第5話 私と悠人⑤
「さぁ、着いたよ」
と言ってドアを開けると、中に入ったところで再びキスされました。
今度は先程よりも長く濃厚なものでした。
ようやく解放された時には息が上がってしまっていて、足元もふらついていました。
すると、すかさず抱き抱えられてしまいました。
お姫様抱っこというやつです。
恥ずかしくて顔から火が出そうでしたが、同時に嬉しくもあったので黙って受け入れることにしました。
そのままベッドまで運ばれてから優しく下ろされました。
ふかふかな感触が心地良いですね。
そんなことを思っていると、彼も隣に横になってきました。
「ねえ、悠人」
名前を呼んでみましたが返事はありませんでした。
どうやら眠ってしまったようです。
寝顔を見ているとなんだか愛おしく思えてきたので、頭を撫でてあげることにしました。
サラサラとした髪の感触が気持ちいいです。
しばらくすると、悠人も目を覚ましたようなので、朝食を食べに行くことにしました。
ホテルのレストランで食事をした後、チェックアウトを済ませた後、街の中を散策することにしました。
特に目的があったわけではないのですが、ただ二人で一緒に歩きたかっただけです。
途中で洋服屋さんがあったので、入ってみることにしました。
「いらっしゃいませ〜」
店員さんに案内されながら店内を見て回りましたが、どれも可愛くて目移りしてしまいますね……。
そんな中で一番気に入った服を見つけられた時は思わずガッツポーズをしてしまいました。
その後も色々と見て回った結果、最終的に一着だけ購入することになりました。
家に帰ってからは早速着替えることにしましょう。
楽しみが増えましたね〜。
その後は本屋さんに行って小説を買って帰りました。
帰宅後は買ったばかりの本を読んで過ごしていますが、なかなか面白い作品ばかりで夢中になって読んでしまいますね。
気づけば夜遅くなっていたので慌ててお風呂に入ることにしました。
そんな時に悠人がお風呂に入って来るのです。
「きゃっ!?」
驚いて悲鳴を上げるも、悠人は気にする様子もなく近づいてきます。
そして、背後から抱きしめられる形で湯船に浸かることになり、身動きが取れなくなってしまいました。
「キスするよ」
「えっ?」
聞き返す間もなく唇を奪われてしまいます。
最初は軽く触れるだけの軽いものでしたが、次第に舌を絡め合う濃厚なものに変わっていきました。
頭がボーッとしてきて何も考えられなくなるほど気持ちが良く、気がついた時には自分から求めてしまっていました。
その後のことはよく覚えていませんが、翌朝目が覚めた時、下着姿のまま抱き合って寝ていたことから察するに、
そういうことをしたのでしょう……。
恥ずかしいですが、嬉しかったのも事実なので良しとしましょうかね……。
「ふふっ、可愛い子だなお前は♡」
そう言って頭を撫でられたので恥ずかしくなって俯いていると、不意に抱き上げられて膝の上に乗せられてしまいました。
「キスしてくれよ」
「はい、わかりましたぁ♡」
言われるままにキスをすると、口の中に舌を入れてきて絡められました。
それに応えるように私も必死に応えていると、いつの間にかベッドの上に押し倒されていました。
そして、そのまま朝まで愛し合ったのです。
次の日になると、悠人は会社に行かなくてはならないということで、名残惜しそうにしながらも出かけて行きました。
一人残された私は寂しく思いながらも家事をこなしていくことにします。
一通り終わらせたところで、することがなくなってしまったので、暇潰しのために散歩に行くことにしたのです。
外はすっかり暗くなっており、街灯の明かりだけが頼りなく道を照らしている状態だった。
ふと空を見上げると、そこには満天の星空が広がっているのが見えた。
その光景はとても美しく、見ているだけで心が洗われるようだった。
(綺麗……)
うっとりと見惚れていると、突然後ろから声をかけられた。
振り返ると、そこには悠人が立っていた。
「あれ、悠人、どうしたの? こんな遅くに」
不思議に思って尋ねると、彼は照れ臭そうにしながら答えた。
「いや、その、どうしても君に会いたくなってしまって、つい来てしまったんだ。迷惑だったかい?」
不安そうに聞いてくる彼に、私は笑顔で答える。
「ううん、そんなことないよ! むしろ嬉しいくらいだよ!」
そう言うと、彼はホッとした表情を浮かべた後、私の手を掴んで歩き始めた。
どこに行くんだろうと思っているうちに、気がつけば公園の前に立っていた。
そこで立ち止まると、私の方に向き直った後で口を開いた。
「……実は、今日は君に渡したいものがあるんだ」
(渡したいもの……? なんだろう?)
