第46話 アーガ砦の攻防2
アーガ砦の胸壁には矢を射かけるための凹状の狭間などもなく、オークが弓矢などはあまり使用しなかったことがそれだけでも分かる造りだ。
等間隔にアクアルダンジョンにもあった照明杖が設置されていて、西に向けて闇夜を切り裂く強い光を投射している。
照明杖は通常だと松明のような光を放つ器具だが、ウォルシュの魔法で集光され、光量も強化されていた。
さすがに山腹全体に光は届いていないが、砦に張り巡らされた郭の崩れた石壁あたりまでは照らし出している。
照明灯の光とは別に、砦の守備についているフィラルオーク達の上空の空間に青白い幻像が投影されていた。
幻像はデフィーラーやワームナイトだ。
「
幻像を映し出しているのはギデオンだった。
バルカに装備されている器械精霊は充分すぎるほどの霊力を供給されており、それを使って、今日あった戦闘……バルカがワームナイトをいとも簡単に斧槍の一撃で粉砕する場面や、残ったワームナイトが合体を解いて、触手妖魔デフィーラーの群れとなって一目散に逃げる様子をフィラルオークたちに見せていた。
デタラメ気味にオークの古語を織り交ぜながら、講談師じみた口調で、デフィーラーがバルカに恐れをなして退散する様をいきいきと語っている。
自分を召喚する権限がない者とは会話ができないなどという規則など何のその。
独り言の体でやってるからいいんだという認識で、フィラルオーク達を鼓舞していた。
最初は
あるオークは感極まって吠え声を上げ、あるオークはデフィーラーに殺された家族や仲間のことを思い出しているのか、洟をすすりながら目を瞬いていた。そして、ルドン達、序列が上のメンバーの元に集まって、自分の胸に手を当てて何事か叫び、頷き合っているオークもいた。
フィラルオーク達はお互いの気持ちを確かめ合っているようだ。
ネイルやルドン達、副官クラスのオーク……バルカの群れに入るまではそれぞれ群れを率いていたオーク五名は、何も言わずに互いに頷きあった。
ネイルが胸壁の縁まで行き、下にいるバルカに向かって腕を振り上げる。
「バルカ・デ・ロカ!」
続いて他のオーク達が復唱する。
——バルカ・デ・ロカ!!
バルカは頭を掻きながら、照れくさそうに手を上げて応えていた。
そんな中、アクアル隊の面々が作成した対デフィーラー用の灰色の団子がフィラルオーク達に配られている。
「?」
「これ、武器ね。魔物に向かって投げる――違う違う。食べ物じゃない! さっきレバームス卿が説明してたでしょ!? 敵に向かって投げるの――うわ!?」
団子の匂いを嗅いで顔をしわくちゃにしてしかめっ面になっているオーク達に、メリルが何とか身振り手振りで伝えようとしているところへ、バルカが姿を現した。
地面から階上の胸壁までの高さはバルカの背丈の四倍以上だが、悠々と飛び越えてきたのだ。
バルカはささやくような詠唱を開始し腕を振り上げて、砦にいるレギオンメンバー全体に
手のひらに炎が生まれ、炎の中には文字のようなものが揺らめく。
強化魔法の尾オーラに包まれたフィラルオーク達は何かを察したように表情を引き締める。
中には既に武器を構える者もいた。
「戦いの準備だ。
アクアルの狩り場でも口にした命令だ。
もっと“戦闘準備だ”とか“配置につけ”という意味合いが深い言葉を使いたかったが、彼らに伝わる古語ではこれが限界だった。
それでも充分にバルカの意図は伝わったようで、アクアルの狩り場でヨロイ狼を迎え撃ったときのように、オーク隊は等間隔に胸壁の縁に展開した。
足元には灰色団子が積み重なっている。
今は夜だ。
冷えた空気が尾根から下に向かって吹いているというのに、霧は噴煙のように風に逆らって広がり、伸びて、山腹を覆い始めた。
バルカは、ウォルシュの姿を探した。
ウォルシュはレバームスと隣り合って、山下の異変を眺めていた。
「ウォルシュ。あの霧は魔法をかけられて、動いている」
「でしょうな。霧は漂うものですじゃ。風に逆らってあのように急激に上昇しながら広がったりはしない」
「あの霧は魔物の姿だけでなく気配を隠してしまう。隠蔽状態のまま攻撃を仕掛けられるのは不味い。山風を利用した風の魔法であの霧を吹き飛ばせないか?」
「〈
「俺は戦士だ。初歩的なのは使えても、広範囲魔法とかは無理だ……とりあえず、あんたの風魔法が届く距離を教えてくれ」
「
ウォルシュは指さしながら、砦を囲むボロボロの防壁を指さして言った。
その間にも霧は砦に迫っている。
魔法の霧はその中に潜むものを隠蔽していたが、距離が狭まったことでバルカは強い魔物の気配を感知し始めていた。
確実にワームナイトがいる。
「その距離なら充分だ。ちと背中に触るぞ」
手を伸ばし、ウォルシュの背にそっと触れた。
レギオンを組んだときに結ばれた霊体の繋がりを通して、バルカの霊体から発する霊力が、ウォルシュの霊体へと移出され、充填されていく。
「ほ!? 他者への〈霊力移出〉はかなりエネルギー効率が悪いはず? 戦いの前に大丈夫ですか」
「こんなのは消耗のうちには入らん。で、どうだ?」
すでにウォルシュは両手を上げて準備にかかっていた。
杖を両手で持って高く掲げると、ゆるりとした空気の流れが渦を巻き始めた。
「やってみせましょうッ」
「頼んだ。それと……レバームス」
「あいよ。バルカ、お前は突撃かますまえにお手本見せてやれよ?」
そう言って、レバームスは胸壁内側の下り階段を降りて、天守の下層へと向かった。
はたして――。
湿地を覆う霧はついに、砦の一番外側の第三郭部分にまで到達した。
照明杖の光に照らされた白い霧の向こうは何も見えない。
押し寄せる霧の速度は一層早まり、もう一段内側の郭に到達した。
ウォルシュの魔法の射程圏だ。
「それ!」
ウォルシュはバルカに与えられた霊力と自分の霊力を元に、強大な風の魔力を発生させた。
そして、魔法を放った。
山間を吹きすさぶ風を利用した〈暴風〉だ。
スキルとは念話などの例外を除けば自分の霊力を使って、自分自身のみで為す技。
魔法とは 自分以外の««何か»»に霊力で触れて働きかけて起こす現象なのだ。
砦と霧の間にある空気が凝縮したかに見えた。
照明が、巻き上がる土と郭の石壁の欠片を照らす。
爆ぜるような風音とともに、〈暴風〉は霧を吹き飛ばした。
霧が払われ、中に潜んでいたものが明らかになる。
甲殻類のようなヨロイ狼の殻を身に着けたワームナイトが何体もいる。
ヨロイ狼の外殻は白骨のような色をしているので、まるで異形の獣か骸骨の意匠を凝らした巨大な重装騎士のようにも見える。
そして、そのワームナイトの足元には無数の触手妖魔デフィーラーが蛇のような身体をくねらせながら、地を這ってワームナイトと同じ速度で行進していた。
「な……に? あれ……」
メリルは声を震わせ、彼の横にいたハントは顔をそむけて胸壁の石畳に顔を突っ込むようにして嘔吐した。
巨大な蛇か何かと錯覚しそうだが、デフィーラーはフィラルオーク達が肉の紐と表現するのも納得の姿だった。
色は内蔵や生肉の断面を連想させるような、赤系の色。全身は粘液で覆われており、照明杖の光に照らされてぬらぬらと油っぽい光沢をした表面は細長い舌のようにも、軟体動物の脚にも見える。
霧を吹き消されても全く動じる様子はなく、前進を続けている。
空中には巨大な目玉に四枚の
