最強ぼっちのやり直し青春無双!!～二周目の学園生活では美少女の友だちができました！～

第23話 完勝!!

「ユーリさん元気すぎじゃない？」

『魔力を吸われてるだけで、害が無いんだろうなぁ』

『魔力を吸うために生かさず殺さず？』

『死んだらそれ以上は魔力取れないからなｗｗｗ』

『今すぐ危険が無いのは良かった……』

　コメントで言われているように、服だけを溶かすスライムが人間に害を及ぼすことは少ない。

　いや、服は溶かされるのだが……。

（ユーリさんが無事なら都合が良いかな。このまま秤の特訓相手になってもらおう）

　アホみたいなスライムだが、秤や桐華にとっては丁度いい強敵だ。

　唯人は下手に本気を出さずに、二人に合わせた技量でサポートすることを決める。

　抱き上げている秤が口を開いた。

「唯人さん、中心の球体がスライムの弱点ですよね？」

「そうだよ。あそこを攻撃できれば倒せるはず」

　スライムの中心には黄色い球体が浮かんでいる。

　それがスライムの核であり、弱点だ。

「桐華さん！　私が強力な魔法を使って球体を狙います。準備に時間がかかるので守ってもらえますか？」

「りょーかい！」

　じゅるん！

　スライムが触手を伸ばして、唯人たちに襲い掛かる。

　唯人はそれを避けながら、桐華の元へと秤を届けた。

「唯人さんはスライムの気を引いて貰えますか？　少しでも私たちに攻撃が来ないように」

「分かった」

「刀に魔法をかけておきますね」

　秤は杖を構えると、唯人の刀に向けた。

　駆動音と共に、唯人の刀に炎が宿る。

「これでスライムにも攻撃が効くはずです」

「ありがとう。出来る限り引っかき回してくるよ」

　唯人は走り出すと、スライムの体を切り裂きまくる。

　体の表面を裂いてるだけだが、スライムにとっては不快らしい。

　何本もの触手を伸ばして、唯人に迫る。

　しかし、唯人はするすると避けて捕まらない。

『避けるのうま⁉』

『すげー!!』

「一分ほどで魔法の準備はできます。それまで耐えてください」

「任せて！」

　唯人がおとりをしているおかげか、桐華たちには三本ほどの触手が襲い掛かるのみ。

　桐華はその攻撃を、剣や盾を使って見事にさばく。

「余裕だね――ってうわぁ⁉」

　じゅるじゅる!!

　スライムは小さな傷を付けるだけの唯人よりも、秤の方に脅威を感じたらしい。

　唯人への攻撃を止めて、秤たちに大量の触手を伸ばす。

『服溶かしチャンス!!ｗｗｗ』

『頑張れスライム!!』

『マジ最低』

『君ら特定するから』

『すいませんでした……』

「この数は無理かも！」

「手伝うよ」

　唯人は桐華の隣に駆けつける。

「今度はノーミスクリアを目指そうか」

「頑張って合わせるよ」

　多量の触手が迫る。

　ガンシューティングゲームの経験が活きたのか、桐華の動きに合わせやすい。

　お互いの隙や死角を潰すように、剣を振るう。

「準備できました！　撃ちます!!」

「お願い秤ちゃん!!」

　ズドン!!

　秤の杖先から赤い閃光がほとばしる。

　じゅるじゅるる!!

　しかし、スライムだって無策じゃない。

　体を集めて壁を作り、出来る限り球体を守ろうとする。

　そんなスライムの体を、閃光は貫いていく。

　球体まであと少し――。

「ッ⁉　届かないです!!」

　ほんの少し。

　閃光は球体の直前でかき消えた。

「任せて」

　ブン!!

　唯人は刀をぶん投げる。

　狙いはもちろん球体。

　秤が開けてくれた道を真っすぐ進み――球体を貫いた。

　プルン!!

　スライムは体を震わせると、キラキラと光を散らしながら消えていった。

「やったー!!　強敵を倒したぞー!!」

　桐華は秤と唯人の手を掴むと、バンザイと持ち上げた。