星海麗奈(2)

第10話 ダイエット

「ダイエットって色々あるけど結局何がいいのかしら?」

 ふと私は呟いた。

 今、見ていた雑誌にダイエット特集があって、本当に効くのかなと思っていたら、先の言葉が口から漏れ出たのだ。

「色々あるよね」

 自分が問われたと感じたのか一条が答える。

 ま、いっかと感じて私は会話を始める。

「今、腹の贅肉を掴んで背を反ると痩せるというのが流行ってるわね」

 まず体を丸めて贅肉を掴み、揺らす。そして次に贅肉を掴んだまま背を反らすというダイエット。

「それテレビでも見た。本当かな?」

「さあ? でもテレビだから嘘は言わないでしょ?」

「でも摘んで背を反るだけで本当に痩せるの? もっと脂肪はどこに行ったの?」

「さあ? テレビを見たんでしょ? どうだったの?」

「数センチ痩せてた。不思議だね」

「効果はあるということかな?」

「でも、本当にダイエットって多いよね。年一で新しいダイエット出てない? ええと、他にどんなのあったっけ?」

「摂取系は朝りんご、朝バナナ、にがり、トマト、サバ缶。運動系はフラフープ系骨盤運動、片脚浮かせての尻上げ、つま先立ち運動、ロングブレス、ねじり」

 と、私は指を折りながら言う。

「にがりってなに?」

「にがりっていう液体があるの。水にほんのちょっとにがりをいれて飲むの。それを運動前に飲むと燃費がよくなるんだったかな?」

 にがりダイエットは随分前に聞いた話だからちょっと自信はない。

「へえ」

「動画系ではフラダンス、ブートキャンプ、レゲエ、サンバとかあるわね」

 どれもきつい。そりゃあ、痩せるわという感じ。

「あとゲームでもダイエット系とかあるわ」

「あるある」

「多すぎよね。結局どれがいいのかしら?」

 私は溜め息交じりに言う。

「全部やってみたら?」

 さらっとめんどくさいことを一条は言った。

「きついわ」

「でも1日1つやってさ。それなら飽きることもないんじゃない?」

「えー。めんどくさい」

「そんなこと言ってたら痩せないよ」

「じゅうぶん痩せてるし」

 実際、私は太っていない。

 むしろ一条の方ではないのか?

「な、何?」

 視線に気づいて一条が身構える。

「一条はやらないの?」

「な、な、なんで? 私が太ってると言いたいの?」

 一条が心外だという顔をする。

「……顔がまんまるじゃない?」

「生まれつき!」

「間食は控えることね」

「私がお菓子をたくさん食べてるって言いたいの?」

「食べてないの?」

「まあ、食べるけど。普通よ。普通」

 一条は親指と人差し指で平行にしてちょっととアピールする。

「フライドポテトは太るから気をつけなさい」

「もー!」

「でもなんでポテトは太るんだろ? 野菜なのに」

「でんぷんの多さじゃない? それと油」

「サラダ味ってサラダ油かららしいわよ。結局は野菜」

「なんであろうと油だよ。でんぷんと油は要注意」

「余談だけどモデルはポテトを食べないらしいわね」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る