第33話 努力の代償
ご飯を食べたあと、菊池さんからメールで謝罪の文章が送られてきたが別に義姉さんが家に来て迷惑なわけじゃないし今まで義姉さんから離れてた分義姉さんと一緒に居ないといけないと思った。
「義姉さん、仕事するって言ってもどこでするの? 俺の部屋か紅葉の部屋だった所しかないけど」
「吹雪の部屋でいいですよ。蒼井ちゃんに見られたらダメですが吹雪なら別に問題は無いので」
「でもなぁ……」
「もしかしていかがわしい物でも隠してあるのですか?」
別にいかがわしい物ではないが義姉さんに見られたくない物ではある。なんなら蒼井にも紅葉にも見せたくないものである。
「いかがわしい物は無いけど普通に見られたくないものがあるかな。隣は空いてるしそこで仕事したらいいよ、こっちには来ないでね?」
「いかがわしい物では無いのに隠すのですか?」
「色々あるんだよ」
何せ俺が隠そうとしてるのは部屋自体、ゴミで溢れてはいないが勉強の本が異常な程に積み上がっていてる。こんな俺でも誰かの役に立ちたい、そしていちばん迷惑をかけた人の役に立つ方法が仕事を手伝うことで今俺の部屋には社会に関しての本が数十冊もある。
何せ普通の会社じゃないので覚えることは多い、それに加えて俺は学校の勉強もしているので睡眠時間は少ない。一つだけ置いてあるゴミ袋の中身が全てエナジードリンクなのがその証拠だ。
こうなったのは自業自得だということは理解しているが勉強のせいで体調を崩したせば義姉さんは必ず俺の事を気にするだろうし、迷惑をかけてしまうので今日は休んでおこう。
蒼井は隣の部屋にいて義姉さんはリビングにいる。この部屋に入るなと2人には言っているので入ることはないだろうが中を見られるだけでまずいので見られる瞬間というのが俺が出入りする時だろう。
「けっこう無理したからなぁ、しばらくは休んでた方がいいのかな。でも本を片付けないといけないし」
俺は積み上げられた本達を眺めながら内心危機感を感じていた。今の俺ならブラック企業で働いている人の気持ちをわかる気がする、やってることは違くても努力量なら張り合えるレベルだと思う。
吹雪は勉強尽くしな上に綾乃から貰っているお金を遊びに使うわけにはいかないと言って遊びに行くこともしないので息抜きというものを知らない。今すぐにでも倒れてしまいそうなくらいなのに吹雪は休まない。高校生はまだ青春だとか言ってまだまだ遊ぶ時期なのに吹雪は遊ばない。
「たまには誰かを誘って遊びに……そんなことより寝た方がいいか。遊ぶのは日曜日でいいや、今日と土曜日は休まないと本当に倒れかねないし」
ご飯は食べたしとりあえず風呂でも入ろうかと思ったが電気が付いていたのでもう少しあとにしようと思う。それより洗濯カゴに服が入っていたのだがせめて下着などは服で隠してほしかった。
中に入ってるのが誰かは知らないがここが
俺はもう少しあとに入るとして着替えなどは勉強をするようになってから全て隣の部屋に移したのでとりあえず着替えだけでも取りにいこう。
「あれ、義姉さん蒼井は?」
「風呂に入るって言ってましたよ。今から入るつもりだったのでしたらもう少し待たないといけませんね」
「とりあえず着替えだけでも取っておく」
俺は自分の部屋に戻ったが最悪なことが判明してしまった。下着を見ること自体避けたいけど何より同級生の友達の下着を見てしまったことに焦りを感じている。
これで焦っていることが顔に出てバレにでもしたら絶対に嫌われるので忘れることにしよう、うん。
俺はこの時思うのだった、風呂に入っていたのが義姉さんだったらまだマシだったのに……と。
ちなみに青色でした。
「はぁ……もう少し警戒して欲しいものだけどねぇ。信用されてると思えば悪い気はしないけどこっちの気も考えて欲しいものだ」
俺は気にしないといえば嘘になるが他の男子と比べればまだ気にしない方だと思う。
しばらくして蒼井がリビングにいた俺に「何も言わず風呂に入っちゃってごめんね」と言ってきたので俺も風呂に入ることにしよう。
俺は持ってる服が少ないので風呂に上がったらいつも洗濯をするのだが今日に関してはわけが違いすぎる。
「義姉さん、悪いんだけど洗濯任せていい? さすがに今日はちょっと……」
「まぁ吹雪も男の子ですからね。今日の洗濯は任せてもいいですが、いずれ女性物の下着があっても洗濯しないといけない場面が来るかもしれませんよ?」
「何年後の話をしてるの?」
「なんで今何年後に誰かと同棲してるとわかるのですか? まぁ吹雪のことが好きな女の子がいますしね」
普通に嵌められたがまぁそれは昔からよくあったことなのでもう気にしなくなってきた。
「俺は疲れてるからもう寝るけど、義姉さんはあんまり遅くまで仕事しないでよ?」
「大丈夫です、もうすぐ終わりますし。これが終われば今週は自由ですっ!」
俺も一時期は仕事をしていたので仕事を早めに終わらせてその後に何も気にせず遊ぶというのが楽しいのはとても理解出来る。
「ん、俺を連れてってもいいからねー。おやすみ」
「おやすみなさい。それとお邪魔しました」
吹雪は余程疲れていたのか、蒼井をベットに寝かせて自分はソファーで寝るということを忘れていつも通りベットの中で眠りにつくのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます