第8話 先輩ごめんね?

「りくくんこれって...。ごめんね、無理強いなんてしちゃって。私帰るから。もうりくくんに迷惑かけないようにちゃんと消えるね」

「ちょっと待って誤解!」

まぁ、ブロックしていたことは事実だ。

LINEを好感した直後はけっこう頻繁に動いていたと思う。主に先輩からのメッセージだったと思うけど。

それでも過去の一件の際これ以上連絡を取らない方がいいと判断してブロックしたような気がする。

うん、きっとそうだ。

けっしてずっと来る通知がうるさすぎてつい勢いでブロックしてしまってゲームに熱中して忘れてたなんてことは無い。

「それはあのとき先輩が僕の周りにいると先輩まで変なことされそうだったからちょっと先輩を遠ざけてただけだから!いまは大丈夫1ほらブロック解除してるか!」

自分でこんなにしゃべる人間だとは思っていなかった。

先輩といる時の僕はそういえばかなり饒舌だったような気がしなくもないが3年も前のことだ。そこまで詳しく覚えてないしそのあといろいろあったせいで詳しく覚えてない。

「...ほんとに?」

「うん、ほんとだって。もうブロックもしないからさ」

ちょっと目じりに涙を浮かべながらこちらを見る先輩。僕程度の人間にブロックされたところで...と考えてしまうが先輩からしたら数年越しに会った弟が自分のことを大嫌いになってた時のブラコン姉のような感じなのだろう。

たとえのレベルが中途半端すぎる気がしなくもないが。

「...うん。わかった。もうブロックしないでね?お姉さん泣いちゃうからね?」

「分かったって!」

この人なら本気で泣きかねない。

学校でクールな美人の先輩という確固たる立ち位置を確保しているが本人は昔はそういった周りからの評価に無頓着な人だった。

今も変わっていないだろうし下手したら僕が死ぬ(社会的に)

そもそも美人で人当たりもよくて美人でかわいくて美人で料理もできて美人で気遣いもできる優しい先輩のことを嫌いには慣れない。

おいそこ、露骨な文字数稼ぎとか言うな。れっきとしたただしくないひょうげんだから。わかってるから。

とゲシュタルト崩壊しつつ誰に向けたものかわからない弁明をする。

いや、ほんとにだれにむかって言ってるんだろう。今度病院行ってみるか。

頭おかしいってだけで済まされそう。事実か。

「もしかして先輩拗ねてます?」

「久しぶりに会って話もした実の弟みたいな子にLINE3年間もブロックされてたなんて知ってショックを受けないとでもお思いで?」

あぁ、うん。それは僕が悪いですはい。

「でも先輩」

「...なに?」

「ブロックされてたらメッセージ送れませんよね。知ってたんじゃないんですか?俺がブロックしたままだったってこと」

「え?ブロックされたらメッセージ送れないの?」

そこからかよ。

「一応相手にメッセージ送れないようになってます。というかそれを知らないとは。門歯化して先輩友達少ないんですか?」

「ちがっ!私には友達いっぱいいるから。放課後も友達と遊びまくってるし!」

「つまり周りの人が先輩を遠巻きに眺めてるんですよね」

「うぐっ!そ、それは...」

完全に図星のようだ。かわいそうに。僕でさえ一緒に話す友達が数人はいるんだぞ。こんな一般的な人間でさえ友達が数人はいるしそこそこ学校生活も楽しめているというのに完璧美少女である先輩には友人がほとんどいないなんて。一体どういうことなんだってばよ(白目)

多分原因はわかる。先輩を完全に高嶺の花扱いする男性陣は話しかけたり連絡先を聞くことができない。そんなことをすればほかの先輩のファンに殺されるだろう。

女性陣も女性陣で先輩を神聖視しているのかもしれない。

それに付け加えて先輩は僕と離れてからコミュ障への道を歩んでいるようだ。

それゆえにコミュニケーションがうまく取れずすれ違ってしまい今に至るのだと推測。多分あってるね。

「だって人に話しかける時ってものすごく緊張するじゃん!」

「ほんとに合ってたよ」

「え?」

「いや、何でもないです」

まさかほんとにコミュ障になっていたとは。驚きである。

(そういえば先輩自分から話しかけるのって僕とか一緒にいる女子とかそのあたりだけだった気がする。)

もしかして昔からコミュ障だったの?僕が気づいてなかっただけ?

「でもさ、結構話しかけるのって勇気必要じゃない?」

「まぁ、確かにそれは必要だとは思いますが...」

「つまり私にはゆうきが必要だったんだよ!」

なるほど。つまり僕の名字の結城と話しかけるのに必要な勇気をかけたのか。

ごめん先輩。面白くないや。

そんなこと言ったら怒られそうだけど。

ものすごく自分でうまいことを言っていると思っているようで自慢げな先輩相手にただただ残念なものを見る目を向けているだけしかできなかった。

ごめんね?先輩。

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推しの誕生日があって全く動いてなかったです申し訳ない。

今後もうちょっと頑張ります。

あんまり伸びなかったら別作品に浮気します。


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