疑問に思っていると、悠人が鞄の中から小さな箱を取り出した。
それを手渡されたので開けてみると、中には宝石が入っていた。
それは、太陽の光を受けてキラキラと輝いており、とても美しかった。
私はそれを見て感動していたが、同時に不安にもなった。
何故なら、どう見ても高価な物にしか見えなかったからだ。
恐る恐る尋ねてみると、返ってきた答えは意外なものだった。
悠人は微笑みながら言う。
「大丈夫だよ、そんなに高いものじゃないから安心してくれ」
それを聞いて安心した私は、改めてお礼を言った後、さっそく身につけてみることにした。
まずはネックレスを手に取り首につけることにする。
すると、胸元に輝く青い石が目に入った瞬間、不思議な感覚に襲われたような気がした。
まるで、自分の身体が自分のものではないかのような錯覚に陥ってしまうほどだ。
次に指輪を手に取ると、右手の薬指にはめてみた。
サイズはぴったりであるようだ。
最後にブレスレットを身につけようとしたところで、急に目眩に襲われてしまい倒れそうになるところを、悠人に支えられたのだった。
それから数日後、私は一人で街を散策していたところ、偶然にも悠人の姿を見かけたため声をかけようとしたが、
それよりも先に向こうの方が気づいてしまったらしく、こちらに駆け寄ってくるなり抱きついてきた。
突然のことに驚いている間に唇を奪われてしまう。
抵抗することもできずにいる内に、気がつくと私達が住んでいる家へ連れて行かれる。
家へ着くなり、中へ入れば、キスされる。
「んっ、んん、んぅ、ちゅぱ、れろ、じゅぷっ」
「はぁ、はぁ、んんっ、ちゅっ、ちゅうっ、んふぅ、ぷはっ、はあ、はあ……」
ようやく解放される頃には息も絶えだえになっていたものの、それでもなお興奮冷めやらぬ様子でこちらを見つめてくる彼に対して、
思わずドキッとすると同時に胸が高鳴るのを感じた。
(ああ、どうしよう、このままじゃまずいよね?)
と思いつつも、身体は言うことを聞いてくれないようで、結局されるがままになってしまうのだった。
それからしばらくして解放された時には、既にクタクタになっていたのだが、
休む間もなく次のラウンドが始まったことで、さらなる地獄を見る羽目になった。
「ひゃうっ!? ちょ、ちょっと待って、休ませて、お願いだからぁ!」
懇願しても無駄であることはわかっていたが、それでも言わずにいられなかったのだ。
「駄目だよ、キスするからね」
しかし、やはり聞き入れてくれるはずもなく、問答無用とばかりに唇を奪われてしまう。
しかも、それだけにとどまらず、舌を入れられてしまい、口内を蹂躙されてしまう始末であった。
その間、両手はしっかりと押さえつけられており、抵抗すらままならない状態であったため、されるがままの状態が続くしかなかったのである。
ようやく解放された時には、完全に脱力しきっており、まともに立つことすらできなくなっていたほどだった。
そんな私を抱きかかえるようにして寝室へと連れて行き、ベッドの上に寝かせると、
その上に覆い被さってくるようにして覆いかぶさってきた。
そして、耳元で囁かれる。
「さぁ、始めようか♡」
その言葉を聞いた途端、背筋にゾクッという感覚が走り、鳥肌が立ち始めたのがわかった。
これから何をされるのか想像してしまったせいで緊張してしまい、心臓の鼓動が激しくなるのがわかる。
そんな私の様子を見た彼がクスリと笑ったかと思うと、首筋に吸い付いてきたため、ビクッと身体を震わせてしまった。
そのまま舌を這わせたり甘噛みされたりしているうちにだんだんと変な気分になってきたところで、今度は耳を舐められたものだから堪らない気持ちになった。
「美咲、もっとキスして欲しいかい?」
そう言われて一瞬迷ったものの、素直に頷くと再び唇を重ねられることになった。
最初は軽く触れるだけのキスだったが、次第に深いものに変わっていき、最後には舌を絡め合う濃厚なものになっていった。
唾液を流し込まれ、飲み込む度に身体が熱くなっていくような感覚を覚えると共に、頭がボーッとしてくるような感じがした。
しばらくそうした後、ゆっくりと離れていく彼の顔を見つめながら、名残惜しさを感じていたが、
