第18話 初の序列戦

 入学式の翌日、俺は早々に授業を受けずに図書館にきていた。

 ニーナは負けたのが相当悔しかったようで、真面目に授業に行くことにしたらしい。

 この図書館は本当に豪華で、国の扱う図書館では王族貴族しか閲覧できないような本もこの学院に所属している人間ならば自由に読むことができるのである。

 流石に持ち出すことはできないが。

 俺は婚約者のニーナが王族だったこともあり、何度かは本を読めていたが、それでもほんの一部しか読めなかったため、そんな俺にとってはこの場所は天国に等しいのである。


 「ふぅ」


 首が疲れたために一旦顔をあげ時計を見てみると、もうすでに2時間が経過していた。

 周りを見てみると、数人の人間が同じく本を読んでいるが、大半は顔も見たことないな。おそらく上級生だろうな。

 俺が周りを」見回して周囲の人間を観察していると1人の見覚えのある顔と目が合った。……あれはたしか、ゼン・ディアスだったか。

 俺と目が合うと、ゼンは立ち上がり、こちらに歩き、話しかけてきた。


「やっと読み終わったかラウル・ローレン、集中しすぎだろ…。まあいいや。

 ラウル・ローレン、俺からお前に───序列戦を申し込む」


「ほう」


 思ったよりも早めにきたな。


「いいぞ、受けて立ってやるよ」







 ゼンからの決闘の申し込みを受けてから、俺らは2人で担任の教師のもとへと向かっていた。……あの教師の名前なんだったっけ。


「おいゼン、あの教師の名前はなんと言ったか」


「えーっと……なんだったっけ?」


 おいマジかこいつ。そのくらい覚えておいてほしいもんだぜ。


「おいなんだその『やれやれ、困ったやつだぜ』とでも言いそうな仕草は」


「ソンナコトナイヨー」


「いやあるやつやん」


 そんなことをしている間に、気づけば職員室についていた。


      ガラッ


 俺は扉を開けて入っていく。


「おいラウル、ノックとかは…」


「うるさいな、そんなもんはいいんだよ」


 本当にこいつは細かいなぁ全く。


「一年生のクラスの担任はいますかぁー」


 気づけば俺たちに全教員の視線が向いていたため、俺はそれをいいことに声を張り上げる。

 すると、一つの席から担任の教師が立ち上がり、近づいてきた。


「はぁ……お前らに常識がないのはもう最初からわかっている。が、最低限は弁えろ。…それで、なんのようだお前たち。」


「あ、僕たちで決闘やります」


 いきなり入ってきたゼンが言いやがった。…俺が言いたかったのに。


「そうか、手続きはしておいてやろう……観客がいるからな、緊張して情けない試合などはするなよ」


「はい、もちろんです」


 え?観客って?


「え?観客って?」


 あ、言っちゃった。


「……ラウル・ローレン、私は入学初日にしっかりと説明したはずだが」


「いや、知ってたさ」


「いや、絶対知らなかったじゃん」


 黙れゼン。


 そういうことですぐに話はまとまり、3日後に序列戦をすることになった。




「「あ、そういえば先生、名前なんでしたっけ?」」


「本当に言ってるのかお前ら……私はランだ」


「「よろしくお願いしまーす、ランせんせー」」


「はぁ……」





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