第15話

「やばいやばいやばいやばい!」

なんだかんだ言って何とか平日を乗り越え迎えた休日。

僕は今絶賛遅刻中である。

集合は10時。でもニチアサを見ていた僕はしっかり家を出遅れた。

願うべきは先輩も遅刻していること。...たぶんないな。

とにかく走って駅に向かい待ち合わせをしているところまで電車で行くのだがとりあえず駅に着いたタイミングで遅れそうだという旨をメッセージで送っておく。

(まぁ、あとで確実に文句は言われるけどしかたない)

幸いなのはまだチケットを買っていないこと。

映画の途中入室はできれば嫌だ。

はじめから見たいし途中で目の前を人影がよぎるとか普通に迷惑だろうし。

駅に着くとちょうど電車が来ていたようで乗り込む。

電車で15分ほどかかるのでしばし休憩。

日曜日だというのに比較的田舎だからなのか電車にはそれほど人は乗っておらず座る余裕があった。

「あ、先輩からメッセージ返ってきてる」

『ごめん、寝過ごしてた!』

「まさかのそっちか」

学校で完璧超人やら完璧美少女とやたらと完璧であることを強調されている優等生の先輩が寝過ごすなんて珍しい...のか?

昔は結構寝坊とか多かった気がするけど。

中学校に上がったあたりからあんまりそういうの無くなったって聞いたけども。

『じゃあ先に行って待ってます』

「送信完了。というわけであとはのんびり景色でも見ますか」

とはいっても学校に通う電車と同じだからそこまで代わり映えはしないのだが。

電車で街中まで数分で着くし、そこまで田舎というわけでもないが東京とかその辺に比べるとそこまで都会というわけでもない微妙な土地。

ほどほどに自然もあって建物が多いけれども少し遠くを見ると山もある。

こんな土地が気に入っているのもあって電車に乗っているトッキは大体外を見る。

まぁ、通学時間とかは通学する学生と通勤中の大人がいっぱい入るからそこまで広くないし外を見れないこともあるんだけど。

(下校中も同様)

それでも10時を過ぎれば公共交通機関は人も少なくなりかなり快適に過ごせる。

そんなことを考えながら外を眺め電車に揺られていると、目的地である駅にたどり着く。

少し心残りというかなんとなく寂しい気持ちになりながらも電車を降りて駅から出る。

電車から外に出た瞬間一気に蒸し暑い空気がを浴びてものすごく嫌な感じがするがそれは我慢だ。

(とりあえず30分くらいはかかるだろうし、その辺の店で時間でもつぶすか。)

周囲にあるのはおしゃれなカフェばかり。正直陽キャでもない高校生男子一人で入るには少しばかりしんどい。

だとすれば選ぶのは牛丼屋かハンバーガーチェーン店。

牛丼だと少し重いのと時間をそれほどつぶせないと思いハンバーガーチェーン店に入る。

コーヒーとポテトを頼んで椅子に座りクーラーの効いた室内の空気を味わう。

(やっぱり現代文明最高)

最近はどんどん熱くなってきているし、クーラーがなければ生きていけないとまで思える。まぁ、それはあながち間違いではないのだが。

とりあえずここで連絡が来るまでは少しゆっくり過ごそうと...

「ん?あれ?陸人じゃん!どしたん?休日の昼間なのにこんな街中に来てるなんて珍しいじゃん!」

....何か聞こえたような気がしなくもないが何も聞こえなかったことにしよう。

りくとなんて名前そこまで珍しいとは思えないし、おんなじ名前の人もいるんだろう。きっと。むしろ今この場に限ってはいてほしいまである。

「おーい?聞こえてますかー?」

さっきから聞き覚えのあるような声がずっと聞こえてくる。何なら近づいてきてるまである。鋼の意思でそっちを見ないようにしてしたをむいてポテトを齧る。

「えいっ!」

「わっ!?」

「えへへ、引っかかった!」

首筋を急につつかれてつい反応して後ろを振り向くとギャルがいた。

髪は金髪で服も大胆。ミニスカは膝上というより股下で数えた方が早いかもしれないレベル。

胸元は下着が見えないギリギリのラインまで開かれ正直エロい。というか危ない。

これ大丈夫なの?最近の高校生貞操観念ちゃんとしてる?って疑うレベル。

「おい、真昼...。何してやがる」

「いや?恩人がいるのに一人でさみしそうだったんでついついちょっかいかけただけです!」

「ちょっかいだと思ってんならさっさとどっか行けよ。こっちは人を待ってるの」

イライラした様子で返してみるものの

「ん?陸人が人とお出かけ?マジで?凄!ヤバ!」

一切動揺すらしない。だからこういうめんどくさいタイプのギャルは嫌い...というほどでもないけど...?

「うるせえよ。てか向こうでお友達が待ってるんじゃねぇの?」

「あ、そうだった!みんなー!この人の席と相席でもいいー?」

「おい待て、おかしいだろ」

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