霧が取り払われた直後にバッと散開し、上昇した後に砦へと接近し始めた。
「プローブ・アイは放っておけ! ウォルシュは天守の中にッ」
「……儂も戦います」
〈暴風〉の魔法を放った後のウォルシュは顔面蒼白で、見るからに疲労困憊している。
「中で休んでくれ。その状態じゃ霊力も渡せない」
「……むう、あと二十、いや十歳若ければのう」
渋々バルカの指示に従い、レバームスが降りていった階段へ向かうウォルシュ。
バルカは灰色団子を大きな手で三個掴み上げると、今まさに最後の郭を乗り越えようとしている肉紐の濁流と化している触手群の先頭目がけて投げつけた。
団子は見事にデフィーラーに命中し、砕けて粉塵が飛散した。
すると灰色の粉まみれになった触手は前進を止め、狂ったようにのたうち始めた。
「ハント、僕らもっ」
「お、おう!」
ハントとメリルも、団子爆弾の効果をフィラルオーク達に見せつけるように、棒の先端に石などを包み込める革の巾着を紐で垂らした投石具を使って団子を投擲する。
粉まみれになったデフィーラーはやがて瀕死のミミズのようになって、触手群から取り残されていった。
直撃はしなくても地面に散らばった団子の破片や粉に接触するだけで、デフィーラーの動きが鈍くなる。
……デフィーラーの退治方法は魔王討伐戦の頃に既に考案されていた。
触手妖魔デフィーラーは全身が特殊な粘液で覆われており、この粘液を通して、体表全体で空気中の酸素と霊気を取り入れることで活動している。
メリン達がレバームスから教えられたレシピで作った灰色団子は、人間やオークの皮膚には何の影響も無いが、デフィーラーにとっては体表を覆う粘液を分解してしまう猛毒に等しい化合物でできているのだ。
ワームナイトに合体されると効果がほぼなくなるので、数が増える前にこの方法で駆除してしまうのが最善策とされていた。
「ロカ・メギ!」
「ウルド・ニド・ヒム!」
「ウルァ!」
“団子爆弾”の効果を目の当たりにしたフィラルオーク達は、我先にとバルカを真似て団子を掴んでは投げつける。
さすがの膂力で、その飛距離と速度は投石具を使っているハントやメリルをはるかに超えていた。
まるで一筋の川の流れのように動いていたデフィーラー達は団子爆弾の被害を抑えるために散開して砦の城壁を目指す。
「ハァ、ハァ……俺らは戦闘要員じゃ――ないのに!」
「団子爆弾の効果は証明できた。お前らも天守に避難しててくれ」
フィラルオークとは複雑な言葉のやりとりができないので、団子爆弾の効果を説明するよりも実際に“やって、見せる”必要があったのだ。
アクアル隊を後退させてから、バルカはただひとり、胸壁を飛び降りて魔物の群れに突進した。
バルカの接近を感知したのか、デフィーラーの触手群はバルカを避け、ワームナイトが立ちはだかった。
しかし、沼地の時のような積極的な攻撃は仕掛けてこない。攻撃の届くギリギリの範囲から触手鞭を振るってくる。
「こいつら……!」
バルカが一歩踏み出せば、その分下がる。
(時間稼ぎするつもりかッ)
バルカは戦斧を投擲した。
霊力を込めた戦斧はこれまでに見たこともない勢いを得た。
空気を切り裂き、音の壁を突き抜けて、最も近くにいたワームナイトに命中。
爆発音。
回避行動はおろか、防御動作もできなかったワームナイトの胸部が消し飛ぶ。
しかし斧槍の直撃で生み出す震動波ほどの威力は無い。
分離してデフィーラーに戻り、他のワームナイトと合流する。
戦斧が旋回して戻ってくる間、無手になったことで攻撃を仕掛けてくるかと思ったが、ワームナイトはこれまで以上にバルカから距離を取る。
(先にデフィーラーを薙ぎ倒すか?)
