に立ちはだかるようにバンパイアが出たのは20階層のボス部屋だった。

不死身のような身体を持つバンパイアと素早い動きをするゾンビウルフ。

女神の五指も苦戦をしているようだ、私が少し手助けをする。

「スキル封じ」

と唱えるとバンパイアは、攻撃を受けた際に体を霧に変えてノーダメージにするスキルが使えなくなり、レイの剣で切り裂かれて倒された。

「ありがとうございます、セシル様」

レイがお礼を言いながら現れた宝箱を開けると、スキル封じの腕輪が2つとポーションが5本入っていた。

私は

「あなた達はここまでの階層で訓練していなさいね、疲れたら戻ってくるのよ。」

と言いながら奥の部屋の転移陣に登録して入り口に戻る。

4パーティーがすでに戻ってきており、10階層ボスを倒したと報告した。

「順調ねそれなら10階層までの周回を5回繰り返したら次に進みなさい。」

と指示をした。

余裕を持って次に挑ませたかったのだ。


21階層からは強い魔物のアンデットが出始める、

「ドラゴンゾンビも可能性あるわね。」

私はウキウキしながら階層を進む。

30階層で念願のドラゴンゾンビのボスだ。

腐食のブレスを吐くドラゴンゾンビだが、私の結界を抜くのは不可能だった。

私が

「重力マシマシ」

「プレスでゴー!」

という適当な詠唱で重力魔法を発動し、ドラゴンゾンビをプレスして倒す。

宝箱はミスリル製の防具と剣それに収納鞄だった。

「これはみんなの励みになりそうなお宝ね。」

と思いながら転移陣に登録をして入り口に戻る。



多分次がダンジョンブスだな。と思いながら私は暇そうに付いてくるタロウに

「次はタロウが相手する?」

と聞けば

「俺はアンデットは嫌いだ、食えやしねえ!」

と答えた、そうなの食べれるかどうかなのね。


31階層に挑戦しゾンビ達の群れを蹴散らしながら進む、そしたら35階層で大きな扉が。

「あっ、コレがダンジョンボスの部屋か。」

中に入るとリッチが数体のレイスとスケルトン騎士を従えて立っていた。

するとリッチが突然長々とこのダンジョンに歴史を語り出した。

どうやら初めての冒険者に説明するのが決まりのようだ。

30分ほど語ったリッチは満足したのか、おもむろに攻撃をし始めた。

魔法が得意なだけあってリッチの攻撃は隙がないもので、普通の冒険者なら勝てる要素が少ないだろう。

しかし私に言わせればまだまだ甘いわ。

同じ魔法を打ち合えば、必ずリッチに攻撃が通る。

不死のリッチも心を折られ始め、3時間ほど叩きのめしていたら

「もう降参です。魔法でここまで負けては私の存在価値がありません。どうぞお通りください。」

と奥の部屋の扉を開けて下がった。


奥にはお宝と転移陣にさらに奥に部屋があった。

最奥の部屋にはダンジョンコアがありダンジョンの命であるコアを取ればダンジョンは死ぬのである。

しかしここは丁度いい訓練場のようなもの、コアをそのままに私達は出口に戻った。

宝箱の中身は、収納の腕輪、身代わりのネックレス、エリクサーが3つずつ入っていた。


私は他のパーティーに戦果を聞き次の段階の訓練を指示して暫くここで訓練することにした。

「タロウ貴方はこの森の奥にドラゴンがいないか確認してきて。」

と暇そうな彼に指示する、喜んで飛び出すタロウ。よほど暇だったのね。

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