第23話 広告
「ああ! もう! 広告うぜえ!」
「どうしたの? ヤンキーみたいな声を出して」
一条が怪訝そうな顔をして聞く。
「違うの。サイトの広告がウザいの。下へスクロールさせてくれないし、できたと思ったら別の広告で止まるし。他にも広告はでかいし、スクロールさせたらタップ扱いになってサイト移動するし、エロい広告ばかり。ウザすぎる!」
「どんなサイト見てるのさ」
「まとめ系」
「まとめ系はアフィリエイトが重要だからね。広告は仕方ないよ」
「だからって、この半強制的な広告サイトへの飛ばしは異常でしょ?」
必ず広告で止まる。2つ以上の広告で画面をいっぱいにさせ、広告画面に触れないといけないようにして、スクロールさせるとタップ判定。
「そもそもまとめ系なのにまとめてないのがむかつく」
内容は浅く、はっきりとした答えはなく、締めは疑問で終わってる。
ただ、もやもやが残っただけ。
「所詮は素人がまとめたものだからね」
「情報まとめじゃないよ。もう広告サイトじゃん! アホみたい広告を載せるなよ」
無駄に時間が
しかもアダルト系の広告はウイルスが怖い。
「前にそういう広告はその人の最も見ているサイトから選ばれるとか聞くけど?」
「はあ? ありえないんだけど。誰がこんなクソ漫画検索したり購入したことがあるっていうのよ。意味不明」
「どんな漫画なの?」
「イー◯ンマスクの自伝漫画とかBL漫画。胡散臭い自己啓発本、FX系」
「……それっぽいのを購入したことのは?」
「一回もない!」
知らないアメリカ人の自伝なんか買うものか。BLだって一度たりともない。自己啓発本もFX系もない。
「検索したこととか?」
「ない!」
私はまとめサイトを閉じて、スマホを机に置く。
「そもそもなんでまとめサイトに?」
「調べてたら行き着いた」
昨今、知りたいことはネットですぐ分かるなんて言われるが、そんなことはない。
今のように検索しても無駄なサイトに当たるし、分からないままで終わる。
検索だって、ちゃんとやらないとヒットしない。
それなのに馬鹿な大人達は「自分で調べろ」とか「今の若い奴はなんでも答えを教えてもらえる」とか言ってくる。
調べて分からないから聞いているのに。
「で、何を調べてたの?」
「ブラックホール撮影における、日本の貢献度」
「何それ?」
「国際チームがブラックホールを撮影したんだけど、日本はどう貢献したのかって話。調べても具体的なことが出てこないのよ」
「……難しそうだね」
興味がないのか一条は文庫本に視線を落とした。
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