IQ300のユスリカ
彼の名前は柚須=李下。ユスリカ界でその名を知らないものはいない。彼は神をも恐れるほどの天才であり、そのIQは、あのジョン・フォン・ノイマンと同等、300である。
しかし悲しきかな、ユスリカの寿命は短い。体だって脆いし、しかも小さい声でしか喋ることができない。おまけに、彼らは常に群れて行動しなければならない。そこで必要とされるのは、奇想的なアイデアや、優れた情報処理能力ではなく、ただ周りに合わせること、それが大切であり、全てなのだ。
ある日、彼は群れとはぐれてしまった。他のユスリカたちが彼のことを邪魔に思い、置いてけぼりにして、二度と群れと合流できないように仕向けたのだ。どうしようと彼がオロオロしていると、突然、強い風を感じた。不気味な音も聞こえてくる。それらは徐々に彼のほうへ近づいているようだ。
気が付いた時には手遅れだった。彼は後ろから走ってきた自動車にぶつかり、潰れ、ぺしゃんこになった。体からは黒い血が流れ、肉体はもはや原型を保っていない。
あぁ、悲しきかな。一人のユスリカが死んでしまった。
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