第12話 星

 星のほとんどは恒星。僅かばかりが太陽系の惑星と人工衛星。

 だけど人は星を地球のような惑星として見ていて、どこかに宇宙人がいるだろうと考えている。

 でも、それは違う。あれらは恒星。つまりは太陽だ。

 だから星を住める地だと考えてはいけない。

 せいぜい星の周りにある肉眼では見えない惑星がそれだろう。

 では、人が住むには地球のような同じ環境の惑星かと問われるとそれは違う。

 生命のある惑星は未知の菌やウイルスなどがあり危険である。

 だから他の星に移住することは難しいし、逆に宇宙人からしたら地球は未知の菌とウイルスが詰まった星だ。

 それは100年以上前にウェルズが『宇宙戦争』というフィクションに描いている。

 なのに。今だに宇宙人がやってくるだの。実はもう宇宙人は来ていて、侵略は着実に始まっているという話がある。

(馬鹿だ)

 宇宙服を着ていないグレイマンや航空力学を無視した円盤アダムスキー型UFOなどで力説する輩は面倒くさい。

 こちらが論理的に論破しても、また湧いて出てくる。

 何度でも、何度でも。

 たぶん馬鹿がいる限り一生。

 それゆえ私達は彼らの「宇宙人は地球に来ると思いますか」という問いは無視する。

 めんどうくさいのだ。

 もう何度目だよと。

「馬鹿な質問が多すぎる」

 SNSで日本の宇宙飛行士が質問に答えるということで数多くの人間があれこれと質問をするが宇宙人やUFOについて質問が多い。

 中には陰謀論もあってバカバカしい。

 私はパソコンの電源を切る。

 そして部室中央に並べられた机に向かう。カバンから雑誌を取り出し、頬杖をつきながらページを捲る。

 雑誌はモデル雑誌。

 若い女の子が着飾ってポーズをとっている。

 そんな中で明らかに整形をしたすごい顔のモデルがいた。

 眉間から鼻筋が高く伸び、唇は太く、頰はこけて輪郭は細く、シャープな顎。

 そんな彼女はテレビでも整形しているとカミングアウトしている。さらには豊胸手術もしていて、シリコンたっぷりの馬鹿でかい風船胸。肋骨を左右下の一本を抜いているとか。

 私にとっては彼女が宇宙人のように見える。

 彼女にとって、美とは一体?

「その人、すごいよね」

 私がじっとモデルを見ていたせいか、一条が話しかけてきた。

「そうね。大金をはたいて、これだからね」

 普通なら失敗だ。

 でもこのモデルは満足らしい。

「ナンバーワンには慣れなくてもオンリーワンだね」

 一条が笑いながら言った。

「誰のオンリーワンかしらね?」

「そりゃあ、彼氏じゃない?」

「これを彼女にしたい男がいるかな?」

「世界のどっかにいるんじゃない?」

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