第24話

時は流れ、もう時期体育祭が開催されると先生の方から報告があったらしい。


まずは体育祭の実行委員を決めるという話になっていたらしいのだが、それが奏介が休んでいた時の話で、強制的に奏介がクラスの実行委員になっており、相方は真夏ということに決められていた。


「いや俺が休んでる間に話進みすぎだろ……真夏が相方じゃなかったら普通に文句言ってたわ」


「落ち着けって神楽。決まったものはしょうがないって、恨むならあの日に風邪をひいた自分を恨むんだな」


「まぁ奏介くんが実行委員にさせられてたから私が立候補したんだけどさ……まぁ決まったものは仕方ないし2人で頑張っていこうか。部活もなくなって実行委員の仕事優先らしいから、これから大変だろうねぇ」


実行委員になったことに対して少し文句はあるものの、実行委員になってしまったので放課後にある実行委員の集会に出向いて、いつもより遅くまで学園にいた。


「それでなんだけど、体育祭の競技は何がいいと思う?」


「はいはーい! 定番なのもいいと思うけど、変わったものを入れてみるのもまた面白いよね!」


俺はあんまり関わったことはないがクラスのムードメーカで人望も厚いという噂を聞いている柊さんがそう提案を出した。


確かに王道を走るより少し変わったものをやってみるのも面白いかもしれないが、そういうのは案を出すのが難しかったりするので考えものだ。


「確かにそれもいいかもしれないけど、柊さんはなにかいい案はあるの?」


「うん、あるよ! お題を生徒たちに書いてもらう借り物競争なんてどう? なんか面白いお題とか色々出そうじゃない?」


柊さんのお題がひとまず採用されて、それから外が暗くなるまで会議は続き、ひとまず体育祭の競技は決まった。そして明日はその準備などをするらしい。


「いやぁ実行委員って大変だなぁ……これはしばらく休めそうにないかなぁ」


「でも実行委員になったら購買のパンが割引で買えるっていう特権があるのが救いだよねぇ……それがなかったら損な役割だもん」


「へぇー俺、そのこと知らなかったんだけど、購買のパンが安く買えるんだ。それなら実行委員にさせられたのも良かったなって少しでも思えるかなぁ」


「あの時休んでたからね」


星の光に照らされた道を真夏さんと2人で話しながら歩き、家まで戻った。


家に戻ると既に晩御飯ができていて、「お疲れ様です」と真冬さんが風呂上がりの髪を下ろした状態で玄関にまでやってきた。


「とりあえずご飯食べて、風呂入って寝ようか。実行委員は土曜日でも午前中に動くらしいし」


「大変そうですね……2人とも頑張ってくださいね、私はできるだけサポートするので」


「助かる。それじゃあ真夏さん、明日朝早いんだったら早く食べて早く風呂はいって早く寝ようか」


「さっき私も同じこと言ったんだけどなぁ……」


真夏さんと体育祭のことを話しながらご飯を食べて、俺は風呂に入って今日はもう寝た。


そして朝。


休みの日の集まりなので服は自由でいいとの事なので俺はいつものパーカーを着て、学園に向かっていた。


一応もらって使わないのもあれなので2人からもらったアクセサリーもつけて行くと「付けてくれたんだ!」と嬉しそうに真夏さんが言うので付けてきてよかったと思っている。


「そういや他のやつには俺が一緒に生活してるってことは知らないだよな? 俺と真夏さんが一緒に来てなにか違和感とかないかな?」


「同じクラスだし、普通に家が近いからっていう理由にしておけば大丈夫でしょ。一緒に来ただけでそんなことまで疑われないって」


そう思ってたのだがいざ学園に着くと、付き合ってるのかなど色々聞かれてしまったので誤解を解くためにしばらく時間を使ってしまった。


実行委員長の立場にいる羽間さんが来たのでなんとか誤解を解くことができた。


「色々ありましたが、体育祭の準備ことでなにか質問のある人はいますか?」


「特にないので、早速始めちゃおー!」


借り物競争で使うお題の紙など、体育祭に必要な道具を集めて、教室に集めひとまず実行委員が考えたお題だけ箱の中に入れて置いた。


残りのお題は先生に頼んで生徒に書いてもらって回収することになった。そして今は体育祭の横断幕のイラストを描いているのだが……。


「誰が絵が描ける人いないの?」


俺は描くことに嫌気がさしているので正直描きたくない。でも真夏さんに頼まれてしまったので仕方なく……。


「元々教室に通ってたので俺、描けます。デザインを考えてもらえば描きます」


「それじゃあデザインはもうできてるからこれをお願いね」


俺はデザインが書かれた1枚の紙を渡されたので、教室の隅で真夏さんと一緒に横断幕を描いていた。


真夏さんは俺のアシストをしてくれているので俺は描くことだけに集中していた。


そして時間という物を忘れて昔のように書いているといつもの間にか外は暗闇に染っていてスマホの時計は21時を指していた。


「もうこんな時間か、真夏さんは……っと」


真夏さんは机にうつ伏せて寝ていたので、俺は絵の具などを片付けておんぶして帰った。


(真夏さんをおんぶするのも2回目かぁ……それにあの時も寝ていたし、まぁ真夏さんは軽いし苦でもないからいいか)


真夏の身体は比較的小さめで折れてしまいそうなくらいに細い腕をしているので奏介としては少し心配だった。


家に帰ったあとは真冬さんに全てを任せて、俺は眠りについた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る