ガトーショコラ

大学から 歩いて5分 

砂利道と 幻想的な新緑のブナ


その先に 蔦でドレスアップした

洋館ひとつ カフェハウス


午後のコマがない時は

ウェイターとして 人間観察 


決まった曜日の 決まった時間

小さな足音 黒髪の


うつむき加減で 店内へ

決まった座席に まず手を添える


木曜日の君

無口なお花に つけた名前


何のひねりも無いじゃないかと 

言う同僚に 

そうなんだよねと 笑って返す


いつもブラック 一杯だけ

つまらなさそうに 本を読んでる


思いきって お薦めしてみた

お店自慢の ガトーショコラ


さあどうぞ ごゆっくり


カカオの香りと 生クリーム

小さく崩して まずはひとくち


透明だった ガラスの瞳が

赤や黄色に きらきら輝く


え?


初めて見た 蕾が開いた

可愛い 可愛い どうしよう


ここは慌てず 距離感大事

ちょっと親しい ウェイターさん


まずはここから 始めてみよう



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