第5話 チーム遊嬉宴楽
クラスメイト全員からのお前ら正気なのかという視線を全身で浴びながら四人は空き教室に集合した。本当に質問を考えてきた嬉色はメモを持って、無表情でワクワクしている。
「まず、楽、なぜそんなに髪が長いの?」
「確かに、あたしも気になる!」
「に、似合っているよね」
楽は髪の毛をいじりながら、へらりと答えた。
「伸ばしたら面白いかなって。色んな髪型でいられるし」
「髪で遊ぶのは考えたことないな。それも楽しそうだ」
「俺としては、宴の髪の方が気になるけど?」
突然楽から指名されて宴は自身を指さした。
「わ、私?」
「あたしも思っていたの!その前髪!」
「あ、あぁ、これ?」
宴は片目を隠す髪を触った。
「わ、話題になるかなって思ったの」
宴は恥ずかしそうに続けた。
「友達作りが苦手だから、少し奇抜な髪にすれば声をかけてもらえるかなって思ったんだけど、逆効果だった」
話題作りのためという意外であり、ぶっ飛んだ理由に三人は笑っていいのかわからなかった。恥ずかしがりながらも、真剣に宴はそう考えて、信じていたのだ。
「私も聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」
自分の話をするのに照れたのか、宴は控えめに首を傾げた。
「いいよ、いいよ!」
遊子が頷くと宴は嬉しそうに微笑んだ。
「あのね、みんな、絵を描くのは好き?」
「好きかって聞かれたら普通だけど、俺は画伯と呼ばれているぞ」
「おぉ、嬉色すげぇじゃん。俺はね、個性派アーティストって言われた」
「あたしは絵を描くの好きだよ!イラスト系だけど」
三人の答えに宴はウキウキとした様子でスケッチブックを取り出した。
「よかった、私ね、みんなでクロッキーやりたくて」
「いいじゃん!過酷ポーズ縛りとかやりたい!」
「そういうチャレンジ系は色々できるな。タイトルは英語でつけるとか」
嬉色はメモを始めた。魅力的なアイデアに目を輝かせた遊子は手を叩いた。
「じゃ、質問大会の続きをしますか!」
質問大会は趣味やら好きな食べ物やらとお見合いのような質問になっていき、その中から遊びの案もいくつか出た。かなり盛り上がってしまい、話をしているうちに気づけば、放課後勉強会終了時刻が過ぎていた。既に生徒達は携帯を返してもらっており、窓から下校する生徒が見えた。慌てた四人は揃って携帯を返してもらうために、職員室へと向かった。
「お前達四人か」
生活指導、
「コーンスープコーラ事件の栄山遊子と尾池嬉色、奇抜頭の品川宴と堂田楽、お前達四人がつるんでいたとは。このトラブルメーカー共め」
「え、俺らまだトラブル起こしていないですよ?」
楽は自身と宴を指さしながら反論するが、基目島はそれを無視して、携帯を渡すと早く出て行くように促した。
「俺達は善良なトラブルメーカーだと思うけど」
職員室から出たコーンスープコーラ事件主犯の嬉色は口を尖らせた。
「まぁまぁ、あれは、あたしらに非があるんだから。それよりも、早くグループ作ろ」
遊子はそんな嬉色の背中を叩いて携帯を見せた。
「ぐ、グループ名はどうするの?」
「案、ある人ぉ?」
楽が三人を見ると、嬉色が真顔のまま空に向かって高く手を挙げていた。
「はい、嬉色くーん」
楽に指名された嬉色は手を下し、先ほどまでのムッとした雰囲気からワクワクさせた雰囲気に切り替えて口を開いた。
「
「ゆーきえんらく?なによ、それ?」
「なに、何かの言葉?」
「私もわからない」
首を傾げる三人に嬉色の声色が得意げになった。
「四字熟語だよ。親しくなって、遊んだり、宴会を開いたり、ゆったりとした気持ちで楽しむこと。これ、凄いんだぜ?俺、天才だから。見ろよ、これ」
嬉色は嬉々として携帯の画面を三人に見せた。
「漢字だとこう書く」
「おぉ!俺らの名前じゃん」
「凄い!グループ感ある!」
「お、面白いね」
携帯の画面には『遊嬉宴楽』とあり、四人にはその文字が輝いて見えた。これが四角四面高校設立以来の愉快で異端、そして伝説の生徒達が生まれた瞬間だった。
《作者コメント》
どうも、小林六話です。新作の『遊嬉宴楽は誰でもできる!』は楽しんで頂けているでしょうか。今回は彼らを通して勉強と楽しさを融合させた友情物語を目指していますので、かなりの難関でございます。なんせ私自身勉強は得意分野ではありませんので。そのためいくら調べても自信はありません!信用せずご自身で調べて頂きたいレベルで自信ないです。もともとネガティブな性格でして、知識には本当に自信がないんです。そのため、間違っていたり、ちょっとん?って思ったらコメント等で教えて頂けると幸いです。
それでは、また私も《作者コメント》としてこれからもちょいちょい顔を出しますのでよろしくお願いいたします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます