第27話 グレンデナイ、出る
この場でグレンデナイをやっちまうと決まれば、韻をさっさと編んでコイツにぶつけてしまおう。
〽「そこの類人猿
どうせ話通じねえ
なっとけ中耳炎」
『ヴォエッ?!』
まずは冗談みたいな
『ヴァハッ!』
グレンデナイは天井高くに飛び跳ね、なんと張り付いた。
—————逃げるつもりか?!
そして、器用に、天井を伝って後退していった。
「おい、アイツ逃げるぞ」
「どうする、リブロ」
「でもよ、あのサル、富豪喰っちまったんだろ?!このまま逃せば俺らが濡れ衣着る羽目になるかもしれねぇぞ?!」
リブロは頭を抱えたが、唐突に心を切り替えた。
「でもさっきの魔術を目の当たりにしたけど、お前なら倒せるかもしれねえんなら、討伐しちまったほうがいいかもしれねえ!!」
チャラガも加わった。
「そうだよ!アストラ!あのお猿さんって国の敵でもあるんでしょ?!倒したらきっとイイコトあるよ!頑張って」
「そうだ、アストラ!頑張れよッ!」
「なんで君たちは参戦しない前提なの?!!」
というわけで僕らはグレンデナイを追うことにした。
リブロは3歩、チャラガは5歩下がってついてきてくれた。
「俺も戦闘に加わりてえけど、魔術もロクに使えねえし、なんたって武器がねえからよォ!」
「アストラが死んじゃったら骨は拾うね!」
僕は半ばキレ気味に答えた。
「僕が死んだらたぶんあのサルによって四肢をブーメランに使われるから回収が楽だね!!」
「あっ!いたぞ!集合灯にぶら下がっている!」
「集合灯?!ああシャンデリアのことね」
「でた~!古代語使えます自慢!貴族かよ!」
—————ダメだ、やっぱりこの世の地雷の基準が全然わからん。ついでにリブロのキャラもわからん。
「覚悟しろ大猿!」
『ヴァアアアァァァァ!人間弱イ癖ニィィィ!!喰イ殺ース!!!!!!』
「「「キェェェェェェアァァァァァァ喋ったァァァァァァァ!!!」」」
驚く僕らに向け、グレンデナイはシャンデリアの蝋燭やその固定部分の金属をブン投げてきた。
「ひゃっ!」
「あっぶね!」
今度は連投してくるので危なっかしい。
〽「サルに足りねえ 知能と命中率
当たるわけ 無え終日」
グレンデナイの投げる物の狙いが散漫になってきた。
『オカシイ!当タラネ!!チッキショ!!!』
グレンデナイは床に飛び降り、飾られていた騎士の鎧に目を付けた。
「あの野郎、槍を利用する気じゃ…!」
『デヘェアァ~!』
グレンデナイは歓喜の声を上げ、槍だけではなく、鎧ごとその巨大な手に握りしめた。
「うおっ!やべぇ!ごとかよ!!」
そして、僕らに向かって鎧を武器代わりにして襲い掛かってきた。
ヌルッとした
なるほど、帝国もコイツには手こずるワケだ。
でも、僕にとってはただの脳筋!!!
〽「その重い 鎧 持ったら余計ノロい
全部見切れるぜ、動きがナメクジ
勝てる気しか しねぇ、 僕らを舐めすぎ
チャラガ、一発お見舞いしろ爆ぜる火」
「ええっ?!いきなりなにっ?!」
後方のチャラガがテンパり出した。
「う、うわあっ!」
彼女の驚いた声と同時に大砲のような火炎の砲弾がグレンデナイに向かって撃たれた。
俊敏が
『ゴッホォ!!!!!!!!!!!』
火炎の弾が顔面に直撃したグレンデナイは突っ立ったまま絶命した。
後ろにいたチャラガとリブロはへたり込んだ。
「おいぃぃぃ!
「アストラぁ!大砲としてアタシのこと勝手に使ったなぁ~!」
僕は肩を
「ま、さっきのちょっとした仕返し!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます