第7話  砂漠へ

「リザベータ!!」


「若長!駄目よ。私の前で、そんなに精霊の名前を呼ぶことは良くないことなのでしょう?」


 エリサがティランの口を塞ぐような仕草をしてきた。


「でも、彼女が僕の言う事を聞かないなんてあり得ません!!」


「落ち着いて、若長」


 ふわんと、地面が揺れてディナーレの街だった景色が砂漠になった。


「なんで……?」


「若長、アルテア王国には行かなかったのよ」


「手掛かりが無かったんですね」


 エリサは、頷く。


「そして、砂漠に大きな力を感じたんです」


「そう、そして砂嵐の中で、荒れたオアシス跡を見つけたわ。」


 エリサは、難なく砂嵐の中へ入って行った。

 ティランも後を追う。


「大きな力って何?」


「えっと……分かりません……ここで何が起きたのか……どうしてここへ来たのでしょう?」


「ここには、奥方様の手掛かりは無かったわ。大きな力を感じて保護をしただけよ」


「保護?」


「ええっ……火竜の子供がオアシスで眠っていたわ。それから……」


 エリサの発言を遮ってティランが言った。


「待って下さい! なぜあなたは、旅の結果を知っているのですか?今、旅をしているのに……?」


 エリサは、黙ってティランを見つめていた。

 おかしい……彼女は、こんなに大人しい女の子でもなかったはずた。

 そして、静かに言った。


「まだ、気がつきませんか? 若長」


 この不可思議な旅。


「あぁ、そうだ!!」


 ティランは、肝心なことを思い出した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る