第6話 自宅に帰還

ーー 自宅に帰ってきました。


「やっぱり自宅がいいわね。メグ、軽い食事を頼んできて。」

メイド見習いのメグに食事を頼むと私は、お風呂に入ることにした。

「ナターシャ、お風呂に入ってくるわね。」

メイドにそう言い残しお風呂場へ。

常時お湯が沸くお風呂は私の自慢でもある。

軽く体を洗い流すとゆっくりと湯船に身体を沈める。

「あっー。」

思わず声が出るほど気持ちいい。


お風呂から出ると着替えが用意されており、メグとナターシャ2人がかりで私の準備をしてくれる。


「先に食べてるぞ。」

タロウが待ちきれずに軽食を口にしていた。

「ごめんね、待たせたみたいで。」

「私もいただきます♪。」

料理長には私の過去の記憶の料理のレシピをかなり多く伝えている、今はそれをあれこれ試しながら再現しているところだ。

「今日のご飯は、卵料理ね。美味しいと料理長に伝えておいてね。」

とメイド長のセリーヌに言いながら今後の予定を、執事のセバスチャンに伝える。

執事はセバスチャンでなければいけないと私が無理を言って改名してもらった。


「では確認のため繰り返します。この後の予定は、魔道具の開発製造、女神の雫と噂され始めた化粧品の大量製造、新たな手法で作られた白パンの製造と普及、孤児院と平民用の学校、平民用の病院の設立でよろしいでしょうか?」

「ええいいわ、でもすぐに出来るものと出来ないものもあるし、伯爵にご協力頂くことも多いと思うの。連絡や必要な商会や職人の手配などお願いすると思うので頼むわね。」

「かしこまりました。」

ダンディーな執事はそう言うと仕事を始めた様だ。


私は隣のタロウに

「タロウも手伝ってね。資金は十分あるから素材の仕入れをお願いね。」

「素材の仕入れ?魔物を狩ってこいと言うことだろ。それと鉱石か。」

「そうよ、魔道具には質の良い魔石も必要よ。貴方しかできないでしょ。」

「そうだな、俺しかできないな。分かった、待っていろ。」

と言うと、タロウはすぐに森に出かけて行った。



ーー 便利な魔道具て何?



私が作業部屋に篭って3日後、

「やっと見本が5つずつ出来上がったよ。セバスチャン、商会を呼んで。」

と執事に指示をする、その後は汗を流してから食事だ。


ー 3時間後


メンデルの街の商会4つが我が家のリビングに集まった。

「これから見せるものは、私が開発した魔道具よ。ここにその設計図もあるわ、見本を見て必要と思われる商会は教えてね。」

と言いながら魔道具を見せて使い方やその効果を実践して見せた。


「この料理魔道具は素晴らしい。貴族や豪商には飛ぶ様に売れるでしょう。」

「この簡易のコンロと言う魔道具も素晴らしい、庶民や冒険者にもはやること間違いありません。」

「私はあのトイレに興味があります、それに井戸用のポンプですか?捻るだけでお湯や飲み水が出るなど信じられません。是非私の商会で扱わせてください。」

それぞれの商会が得意な分野の魔道具を先を争う様に扱わせて欲しいと言い出した。

「皆さんの希望はわかりました。まずは職人と魔石の確保が大事です。これから私が5人の職人を育てます、その職人がそれぞれ5人を育ててから本格的に魔道具販売となります。最初の頃の試作品や出来の良い物はあなた方や懇意にしている人に使ってもらい評判を上げておいてください。」

と言うとその日の会合は終了した。


「ご主人様、魔道具の紹介うまくいったご様子、おめでとうございます。」

セバスチャンがそう私を労った。

「そうね、上手くいったわ。それに魔道具以外にもベッドやソファーのスプリングに羽毛布団など多くの職人が携われる仕事が増えた様で良かった。」

私はそう言うと

「次の段階に入るわよ。職人の育成と魔道具や商品に必要な材料の調達と加工、どれも大切よ。手はず通り依頼をしてね、それとビブラン伯爵に話を通しておくわ。先触をお願いするわね。セバスチャン。」

と指示をした後、午後の食事を摂ることにした。



ー 意外な訪問者



食事をしているとメイド長が客人の訪問を知らせてきた。

「ここに誰かしら?客間にお通しして。」

訪問者を確認すると、スイフトお嬢様だった。

「スイフトお嬢様ごきげんよう。本日は何がご用でもありましたか?」

と問えば

「お友達に会うのに御用も何もいらないでしょ。」

と答えるお嬢様、そう言えばお友達になると答えたんだったわ。

「丁度良かったわ。近いうちに伯爵家に訪問する予定でしたの。今から紹介する商品の感想を教えてくださる。」

と言いながら寝室や調理場、洗面所にトイレそして浴場に案内すると。

「セシル様、これは何ですの?たっぷりのお湯が沸いているではありませんか。それに捻るだけでお湯や飲みにずが出る不思議なパイプ。ふかふかで雲の上の様な寝具に寝心地の良いベッド。どれも私が欲しいものばかりですわ。」

「喜んでいただいて私も嬉しいわ。あれらの商品をこのメンデルの街で製造販売する予定なの。」

と言うと

「素晴らしいお考えです。きっとお父様も大喜びいたします。私も協力しますので・・出来れば・・・あの・・ベッドと寝具を・・。」

「大丈夫ですわ、見本としてお届けする予定だったのですよ。お帰りに3つずつお届けしますわね。」

「本当ですか。嬉しいですセシル様。」

と大喜びのスイフトお嬢様に

「それとは別に新作のお菓子がありますの、試食してみてはどうですか?」

「是非に!」

と言うことで新作のスイーツを食べながらお茶をして、楽しいお話が佳境に入った頃。

「ご主人様!タロウ只今帰還しました。首尾は上々戦利品を確認してください。」

と言うタロウの言葉で中断、2人でタロウの元へ。

タロウは中庭にいた、そこには山の様な鉱石と魔石に魔物の貴重な素材が積まれていた。

「タロウ流石ね、しばらくは自由にしていいわ。新しいお菓子もあるしお酒もあるから好きなだけ飲んでね。」

といたわると大喜びで食糧庫に向かったタロウ。


「セシル様これらの貴重な素材であの魔道具が造られるのですか?それならかなりのお値段がしますね。伯爵家ではそこまで余裕はありません、残念です。」

と言うので

「何を言っているのスイフトお嬢様、伯爵家には見本で全てタダでお渡ししますし、街が潤えば当然伯爵家にもお金が回ってきますのよ。心配なさらずに。」

と答えて幾つかの商品と共にお嬢様を屋敷まで送り届けた。

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