第15話

昨日、私は奏介さんの部屋の掃除に行ったら学生書が地面に落ちてたのでそれを拾ってみると、誕生日が明日だということに気づいた。

私は誕生日プレゼントを買いに行くためにメモを残して早起きして真夏と買いに行くことにした。


「それじゃあ奏介さんにバレないように誕生日プレゼントを買うよ……って言っても奏介さんの好きな物とかわからないけどね」


「私も知らないかなぁ……でも奏介くんなら私たちが渡したもの全部嬉しいって言いそうなんだよねぇ。それは嬉しいけど、本当に喜んでくれるものを渡したいから」


2人はいつものショッピングモールではなく桜樹商店街で歩きながらそんなことを話していた。


桜樹商店街には髪飾りやアクセサリーなど様々な店が並んでいて、よくプレゼント選びに使われたりしている。

アクセサリーや髪飾りが売っているので‪‪女子学生たちが多く訪れる。現に今も女子学生たちが歩いている姿を確認できる。


「男子だし髪飾りは選択肢から外れるとして、選ぶとしたら……アクセサリーかなぁ?」


「アクセサリーを買うのは決まったとして、どっちしろ奏介さんの好きそうなアクセサリーがどのようなものか分からないからねー」


「とりあえず店の中を見て、奏介くんに似合いそうなやつがあったら買おうよ」


「そうするしかないかなー」


少し歩いた先にあったアクセサリー店に入って商品を見始めた。


商品には雪の結晶のアクセサリーだったり、様々な形のアクセサリーが並んであった。


「ねぇねぇプレゼントとは関係ないんだけどさ、個人的にこのひまわりの髪飾りが欲しいんだけど買っていい? お姉ちゃん」


「奏介さんに買うついでに私たちも買おうかな。真夏がひまわりの髪飾りにするなら私はこの雪の結晶の髪飾りにしようかな」


真夏と真夏はネックレスと同じ形の髪飾りを選んだ。


自分たちが買う髪飾りは決まったが本来の目的が果たせてないので2人は店の中を入念に探した。


「「あっ」」


私はひとつの商品を手に取る。


「これ……絶対に奏介さんに似合うよね」


「うん、私もそう思うよ」


2人はこの商品と自分の髪飾りをレジに持っていき購入した。


あとは家に帰って奏介に渡すだけだ。


「それじゃああとは家に帰って奏介くんにこれを渡すだけだね。ちょっぴり恥ずかしいけど……まぁ頑張ろうか」


「渡すぐらいで何恥ずかしがってるの真夏? この前奏介さんにほっぺに付いてた……」


私が言葉を続けようとしたら真夏が「お姉ちゃん!」と叫んで身体をペシペシとはたいてくるので、続きを言うのは抑えておいた。


「ごめんって、それじゃあ帰ろう? 真夏」


「う……うん」


真夏は手で口を押えて下を向きながら家に向かって歩いていた。

顔を少し赤く染めていて、恥じらいを隠すためにも真夏は下を向いていた。一応手を繋いでもらってるのでコケたりすることは無いだろう。


真夏はこれから塾なので家の前で別れた。


家の中に入ると、奏介さんがリビングのソファーで子どもっぽく寝ていて可愛らしかった。


何もかけずに寝ていたのでブランケットをかけて、その隣にラッピングした誕生日プレゼントを置いておいた。


(起きた時、驚いてそうですね。あと少ししても起きてこなかったら起こしましょうかね)


しばらくしていると隣に居た奏介さんの身体が少し揺らいだ後、身体が起き上がってきた。


「おはようございます」


「あ、おはよう真冬さん……」


奏介はまだ眠たそうに欠伸をしている。


「真冬さん……この隣に置いてあるにゃんなの……」


「せめてしっかり意識を覚醒させてから喋って欲しいですね……。ほら顔を洗ってきてください」


「あーい……」


俺は言われた通りに洗面台に行って顔を洗った。


(いやー1人だったらやっぱり暇だなー。今まで1人でどうってこと無かったのに、真冬さんたちと関わって俺も変わったんだろうなぁ)


俺はリビングに戻って再度、起きた時に隣に置いてあったものについて真冬さんに尋ねた。


「さぁ自分で考えてみてください、今日はなんの日でしょうか?」


「今日……? 俺の誕生日以外に何か特別なこととかあったかなぁ?」


「察しが悪い人ですね……。今日は奏介さんの誕生日なので私たちはいつもより早く起きて誕生日プレゼントを買いに行ってたんです!」


奏介さんは納得したような様子で「ありがとう」と言ってその箱を手に取った。


「開けていいですよ」


私がそう言うと奏介さんは子どものようにワクワクとした様子で綺麗にラッピングを剥がして、中身の箱を開けた。


「これは……ネックレスかな?」


「2人で決めたんですよ。このネックレスは絶対奏介さんに似合うと思って。つけてみてください」


「わかった」


俺は箱の中に入っているネックレスを取りだして身につける。


「やっぱり似合ってますね。桜樹学園は別にネックレスをつけていても問題なかったはずなので学園でも付けて行けますね! 私たちも髪飾りを買ったので付けて行こうと思ってますから」


「2人はどんな髪飾りを買ったの?」


「私が雪の結晶の髪飾り、真夏がひまわりの髪飾りですね。だから奏介さんのアクセサリーが紅葉のアクセサリーなんですけどね、私のは冬をイメージして、真夏のは夏イメージして。そして奏介さんのは秋をイメージしたものです」


「なるほど、そこまで考えてたんだな。ありがとう大切にするよ」


俺がリビングを立ち去ろうとすると真冬さんから「待って」と呼び止められた。


「まだ話すことでも?」


「これを雨ケ谷さんに渡して、雨恵ちゃんに渡すように言ってください」


手を出してと言われ手を出すと、受け取ったのは桜のアクセサリー。


これで四季が揃ったわけだ。

雨ケ谷はもう月のアクセサリーをつけていたし別に問題ないだろう。


「別に自分で直接立花さんに渡せばいいと思うけど……まぁ貰った側がそんなこと言うのも野暮か、わかった渡しておくよ」


(本当は雨ケ谷さんから、『どんなものを渡せばいいか分からないから女の子からの視点で雨恵に似合いそうなやつを買ってきて』と頼まれたんですけどね)


その事は奏介さんに隠しておくことにした。


「さてと、昼ごはんでも作るとしましょうかね」

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