48.王の凱旋
星雲は全てのスキルと魔法を解いた。
「バカか!?戦闘中に何をやっておる!」
星雲に赤黒いドラゴンが火を放つ。星雲は通常に戻った身体能力でなんとかギリギリ避ける。
「ウヒィ!熱い!死んじゃうぅ〜!」
「当たり前だ!バカタレ!早く戦闘体制に戻れ!」
「それは出来ませんねぇ・・・」
その後も星雲はギリギリで攻撃を避けるがここはモンスタートラップ、まだ400体程龍種は残っている。
そもそも普通の身体能力の人間が避けられる速度ではないのだ。星雲は膨大な戦闘経験から予測して避けているにすぎない。
そして、限界はすぐにやってくる。
「ガハッ!」
深々と星雲の腹に龍の牙が刺さる。
「セイウン!・・・クソ精霊!強制的に制御を取り戻せ!再生を発動させろ!」
『出来ません』
「何を言っている!致命傷だぞ!?クソッ!もういい!ワレがトカゲ共を片付けて回復魔法を・・・」
『出来ないのです!主様が全力で拒否をされているんです!まるで何が起きているのか分かりません!早く助けに行って下さい!』
ネレイドと星雲の魂にはリンクがある。ソレを星雲は無理矢理遮断している状態だ。
「何?・・・アイツ、何かする気か?」
『何を悠長にしているんですか!?主様が死にます!』
「いや、待て。あと7秒だけ」
7秒とはノアが龍種を片付けて星雲を救うギリギリのラインだ。
薄れゆく意識の中で星雲は考えていた。
と言うか星雲はずっと考えていたのだ。凶星スキル、王星スキルとノアが言うモノ。王とは何か?王の資質なんて言われても自分がそんな人間ではないことは自分が一番わかっている。
だが、最近時折見せるノアの焦り、示し合わせたように手に入った冥王星、作為的な何かを感じない程星雲もバカではない。
王とは?
最も優れている者、自分が誰かより優れているなんて思ったことはない。
権力、そんなものは肥溜めに捨てればよろしい。驕れるものも久しからずと昔の人は言っている。
血筋、自分は一般家庭の生まれだ。
やはり、王なんて言われてもよく分からない。私は小さい人間で利己的な人間なのだ。
だが、護りたい人が増えた。鏡さんをはじめずっと私を助けてくれた人たち、今まで出会った顧客やエクスプローラ、そして工房の愛すべき仲間たち。
護国の主としての王、自身が築いた
『限界です!クソ異世界人!』
現在、6秒が経過している。
「チッ」
ノアが臨戦体制に移行して魔法を発動させようとした瞬間、星雲の体から黄金の魔力が溢れ出す。目を開けたら瞳は黄金に輝いていた。
「セイウンの奴め!成ったか!」
『ご都合主義極まれりですね』
ネレイドも嫌味を言うが安心しているようだ。
星雲はすぐさま再生を発動、腹の傷を癒して龍を屠る。
【冥王・
【氷王・ニブルヘイム】周囲の空気を支配する魔法とスキルの複合技、瞬時に世界は氷になりネレイドとノア以外の全てが凍る。
「ふぅ、やりましたね!アガッ!」
ノアが星雲の頭を引っ叩く。
「アホが!!規模を考えろ!ワレらまで凍死させる気か!?」
『この寒さはいけません。凍えてしまいそうです』
「スイマセン、調子に乗ってつい。でもやりましたよ!凄いでしょ!?」
「凄い、よくやった。賞賛に値する」
ノアが星雲を抱きしめる。
「・・・まさかの手放しの褒め言葉」
「そりゃそうだ。クソ弟子が今、ワレと肩を並べるに至ったのだ。嬉しくない訳がないだろう」
「ほう?では今ならノアを倒せると?」
「バカか?そんな日は今後一生来ることはない」
「今から試してやりましょうか?・・・アレ?意識が」
「今はゆっくり眠れ」
星雲がゆっくりとノアに寄りかかる。そのままノアは星雲を抱えて歩き出す。
こうして、ブレーンワールド914に王が誕生した。
世界は徐々に動き出す。
私はハーデス派です。凱旋は相性が悪くいつも殺されかけま記憶しかありません・・・
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