第10話 土砂降りの雨

というわけで朝。すがすがしい程に土砂降りの朝だ。最悪。

一応傘も合羽もあるけど電車に乗るって考えるとめんどくさい。しかも折り畳みだから配布されてる傘の袋使えない。

いや、折り畳み傘に付属してたやつ使えばいい話なんだけどね?あれって傘干してたら意外となくならない?僕だけ?まぁいいや。

そんなこんなで起きたのは7時25分。いつも起きる時間が7時くらいってことを考えればかなり遅い。いや、家を40分に出ればいいから間に合いはするんだけどね。

「行ってきます」

「いってらっしゃい」

母親に出発することを伝え家を出る。朝ごはん?そんなのねぇよ。朝ごはん自体も食べる時間も。7時10分までに起きなきゃ食べる時間ないだろって用意してくれないんだよね。おにちく。

まぁ、遅刻するのも嫌なので急ぐけどね。電車が遅延してくれると嬉しい。

そんなこと願ってちゃだめだけどね。いろいろと弊害も多いし。

そんなことを考えながら家の玄関で靴を履きドアを開けると...。

先輩がいた。ナンデ?

「先輩?なんでここに?てか、いつから...」

「いや、久しぶりに一緒に登校でもどうかな?って思って。15分くらいしか待ってないから心配しないで大丈夫」

この人大丈夫の意味知らねぇだろ。晴れの日ならともかく雨降ってるんだよ?しかも土砂降り。

「一緒に登校するのはいいんですけど...。なんでインターホン押してくれなかったんですか?雨の中立たせてたのめっちゃ気まずいんですけど」

かんがえてみて?女の子を雨の中15分くらい放置してるんだよ?しかもちょっと濡れてるし。心が痛ぇ...。

ゲームのガチャで推しをお迎えできなかった時クラスに心が痛ぇ...。

うちの学校バイト禁止だからお小遣いでどうにかしのいでるんだけどお小遣い程度では課金しても当たらなかった。

というより直前に実装された新キャラに浮気しかけてました。はい。仕方ないね。性能的にもビジュ的にも欲しかったんだもん。結果推しは引けなかったけど。

それは自業自得ってことで受け入れるしかないだろう。思い出したら涙出てきた。

「そんな気にしなくても私が好きでやってることだし、それに...」

「それに?」

「何年もまともに会話してなかったからちょっと気まずくて...」

ものすごくわかる。

しかもこの人コミュ障だからなおさらだろうな。実際僕でも気まずくて躊躇すると思う。

「まぁ、とりあえず駅行こう?」

「あ、はい」

先輩が気にしてないなら俺も気にしない。少なくとも気にしてるところを見せないように。

今日は金曜日。正直僕は次に会って話すのは日曜日の遊びに行くときだと思ってたんだけど違ったらしい。

ちょっと距離が近すぎる気もしなくはないけどね。気のせいってことにしておこう。

「ところでなんですけど先輩って美人さんですし男子から結構人気ありますよね」

「なっ!なにを急に!もしかして...」

「いや、先輩コミュ障なのに告白とかされたらどうするんだろうなぁ?って思って。ふつうに返してるのかそれともめっちゃ冷たく返すのかモタモタしながら返事するのかちょっと気になって」

実際コミュ障の人が告白したりされたりする時ってどうなんだろうね?

「あぁ、そういうことかほとんど告白されない...というか呼び出しに応じてない。だってよく知らない男子に人目につかないところに呼び出されるのって普通に考えたら怖くない?」

「まぁ、たしかにそれはそうですね。」

アニメとかドラマとかでたまに見るけど結構学生の告白ってどこかに呼び出すものなんだね。

現実ではこういう風に警戒されることも多いのかもしれないけど。

告白したこともされたこともないからよくわかんないや。

する予定もされる予定もないよ。相手いないもん。悲しくなってきた。

「まぁ、現実的に考えればよく知らない人に呼び出されるって何されるかわかんないし何かあっても助け求めれないし、名前書いてなかったら誰かもわからないし結構怖いですね」

「そうそう!、ツイ子の間ね...」

先輩が他の思想に話しているのはいいのだが個人的にはちょっともやもやしなくもない。いうなれば姉が知らない男と付き合っているのをきいたような感じ?

ちょっとシスコンじみてる気がしなくもない。受け入れないが。

そんなこんなで話しているうちに駅についていた。

特別には見えないようすだろうがこの二人からしたら大きな一歩。

ここからまた物語は始まる。

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