第30話 私と悠人㉚

「ねぇ、もしかして彼氏ができたんじゃない?」

いきなり核心を突かれてしまい、動揺してしまったが、すぐに否定することにした。すると、彼女は笑いながら言った。

「あはは、冗談だってば!でも、本当に困ったことがあったら相談してね?力になれるかは分からないけど、話くらいは聞けるからさ」

その言葉を聞いた瞬間、胸が熱くなった気がした。

この人になら話してもいいかなと思い、思い切って打ち明けることにした。

実は最近仕事がうまくいかなくて悩んでいること、上司から叱責されて落ち込んでいたことなどを話すと、彼女は真剣に聞いてくれた。

そして、こう言ってくれたのだ。

「そっかぁ、それは大変だったね、お疲れ様。でも、一人で抱え込まなくていいんだよ? 私でよければいつでも話を聞くからさ、遠慮しないで言ってほしいな」

その言葉を聞いた瞬間、涙が溢れてきた。

それを隠そうと俯いたが、すぐに気づかれてしまったようだ。

彼女は優しく抱きしめてくれた。

それが嬉しくて、さらに泣いてしまったが、しばらくすると落ち着いてきたので、お礼を言った後で仕事に戻ったのだった。

その夜、帰宅すると早速彼女に相談することにした。

「あの、実は私、今上司からひどいことを言われて落ち込んでいて……どうしたら良いでしょうか?」

そう尋ねると、彼女は少し考えた後で答えた。

真鍋さんの助けを借りて仕事に復帰した後、何度かミスをしてしまい、上司に叱られてしまった。

そんなある日、真鍋さんから心配のメールが届いたので、彼女から励まされ、とても勇気づけられた私は、気を取り直して頑張ることができた。

そして、ある日のこと、ついに私が担当していた仕事が成功したのだ。

仕事を終えた帰り道、家に着いた途端、嬉しくて涙が止まらなかった。

真鍋さんがいなかったらどうなっていたか分からなかったと思うとゾッとする思いだったが、それ以上に嬉しかったことを彼女に伝えたくて仕方がなかった。

その後、私がミスをしてしまうこともなくなり、真鍋さんに相談することもなくなっていたのだが、ある日突然、彼女の方から連絡が来た。

何かあったのだろうかと思っていると、電話口から聞こえてきた声は意外なものだった。

彼女は、

「久しぶり! 元気にしてる?実はちょっと相談したいことがあってさ、会えないかな?」

と言ってきたのだ。

突然のことで驚いたが、断る理由もなかったので、翌日に会う約束をしたのだった。

約束の時間になり、待ち合わせ場所に行くと、既に彼女が待っていたので、慌てて駆け寄った。

すみませんと言いながら謝ると、彼女は笑って許してくれた。

それから、近くのカフェに入り、話をすることになったのだが、そこで聞かされた話は驚くべきものだった。

なんと、彼女は会社を辞めることにしたというのだ!

しかもその理由というのが、なんと私と同じ部署の上司にセクハラされたというもので、

それを聞いた私は言葉を失ってしまった。

それから、彼女はこう続けた。

「実はさ、あの上司に呼び出されて、いきなり押し倒されたんだよ。

抵抗したんだけど、全然歯が立たなくて……結局最後までされちゃったんだ」

それを聞いて、ショックを受けると同時に怒りが込み上げてきた。なぜ彼女がこんな目に遭わなければならないのかと考えると、悔しくて涙が出そうになったが、

なんとか堪えることができた。

しかし、当の本人である真鍋さんはと言うと、意外とケロッとしている様子だったので不思議に思ったのだが、その理由はすぐに分かった。

どうやら彼女は、上司の弱みを握って脅したらしいのだ。

なんでも、彼女が上司から受けたセクハラ行為を録音していたらしく、それをネタにして脅したというのだ。

それを聞いて、私は開いた口が塞がらなかった。

でも、それでも許せないことがあると思う。

彼女の尊厳を踏みにじった行為を許すわけにはいかないのだ。

そう思った私は、改めて彼女にお礼を言った後で、今後どうするのか尋ねたところ、

しばらく会社を休むつもりだという答えが返ってきたので安心したのだった。

それからというもの、私たちは定期的に連絡を取り合うようになったのだが、その中でお互いのことをより深く理解することができたように思う。

そして、いつしか私にとって彼女は大切な存在になっていったのである。

一方その頃、美咲との幸せな生活を送っている悠人はというと、 美咲との結婚式の前日、美咲は悪夢を見た。

突然、夢の中に現れた女性が、何者かに殺されて、そして目が覚めた時、私は思い出したのだ。

前世で、私が愛した人の名を、そしてその人がいつ死んだのかを。

旅をしていれば当然野宿することもあるし、魔物や盗賊に襲われることもある。その時は魔法の出番だ。

まずは身体強化魔法を使って身体を丈夫にする。

次に広範囲を攻撃する火属性魔法を連続で放ち、更に風魔法で爆炎を巻き起こすことで一気に制圧するのだ。

これで大抵の敵は倒せるはずだ。次に治癒魔法を使って怪我や疲労を回復させる。

こちらも範囲魔法で、仲間全員を癒すことができる。その後は周辺を警戒しつつ、休憩を取ることになる。

これで旅の安全性は確保できるはずだ。

それに、この魔法があれば怖いものなど何もない!

そう思えるほど頼もしい存在だった。

そんなことを考えているうちに、いつの間にか眠りに落ちていたようだ。翌朝目を覚ますと、既に日が高く昇っていた。慌てて支度をし、すぐに出

発することにする。目的地はもうすぐだ。

しばらく歩くと、ようやく国境に到着したようだ。入国手続きを済ませると、いよいよ冒険が始まると思うと胸が高鳴った。これからどんなことが待っているのだろうか?

待に胸を膨らませ、一歩を踏み出した。

まずは宿の確保だ。旅の疲れを癒すためにも、しっかりと休養を取る必要があるからだ。

そして、食事を済ませた後は情報収集を行うことにした。

旅に必要な道具や食料、武器防具などを揃える必要があるからだ。

もちろん、仲間も探すつもりだ。信頼できるパートナーが欲しいところだが、果たして見つかるだろうか?

翌日、早速ギルドへ向かうことにした。

何か有益な情報が得られるかもしれないからだ。

しかし、それは思いもよらぬ結果をもたらした。

なんと、私たちのパーティーに加わってくれる人が現れたのだ!

しかもその人は女性だった。

名前はユリカといい、年齢は22歳だという。

長い黒髪と切れ長の目が特徴的な美人さんだ。

ちなみに職業は僧侶らしいのだが、戦闘能力も高いというから驚きである。

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