第15話 合格者発表
昨晩、与えられた部屋にて俺が休んでいると、部屋にニーナが訪ねてきた。
コンコンッ
「おう、入っていいぞー」
ノックをされたが、ニーナの気配だったため、何も違和感を抱くことなく、俺は入室を許可した。
ガチャ
ドアが開くと、なぜか少し興奮状態のニーナが入ってきた。
「どうしたニーナ、何か用か」
「えぇ、ラウル」
ふむ、それにしても、こんな夜中に本当になんのようだろうか。
明日は試験結果の発表だし、そろそろ眠る時間帯だと思うのだが。
そう思っていると、突然、ニーナが脱ぎ出した。
……は?
「おいニーナ、何をしてるんだ、たいしたようがないならさっさと自分の部屋に帰れ」
「いいえ、たいしたようよ、ラウル。もう…もう我慢できないの…」
そう言って近づいてきたニーナはゆっくりと俺の頬に手を当て、後ろのベッドに押し倒した─────。
本当に、男というものは、なんと、なんと愚かな生き物なのだろうかッッッ!!
…しばらくは大人しくしていたから忘れていたが、あいつ、そういえば見た目だけは抜群にいいんだった……。
「んーー」
ひどく後悔していると、俺の隣で寝ていたニーナが目を覚まし、細い目をこすりながら起き上がってきた。
「おはよう、ラウル……いい夜だったわね」
やかましいわッッ!クソッ、学院への入学を待たずして初夜を迎えてしまうとは……。
本当に昨日の自分を殴りたい。
「黙れニーナ、さっさと着替えて試験結果を見にいくぞ」
「もう、釣れないわね」
─────────────────────────
あの後もしつこく「もう一度ヤろう」などと誘惑してきたニーナからなんとかして逃れた俺は今、断られたことで少し不機嫌なニーナと共に、リグに流学院へと向かっている。
しかし、試験本番ではあまり派手な魔法などは見せなかったが……何位にされているかな。あの魔法の高度さを理解できるものは、おそらくリグニル学院の教師達と言っても、一握りだろう。
そんなこんなで歩いていくと、張り出された試験結果が見えてきた。
周囲にいる大量の受験生は、ほとんどが泣くか、無駄にプライドが高いであろう親たちに怒られている。
実はこれも、このリグニル学院の恒例であるらしい。
なんとも悪趣味な恒例だな……
「さて、俺らの順位はっと…」
そう呟きながら張り出されている紙を見てみると、
入試結果
1位 ラウル・ローレン
2位 ゼン・ディアス
3位 ゼノス・ブレイド
4位 リゼ・ミラー(学者部門)
5位 アサヒ・シノノメ
6位 ニーナ・ブローニ
7位 セイン・メイン
8位 アデン
9位 ムジナ
とあった。
俺の真横で「私が6位だなんておかしいわよ!」などとほざいているニーナは放っておいて、今年は学者部門から合格者が出たのか。
それにしてもこの「ミラー」という名字、なんだか聞き覚えがあるような……
あぁ、ジーニ王国の王族か。
ジーニ王国とは長年続いている伝統のある王国で、大きな特徴としては、国民と王族がエルフ族なことが挙げられる。
エルフ族とは非常に数が少ない長寿な種族で、魔法面において才能を持つものが多い。基本的に人間の社会に出てくるということはなく、自分たちの王国のある森林の中で静かに暮らしている。
そんな種族の王女が、この学院に入学するとは……面白いことになりそうだな。
それに加えて、平民からの合格者が2名とは……これも驚きだな。
魔法の才能は基本的に遺伝によるものが大きく、そのため魔法が得意な貴族たちは、貴族同士で子をなすことでここまでの繁栄を遂げたのである。
そんな社会の中、この学院に受かるほどの実力者が2人とは、今年の入試はよほど波乱が生きたのだろう。
まあ誰が相手になろうと、平気で蹴散らすのみだがな。
新生活への期待と、新しい環境への高揚感と、若干のニーナへの不安感を胸に抱いて、ここから、波乱の学院生活がスタートする。
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