第18話

「へー、つまりあの女の子はナンパからかばってあげてからなつかれたと」

「そういうことなんだけど…なんで不機嫌なんですか?先輩」


特に悪いことはしていないはずだし先輩に怒られる言われもないはず。

なのになぜかさっきから先輩は不機嫌になっている様子。

「あの子は名前呼びなのに私のことはずっと先輩呼びなんだ…。ふーん」

「あ、そういえば」

再開してからほとんど名前で呼んだ記憶がない。

というか一度も呼んでないのではないか?

「えーっと、名前で呼んだ方がいいですか…?」

「さぁ?自分の胸に手を当てて聞いてみたらいいんじゃないかな?私はもう知らないよ」

拗ねてしまわれた。

まぁ正直行って閃杯の言わんとするところはわかる。

仲が良かったはずの自分が名前で呼ばれないのに最近知り合ったという相手には名前呼びしてるからこそ疎外感を感じて不機嫌になっているのだろう。

とはいえども拗ね方が完全に小学生の頃と変わらないからついつい笑ってしまう。

「ちょっとなにわらってるの!?」

「いや、姫ちゃんの拗ね方が可愛いなーって思って」

「なっ……………!?」

自分の気恥ずかしさを棚に上げておいて先輩をからかう。

思っていた通りに先輩の顔は真っ赤になっている。言ってる僕でさえむず痒いんだ。言われてる先輩はもっとむず痒いに決まってる。

「あ、照れてるの?姫ちゃん?」

「べっ、別に照れてなんかないですけどー?」

「ほんとに昔っから変わんないねそういうとこ。懐かしいや」

「それはホントにそう」

こうやって話していると昔の頃を、何も考えずにずっと一緒に遊んでいられた小学校の頃を思い出す。

すれ違いとか、ちょっとしたトラブルだとか色々重なってここ数年間離さなかったけれどもこの1週間も経たないうちにだいぶその失った時間を取り返せたと思う。

思ってたより先輩が美人に、大人っぽく成長してたものだから脳内にある小学校の頃『姫ちゃん』だとは到底思えなかっただろうけど今はそんなことはない。

「それじゃあお姫様」

だからこそ昔やっていたおままごとの続き。

先輩はお姫様。

僕はそれをエスコートする王子様。

正直言って王子様なんてガラじゃないし、そんな大層な人間だとも思っていない。

それでも先輩が、お姫様が笑ってくれるのならば僕はいつだって王子様を演じて見せよう。

「それじゃあ王子様。映画館までエスコートしてもらえる?」

「喜んで」

先輩の手を取り映画館へ連れて行く。

不器用な僕らはまだ気づいていない。

自分達の感情を。

それでも楽しめる限り今を楽しもうと思う。

今を楽しめるのは今だけだから。



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というわけでちょっと強引な感じがしなくもない第一部完結です。

というわけで第二部に関して何もかんがえていません。

というわけでしばし考える時間とストック先生の時間をください。

多分そのうちヒョロっと戻ってきます。

ヌルッとかもしれませんが。

それではまたお会いしましょう


深夜のベッドの中で親にバレないように執筆している作者より。





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