第四十一話 嫌われる理由 ⑥
「
「うええええええええええええええええん‼ アンチの誕生理由も嫌だったのに、しかもその矛先の理由が消去法で妥協した結果だったよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ‼」
身勝手すぎる!
流石はお嬢様だ‼
「ですから
「憂さ晴らしだよ! 完全にただの八つ当たり! ガス抜き目的なのは承知だったけど、素直にボコられたくなくなったんだけど⁉」
「言いたいこともわからなくはありませんわ。……けれど、もう止められません。
筆頭とは聞いていたけどリーダーまで努めていたのは初耳だ。
まぁ、そこは驚かない。
むしろルナさんたちよりも雨瑠ちゃんの行動理由は物凄く真っ当だ。賛同してくれた人をまとめ上げて、本気で僕を潰しに来ていたとして驚くことはない。
「個々で嫉妬していた私たちをまとめたのは他ならぬ彼女です。姉様とあなたを別れさせたいから協力して欲しいと。その目的が合致したので私たちは彼女の仲間になりましたわ。けれど、この時点ではあなたをボコボコにしてやろうという考えを持っていたのは本当に極一部でしたのよ」
「そうなの?」
「目的は一緒でしたが、仮にも淑女。おのれリア充と言いながら、あなたに襲い掛かる姿を雨瑠さんに見せるのは流石に抵抗がありましたのよ」
教育上よろしくないって考えと世間体を気にしているだけの層がいる気はするけど、納得の内容だ。
そういえば直接的な手段に出なかったのは雨瑠ちゃんが理由とも言われてたっけ。
そんなお嬢様たちがどうして狂戦士へと成り果てたというのか。
「けれど、あなたと接触して彼女は変わってしまった。それによって、私たちのメンバーの一部が第二の変化を迎えたのです」
「第二の変化?」
え? あと二回変身を残している的なパワーアップ方式なの?
それとも怒りでスーパー化しちゃったほう?
「あのロリコン野郎をぶっ殺すと」
「まずい⁉ ここに来て正当な正義感を振りかざしてきやがった⁉」
「否定しないんですの⁉」
しまった⁉
一部の変化と言っていたのだから、ルナさんは僕をロリコン野郎とは見ていなかったのか⁉
「姉の彼氏に会ってみたら意外と良い人で考えを改めたのかと思っておりましたのに……まさか本当にただの犯罪者だったんですの⁉」
「誤解なんだ! 分かり合う過程でそれっぽい行動が行われただけで……!」
「……具体的にお願いしますわ」
「抑えつけて……こちょこちょ~的な?」
目を瞑り、暗い空を仰ぎながらルナさんがムムムと唸っている。
僕の行動が罪か否かを考えているのだろう。
どうか、情状酌量の余地があると信じたいところだ。
カッと目を見開いて、ルナさんの視線が僕を射抜いた。
「アウトですわ‼」
「ですよね~! 僕も当事者じゃなかったら多分同じ判断だもん!」
それが正しい反応なのはわかってます!
「それが事実なら私ももう容赦しませんわ! リア充という恐ろしいものを学園に持ち込み、さらには姉妹を手籠めにして、しかも妹にすらしっかり手を出す鬼畜め‼ 体育祭で無様を晒して、生徒全員から白い目で見られればいいのですわ!」
「雨瑠ちゃんの事情は皆が知ってるわけじゃないし、そこに関しては僕に暴行を働く君たちが白い目で見られるんじゃないかな⁉」
たとえ正義はそちらにあろうとも絵面は雨瑠ちゃんに見せたくなかったであろう姿を晒すあなた方ですよぉ!
そんな僕のツッコミを受け、ルナさんは目を見開きながら体がカタカタと震えだす。
……あれ? なんかデジャブだ。
僕はこのパターンをよく知っている気がする。
「ま、まさかそこまで考えて行動しているんですの……? 自分が何をしようとも証拠は残さず、私たちが鉄槌を下せば、その姿こそが悪に見えるように……!」
「いや、違うよ? 結果的にそうなったってだけで別に僕は完全犯罪を企てたわけじゃ──」
「リア充などと嫉妬している場合ではありませんでしたわ! 私たちは学びを共にする仲間。夜空谷詩織をあなたの毒牙から必ず救い出しますわ‼」
「いや、だからそうじゃなくて! ……っていうか、本当にその場の感情で行動してるんだね⁉ 僕に対するアンチ理念がブレッブレなんだけど⁉」
変化を恐れて、輪を乱す者を淘汰するって聞いた時は閉鎖的な学園に対する怖さもあったのに!
蓋を開ければそこら中にある問題だったよ⁉
雨瑠ちゃんもそうだったし、ルナさんと夜空谷さんが少し重なったってことはこの勘違い属性は程度の差はあれどお嬢様に標準装備疑惑も出てきたしね!
他のアンチ一派もこんな感じで僕を誤解していってるんだろうね!!
「覚悟なさい
叫びながら、ルナさんが僕を突き飛ばして屋上から走り去っていく。
あの様子だとガス抜きでボコボコにされるくらいじゃ事が収まらない気がしてきた。
誤解を解きつつ、ガス抜きもしつつ、リア充への嫉妬は……僕にはどうすることも出来ないし、ガス抜きの過程で諦めてもらうとして。
どうにか敵対関係を解消出来ればいいんだけど、果たしてそんなこと出来るのかなぁ。
「……ははっ! 本当に退屈しない学園だ」
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