そんなことを考えながら、バルカは手元に戻ってきた戦斧の柄を握った。
× × ×
アーガ砦天守の下層部分。
夕暮れまでメリル達が団子爆弾を作成していた大部屋には今、ネイル達が陣取っている。
バルカ達がやってくる前から、元々この砦に避難していたオーク達だ。
「グルル……」
ネイルは不満そうに喉をならした。
バルカに“ここを守れ”と命じられた。
外からは戦いの音がする。
先ほど、バルカが自分たちを丈夫に、強く、動きを速くしてくれる魔法をかけてくれたのがわかった。嵐の時にしか聞いたことの無い風音もした。
ここには何もない。
戦うべき相手も。守るものも。
守るべきものは上の部屋にいる。
長バルカの大切なメトーリアも、自分の大切な子供も、上にいる。
ここにいて一体何を守れというのか。
「退屈させて悪いが、ここにいるんだぞネイル」
青い肌をした尖り耳のやせっぽちが何か言ってきた。
意味が理解できないが、ネイルは「フン!」と鼻を鳴らしておいた。
青肌の男(多分男だ。多分)は貯水槽近くの壁をしきりに気にしている。
そこは、元は石壁が崩れて穴が空いていた場所だ。
石や木を操るロカ・メギ……すごい魔法を使うしわくちゃの肌をした男が、穴を塞いで今はもう穴はない。
しわくちゃの男も部屋に来ていて、青肌と何かを話し始めた。
「レバームス卿。たしかにここには抜け道がありました。しかし、正確には抜け道の跡ですじゃ」
「ああ。要塞や砦といったものには、たいていこのような秘密通路がある」
「入り口の跡はありました。しかしすっかり風化していて、地下道は土砂で埋まっておりますぞ」
「ウォルシュ。デフィーラーは蛇やネズミが入り込めるようなわずかな隙間があれば、侵入できる。アーガ砦にもプローブ・アイがいたんだ。あいつらはデフィーラーとしてこっそりと侵入して、そこからワームナイトに合体するということもやってのける。万が一の事態にも備えておく必要が……ちょっとまった」
青肌が壁に耳を当てている。
なんだ? 何かが聞こえているのか?
いや、外の音がうるさくて分からない。
――ネイルがそう思った次の瞬間、青肌……レバームスは壁から跳び退った。
× × ×
板張りが砕け、石壁が割れ、そこからデフィーラーが現れた。
まるで落ち葉の間から顔を覗かせる巨大なミミズか蛭のように。
だがその動きの速さはしなる鞭だ。
後退したレバームスの胸を貫かんと触手の先端が伸びた刹那、レバームスの身体が風に舞う木の葉のように更に後方に流れ、半回転した。
ネイルが斧槍を振るい、レバームスを襲ったデフィーラーを切断する。
「お見事――にしても嫌な展開だ。一応、俺も戦闘準備しとくか」
微笑んで賛辞を送りながら、レバームスはだらりと下げていた右手をひくつかせた。
ネイルはレバームスの素早い身のこなしに驚き、次にレバームスの袖口からシュッと出てきて彼の手に収まった物を見て、呆れたような、がっかりしたような顔になる。
レバームスが取り出した物が、あまりにも小さすぎる、小型のナイフ? みたいなものだったからだ。
――ボコ。
その間にも石壁が砕ける音と共に、新手のデフィーラーが現れる。
かけつけたメリルやハント達、アクアル隊の面々が団子爆弾を投げつける。
オーク達はみな槍や斧槍、矛槍などの長柄武器でデフィーラーを突き刺し、ウォルシュは両手で杖をつき、姿勢を正して状況を見守っている。
ネイル達は良く戦っていたが、少々勢いがありすぎる。
デフィーラーを刺し殺すとき、石壁も崩してしまっている。
だがそれをどうこうすることはできない。
ネイル達はバルカの強化魔法のおかげで、やっとデフィーラーの動きを捉えることができている。手加減する余裕は無さそうだった。
「ウォルシュ。石壁を魔法で再度ふさげないか?」
最初は亀裂のような隙間だった進入口は、オークの攻撃とおそらくデフィーラーの内側からの掘削ですでに人がひとり潜り込めるほどの穴になっていた。
「申し訳ないっ。既に試みているのですが、うまく集中できず――ッ」
ウォルシュの言葉はそこで中断された。
穴の中から四枚羽根の目玉が飛び出してきて、瞬時に空気の中に溶け込むように姿を隠したのを見たからだ。
「プローブ・アイだ! コイツを先に倒せ!」
「ナ、
レバームスが叫ぶ。
しかし、ネイルでさえ、プローブ・アイの位置を把握できないようで、デフィーラー退治に奔走していたフィラルオーク達のうち半数が頭を上げて、プローブ・アイの姿を必死に探すが、為す術がない。
「もっと嫌な展開になってきた……もういい。ニド・ヒム! ニド・ヒム!」
フィラルオーク達は慌てて壁に空いた今や大柄なオークが入り込めそうなくらいの穴から次々と沸いてくるデフィーラーの対処に戻る。
レバームスは天守の上層へと続く階段口まで下がり、天井に視線を巡らす。
ネイル達のように闇雲に見回しているわけではなく、レバームスの目は飛び回っているモノの動きを捉え、追っているようだった。
レバームスは空気の揺らめきとプローブ・アイが階段口に迫る気配を感じ取った。
その瞬間にはレバームスは右手の武器を閃かせ、動いていた。
鋸の刃が何かの金属と擦れるような、耳障りなようで、どこか繊細で美しい音がほんの僅かな間だけ大部屋内に響き渡った。
ぼとりと、レバームスの足元にプローブ・アイが落下する。
目玉の部分を刺し貫かれて死んでいた。
「レ、レバームス卿が倒したの?」
「そ、そうだろ……多分」
団子爆弾が無くなったので、手持ちぶさたになっていたメリルとハントだけがレバームスの方を見ていたのだが、見えたものといえば、レバームスが小さな短剣を振りかざした時に、金属音と共に鋭角的な光る何かが一瞬だけ頭上に向かって伸びたことだけだ。
レバームスは肩を落とし、背中を丸めて大きく息を吐いた。
たった一振り、短剣を振っただけで、レバームスの全身から疲れがにじんでいる。
「ハント、メリル。上にいるメトーリアに伝えてくれ。絶対に隠れたままじっとしていろと」
苦しげにそう言う間にも、新たなプローブ・アイが壁穴から室内に入り込んできた。
× × ×
我らは決断を下した。
ワームナイトで例の“危険なオーク”を引きつけておいて、その間に触手群で砦を攻撃……少しでもひとりでも多く、オークを殺す。
団子爆弾の雨を降らされ、動きが鈍りながらも、砦の天守の城壁にたどり着いたデフィーラーは壁を這い上る。
だが、胸壁で待ち受けるオーク達に斬られ、突かれ、潰されて、未だに壁を越えて天守に侵入できないでいる。
砦の外から攻めたデフィーラー達は、だが。
砦上空を旋回するプローブ・アイは砦の内と外で起こっている状況を魔物達全体につぶさに伝達し、情報を共有している。
このままでは勝敗は決する。
この攻撃に参加した我らは全滅して終わりだ。
だが、我らは決断した。
弱点をつけばどうか。
オークという種族は、幼体(子供)を守る。
傷ついた者も助けようとする。
強い個体が犠牲になってでも。
それは、湿原からオークを排除したときに確認済みだ。
これまでも、そして沼地の戦いでも、あの“危険なオーク”がひとりの人間の女を“大事に”していることも確認済みだ。
だから、あの人間の女は“危険なオーク”の弱点だ。
他に勝算はない。
砦に攻め入った触手群とワームナイトは囮だ。
大量に損耗するが、この人間の女を捕らえれば、あの“危険なオーク”は無抵抗になるかもしれない。
そのような事例を、湿原を占拠するときに他のオークの個体から確認もしている。
さがせ。さがせ。
あの女を捜すのだ。
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