第18話 私と悠人⑱
「んちゅ、れろ、ぴちゃ、じゅるぅ、んっ、はぁ、あむ、んん、ぷはっ、
はぁ、はぁ、ふぅ、やっと終わった?」
息継ぎの合間に尋ねると、彼は頷いて答えた。
「悠人、私デートしたいな」
「えっ、いいけど、どこ行きたいの?」
唐突なお願いだったためか、戸惑った様子を見せつつも了承してくれたようだ。
なので、早速希望を伝えることにする。
「うーん、そうだなぁ、遊園地に行きたいかな!」
私がそう言うと、悠人は納得したような表情を見せた後で頷いた後、こう続けた。
「わかった、それじゃあ今度の休みにでも行こうか」
こうして私たちは次の休日に遊園地に行くことになったのである。
当日、駅で待ち合わせをしていた私達は、合流してから電車に乗った。
目的地までは1時間ほどかかるということだったので、その間は他愛もない話をしていたのだが、
ふと会話が途切れたタイミングで悠人がこんなことを言い出したの。
「あのさ、俺、ずっと前から言いたかったことがあるんだけど、いいかな?」
突然どうしたのだろうと思いつつも頷くと、彼は真剣な表情になって話し始めた。
「美咲ってエッチ好きだろ」
「なっ!? いきなり何を言い出すのよ!」
慌てて否定するが、時すでに遅しといった状況であることは明らかであり、その証拠に彼の顔には笑みが浮かんでいたのだから始末におえないというものだ。
こうなったら開き直ってやるしかないと思い、開き直ることを決意した私は堂々と宣言することにしたの!
「そうよ、悪い? だって気持ちいいんだもん仕方ないじゃん! 文句あるならさせてあげないよ!?」
と言い放つと、そのままそっぽを向いてしまったのだが、内心ではかなりドキドキしており、心臓の音がうるさいくらいに鳴り響いていた。
しばらく沈黙が続いた後、不意に名前を呼ばれたかと思うと、次の瞬間には唇を奪われていたことに気づき、目を見開くと同時に思考が停止してしまった。
「ごめん、冗談だよ、怒らないでくれ、頼むからさ」
そう言って優しく頭を撫でられると、不思議と怒りが収まっていくような気がした。
それどころか心地良さすら感じてしまい、自然と頬が緩んでしまうほどだった。
その様子を見ていたのか、悠人がクスクスと笑う声が聞こえてきたので、恥ずかしくなって顔を背けようとしたのだが、
それよりも早く抱きしめられてしまったことで身動きが取れなくなってしまった。
そのため、仕方なく諦めてされるがままになっていることにしたのだった。
しばらくして満足したらしく、ようやく解放された時にはすっかり息が上がってしまっていた。
それを見た悠人が申し訳なさそうな表情を見せるのを見て、つい許してしまいそうになるが、
なんとか堪えて睨みつけることで抗議の意思を示すことに成功した。
その後、しばらくは気まずい雰囲気が続いていたのだが、途中で乗り換えのために降りた駅の近くには大きな公園があったので、
そこで休憩することになったの。
ベンチに座って一息ついていると、隣に座った悠人から声を掛けられたので振り向くと、唐突にキスをされてしまった。
驚いて離れようとするものの、いつの間にか腰に腕を回されており逃げることができなかったため、仕方なく受け入れることにしたのだった。
しばらく続けているうちに頭がボーッとしてきた頃を見計らって唇が離された頃には完全に脱力しきっており、もはや抵抗する気力もなかった。
そして、そんな状態の私を抱きかかえるようにして歩き出した悠人に連れて行かれたのは、人気のない茂みの中でした。
「ここで沢山キスしよう」
「へっ? なんでこんなところでするの?」
思わず聞き返すが、それに対して返ってきた答えは予想外のものだった。
なんと、ここは野外プレイをするカップル御用達のスポットなのだという。
なんでも、そういう性癖を持った人達が集まる場所らしいのだが、私にはいまいち理解できなかった。
そもそも、なんでそんなことをする必要があるのだろうかと思ったくらいだ。
しかし、今はそんなことよりももっと大事なことがあったの。
それは、悠人の様子がいつもと違うということであった。
なんというか、いつもより積極的というか、強引だと感じたの。
普段の彼ならば絶対にしないような行動ばかりしてくるため、戸惑いを隠せなかった。
それでも拒絶することができないのは、私自身もこの異常な状況に興奮しているからなのかもしれないと思い始めていた。
そうして、されるがままになっていた結果、気づけば悠人とキスをしていた。
「ちゅっ、くちゅっ、れろっ、んんっ、ちゅうぅぅ」
舌を絡ませ合い唾液を交換し合う濃厚なディープキスを終えると、そこには完全に蕩けきった表情になった私の顔がありました。
もう何も考えられないくらい頭の中が真っ白になってしまい、ただ快感を求めるだけの雌犬になってしまったような気分でした。
そんな状態でさえも幸せを感じることができるのだから不思議ですよね。
その後、悠人と何度も愛し合い、帰路するのです。
帰り際にもう一度キスをして別れた後は、余韻に浸りながら眠りにつきました。
翌朝目を覚ますと、昨夜の出来事を思い出して悶絶してしまうほどでしたが、同時に幸せな気分にもなれたので良しとすることにしました。
それからしばらくの間、仕事中も上の空になってしまうことが多くなったのですが、それも仕方のないことだと言えるでしょう。
何しろ、あんなことがあったのですから当然といえば当然のことなのですから……。
それに、それだけではありませんしね。
実は最近、身体の調子が悪いような気がするんです。
具体的には倦怠感や発熱などですね。
最初はただの風邪だと思っていたんですが、一向に治る気配はありませんし、むしろ悪化していく一方なんです。
さすがにおかしいと思って病院に行ったところ、医師からはストレスが原因だと告げられてしまいました。
どうやら私の場合、仕事が忙しい時期になると体調が悪くなる傾向があるようでして、
今回もそれが原因ではないかということでした。
確かに思い当たる節はあるんですよね……最近は特に忙しかったですしね。
でも、まさかそれだけでこんなことになるなんて思いもしませんでしたよ。
おかげで会社を休んで自宅で療養することを余儀なくされちゃいましたからね。
まぁ、自業自得なんですけど、それにしても辛いものがありますよね。
そんなわけで暇潰しにスマホを弄っていたら偶然見つけた広告を見て、興味本位で応募してみたのですが、
これが見事に当選してしまいまして、今に至るというわけなんですよね〜。
というわけで、早速待ち合わせ場所に向かったわけですが、そこにいたのは、いかにもという感じの男性でした。
歳は30代半ばといったところでしょうか、清潔感のある服装をしており、爽やかな笑顔を浮かべている好青年といった感じです。
正直、好みではないんですけど、これも仕事のうちですから割り切らないといけませんしね。
そんなことを考えながら、彼に促されるままに車に乗り込むことになりました。
道中は特に会話もなく、静かな時間が流れていたのですが、やがて目的地に到着したらしく、車が停車しました。
そこは大きなホテルのような建物であり、一見すると普通のビジネスホテルのように見えましたが、
よく見ると入口のところに料金表のようなものがあることに気づきました。
それを見て、ここがどういう目的の施設なのかを理解した私は、途端に恥ずかしくなってしまいました。
なぜなら、そこがビジネスホテルじゃなかったのです。
(どうしよう、本当に来ちゃったよぉ)
そんなことを考えているうちに、男性の方は慣れた様子で手続きを済ませ、部屋へと向かっていきました。
しかし、私には愛する夫の悠人がいるし、良くないし、私はこう言うの。
「御免なさい、帰りますっ!」
そう言い残して走り去ったの。
後ろから何か言われた気がするけど聞こえないふりをした。
そして、急いで家に帰ったんだ。
家に帰る途中、知らないおじさんに声かけられたんだよ。
そしたら、そのおじさんが私にこう言ったの。
「君、可愛いねぇ、おじさんと一緒に来ないかい?」
って言ってきたんだけど、私は怖くなって逃げだしたんだよね。
それで家まで帰ってきたってわけなんだけど、なんだか嫌な予感がするんだ。
なんだろう、この胸騒ぎは……そう思いながらドアを開けると、そこには悠人が立っていたの。
すごく怒ってるみたいで怖かったんだけどね、事情を説明したらわかってくれたみたい。
よかったぁって思ったんだけどさ、なんか様子がおかしいっていうか、目が据わってる感じがするのよね。
なんていうか、獲物を狙う肉食獣みたいな目でこっちを見てくるのよ。
ちょっと怖いかもって思って後ずさりしようとした瞬間、腕を掴まれて引き寄せられてしまったの。
そのまま強引にキスされて押し倒されちゃったんだけど、抵抗しても無駄だったわ。
結局最後までされちゃったんだけどね、終わった後もずっと抱きしめられたままで身動きが取れなかったのよ。
しかも、耳元で囁かれた言葉があまりにも衝撃的だったから今でも忘れられないのよね。
「美咲、好きだ、愛してる」
と言ってくれたの。
もう嬉しすぎてどうにかなっちゃいそうだったわよ。
その後、二人で一緒にシャワーを浴びることになったんだけど、その時にまた襲われそうになったんだけど、今度はちゃんと断ったわよ!
だって、これ以上したら赤ちゃんできちゃうかもしれないじゃない?
だから、我慢してもらうことにしたの。
その代わりに、今度デートに行く約束を取り付けたけどね。
えへへ、楽しみだなぁ。
次の日、会社に出勤すると、悠人からメールが届いたので見てみると、内容はこう書かれていた。
(おはよう、昨日は楽しかったね、今日も頑張ろう)
それを見て、私は思わず赤面してしまった。
昨日のことを思い出してしまったの。
恥ずかしくて死にそうになりながらもなんとか返信を送ることができたのは奇跡に近いと思う。
その後は仕事に集中できなかったせいでミスばかりしてしまい、上司に注意されてしまったが、それすらも気にならないほど浮かれていた。
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