この世の果て

 男は 退屈そうな蛙に聞いた

 この世の果ては どこですか


 蛙は答えた 

 そんなものは

 有りはしないよ


 このまま歩いたところで

 何も無いから 無駄足だよ


 男は 草を頬張る羊に聞いた

 この世の果ては どこですか


 羊は答えた

 そのうち辿り着くんじゃ

 ないかしら


 だからもう少し

 歩いてみても いいんじゃない


 男は 空飛ぶ鷲に大声で聞いた

 この世の果ては どこですか


 鷲は 大きな翼をひるがえし

 体をすぼめて 急降下


 鷲は答えた

 あんたが止まった

 場所がそうだよ


 歩き続けるのも やめるのも

 あんた次第さ この世の果ては


 男は 帽子のつばに手をかけて

 挨拶とも言えないような 

 会釈をし


 力強い足取りで 

 果てへと向かって歩いて行った

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