第13話 入学試験2
剣と刀の衝突音が響く。ようやく今の状況を受け入れられたのか、他の奴らも戦い出した。そんな戦場の中を俺とサムライの女は縦横無尽に駆け回る。
「ハハッ、楽しいなァ女ァァ!」
「む、私の名前は旭だ!黙れ男!」
いや、男ゆうてますやん……
「そうか。俺はラウルという。よろしくな」
「ああ!」
この女、近接戦では圧倒的な剣技で詰めてくるし、距離をとってみれば斬撃を飛ばしてくる。
…流石に剣技のみの対戦では負けるか。
自分でも相当の実力を持っていると思っていたのだが、やはり世の中は広いものだ。
ズンッッ!!
俺が重力魔法を使用したことで、旭の周辺の重力が数百倍にも増す。
旭の立つ地面はひび割れるが、それでも旭は立っている
ふむ、これは予想外だな。まだ身体強化できるのか。
だがもう動くことは不可能なようだし、さっさと終わらせるか。
俺がゆっくりと近づいていき、首元を狙って剣を振り下ろすと、女の体は消えていく。
…しかし、なるほど。始め説明を聞いた時は仕組みがよくわからなかったが、死んだやつの体の時間を戻して擬似蘇生のようなものができるような設定されているのか。
「さて…他はどうなってるかなー」
周囲を見渡してみると、それぞれの場所でも決着がついているらしかった。
「しかし…あいつが負けるとはなぁ…」
ニーナがこのリングから消え、戦っていた男が立っていた。
…ふむ、あの男、相当強いとは思っていたが無傷でニーナに勝てるほどとは。
そんなことを思っていると、試験官から終了の合図が出された。
人数もだいぶ減ったし、この結果を元として試験結果を決めるらしい。
試験会場となっていた会場から俺が出ると、目元を
俺を見つけたらしいニーナはその顔のままこちらに走り寄り、急に俺に向かって謝り出した。
「ごめんなさい捨てないで…」
「…何を言ってるんだ?」
一体こいつは何をぐちぐち言っているんだろうか
「だって負けてあなたに恥をかかせてしまったし…」
はぁ…
「お前の敗北程度で俺の価値が霞むはずがないだろう。この程度でお前を捨てるわけもないしな。馬鹿にするにも大概にしろ」
「え…」
そもそもこの程度のことでこいつを捨てるはずがないだろう。
「それよりもお前は自分の試験結果を心配しろ。落ちたらお前のほざいていた学生生活なんて夢のまた夢だ」
「あ、それなら大丈夫よ、最悪資金の援助で脅して入るから」
「そ、そうか」
ほんとにこいつはなんなんだろうか……てか実力主義の学校どこにいったよ。
─────────────────
試験であの男に負けた時、目の前が真っ暗になった気がした。
───彼は弱いものに興味がないとわかっていたから。
あの化け物の件から私は本当に今までしたことのなかった努力というものをした。
なのに、あの男に大したダメージも与えられないまま負けて、リングから出されて、気づいたら呆然としたまま試験会場の出口の前にいた。
しばらく泣いていると、試験が終わったのか、彼が出てきた。
それを見た私は彼にしがみつき、「捨てないで」と懇願した。
てっきり拒絶されるかと思っていたが、「それよりも試験結果を気にしろ」と言われ、思わず私は驚いてしまった。
王女の私と次期公爵家当主であるラウルの泊まる宿ということもあり、宿は広々としていて、私たちそれぞれに豪華な部屋が与えられた。
試験結果の発表は1週間後ということなので、それまではラウルとの仲を深めようと思う。
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