【第1章完結】 第28話 素敵で不敵で無敵な三人組
翌日、僕らは英雄扱いだった。
ムジャデフ帝国より正式に感謝状が贈られ、なんと帝王への謁見も許された。
ムジャデフ帝国の帝王、通称・リオ王は
「
アストラは懇願した。
「ありがとうございます。僕はコティレオン領土のガシュヒルの出ですが、国家転覆の汚名を着せられております。どうかその汚名を公式に晴らしていただきたいのです」
—————というのは、コティレオン王国は実質ムジャデフ帝国の属国のようなものであり、ほとんど傘下に属する。リオ王から正式にお達しが出れば、コティレオン王のティム3世も頭が上がらないのである。
「ガッハッハッハ!たやすい!たやすいぞ!そんなものか。おい、テイト。すぐに手配せよ」
「ハッ」
「して、隣の
「は~い!新しいドレスや宝石がほしいで~す!」
—————チャラガらしいチャラめの願いだった。
「はっはっは。よいよい。くれてやる。おい、テイト。こちらも用意せよ。では、そなたらの称号もムジャデフお墨付きの上級称号にて上書きしておいてやる。下がってよいぞ」
僕ははっとしてリオ王に進言した。
「お言葉ですがリオ王様、僕の仲間のリブロにもねぎらいをいただけますと幸いです」
リオ王はキョトンとしていた。
「おお?これはすまなかった。従者ではなかったのか」
なるほど、ムジャデフ帝国でもアフタマズデリア人に対する扱いはそういう感じなのか…。
リブロが一礼して言った。
「王よ、私は西の国から参りました、ベクンバ家の一族の者です。」
リオ王の顔つきが変わった。
「ほう…あの名家ベクンバの………」
「しかし、帝国では私や我々の同胞はギルドへの登録も儘なりません。それどころか奴隷として扱われている者さえいます。私が旅をする理由は同胞の解放です」
ピリついた空気が流れた。
「して、そなたの願いは」
「とりあえず、貴殿の治める地域でのアフタマズデリア人が施設を自由に使用できる権利を与えていただきたい。今回の討伐で我々にも優れた能力があること証明できたかと存じます」
「………考えておこう。ひとまずそなたに対してはギルドへの正式登録を認める」
「ありがとうございます。」
—————リブロには大きな、背負ってるものがあるんだ。僕は少し感心してしまった。けど、お前グレンデナイとの戦い、ほぼ何もしてねえけどな!!!
* * *
さて、僕らは一旦、僕の故郷である『コティレオン王国』の領土へ戻ることにした。
僕の父さんを解放せねばならない。
ここでグレンデナイ討伐の功績を上げた3人のこれまでを振り返ってみよう。▼
アストラ・
男。15歳の吟遊詩人。
緑色の髪に透き通った白い肌。
冗談好きで軽快なお調子者トークが得意。
前世はラッパーの
特技は言霊ラップで、韻を踏むたびに魔力を増強させることができる。
チャラガ
女。16歳の舞踏家。
ピンク色の髪、薄い褐色の肌。引き締まったカラダ。
丸顔。
食いしん坊だけど太らない。
野生の勘は鋭い時もあるが、基本的にはアホい。
伝説の勇者一行の子孫という噂があるが、家系名は公開していない。
リブロ
男。17歳の戦士。
青い髪をドレッドロックで束ねている。黒い肌。
長身の痩せマッチョ。
父親は貴族という噂もあるが、本人はひた隠しにしているし、家系名は公開していない。
パッと見
世の中の規定のルールよりも自分の信念を貫くタイプ。
—————3人のそれぞれの旅の目的はこうだ。
アストラは神から『世界一周』、そして世界各地での言霊の力の発展を契約させられているので、それが目的だったが、もう一つの使命は「勇者」を見つけ出し、魔王を討伐し、
チャラガは、菊紋が発現したことにより、舞踏家一族の伝説の乙女が自身であることを知り、やはり「勇者」を見つけ出し、ともに世界に平和をもたらすことである。
リブロは、虐げられた自分の同胞たる人種—————アフタマズデリアの民を解放することである。
そしてなにより、3人は
今回のデカい仕事も無事攻略し、当面の旅費もできた。
これで闇バイトの巣窟『ツンフト』も脱出して、心おきなく世界を冒険できるというものだ。
僕らの旅は始まったばかりである。
未
完
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