すぐにまたキスをしてもらえると思い、期待に満ちた眼差しを向けていると、何故か苦笑されてしまった。
不思議に思っていると、不意に頭を撫でられたので、驚いて顔を上げると、そこには優しい笑みを浮かべた彼の顔があった。
(あ、可愛いかも……)
と思いながら見つめていると、不意に抱きしめられてしまい、心臓が跳ね上がるような感覚を覚えた。
それと同時に顔が熱くなるのを感じると同時に、胸の鼓動が激しくなった気がした。
そのまましばらくの間抱き合っていたのだが、やがて満足したのか解放してくれたのでホッとする反面、少し残念でもあった。
その後、一緒にお風呂に入ったり食事をしたりして過ごした後、ベッドで一緒に寝ることになったのだが、
その際もまた何度もキスをされた挙げ句、お尻を揉まれるというセクハラを受けたりもしたが、不思議と嫌な気持ちにはならなかった。
むしろ、求められているような気がして嬉しかったくらいです。
翌朝目を覚ますと、隣には素肌のまま眠る悠人の姿があった。
昨夜のことを思い出して恥ずかしくなりつつも、起こさないようにそっとベッドから出て着替えを済ませた後、
朝食の準備に取り掛かることにした。
メニューは何にしようかなと考えているうちに、あることを思いついた私は早速準備に取りかかることにした。
数分後、出来上がった料理をテーブルに並べる頃には、彼も目を覚ましており、寝ぼけ眼でこちらを見ていた。
どうやらまだ状況が理解できていないらしい様子だったので、苦笑しながら説明することにする。
それを聞いた悠人は、顔を赤くしながら謝ってきたので、別に気にしてないことを伝えた上で、食事にすることにする。
食べ終わると、食器を片付けてから出かける支度をする。
今日は休日なので、二人でデートする予定なのだ。
「悠人、今日は何処へ連れてってくれるの?」
「そうだなぁ、遊園地にでも行こうかと思ってるんだけど、どうかな?」
その言葉に目を輝かせながら、私は即答した。
「行きたい! 早く行こうよ!」
そう言って彼の手を掴むと、グイグイ引っ張っていく。
悠人は苦笑しながらも、ついてきてくれた。
こうして私達は、楽しい一日を過ごすことができたのだった。
その後、帰宅した後は、いつも通りの生活に戻ったのだが、夜になると、昨日と同じように悠人がやってきて、
求めてきたので、それに応えることにした。
翌日、目が覚めると、悠人の姿はなかった。
その代わり、テーブルの上に置き手紙があったので読んでみると、急な用事ができたらしく、先に会社へ行くという内容だった。
私はがっかりしつつも、仕方ないことだと割り切って、自分も出勤することにした。
その日以降も、毎晩のように求められて、その度に応じることになるのだが、
そのおかげで体力的にも精神的にもかなり疲れてしまっていた。
そのせいで最近は寝不足気味であり、仕事中に居眠りしてしまうこともしばしばあったくらいだ。
そんな状況が続いていたある日のことだった。
私が帰宅すると、玄関の前に誰かが立っているのが見えた。
よく見ると、その人物は悠人だった。
彼は私に気がつくと、笑顔で手を振ってきた。
「悠人、如何して中へ入らないの? 鍵は?」
「いやぁ、実は失くしてしまってね、あはは……」
(この人、本当に大丈夫なのだろうか……?)
と思いつつ、とりあえず家の中へと招き入れることにした。
リビングに入ると、悠人が突然後ろから抱き着いてきたため、驚きのあまり硬直していると、耳元で囁かれた。
「俺の愛しい美咲」
私は顔を真っ赤にして俯くことしかできなかった。
それからというもの、毎日のように悠人は毎日のように私の事を求めて来る。
「美咲、もっとキスしよう」
「えっ、ちょっと、待って、んっ、んん、ちゅぱ、れろ、じゅぷっ、んふぅ、ぷはっ」
結局その日は一日中ずっとイチャイチャしっぱなしで、気づけば日が暮れていたほどだった。
もう何度目になるかわからないほどの回数をこなした後、ようやく満足してくれたらしく、解放されることになったのだが、
その時の表情はとても幸せそうだった。
私もそれを見て嬉しくなったので、自然と笑みが溢れてくるのがわかった。
「えへへ、悠人と一緒だとすっごく安心するよ」
そう言いながら抱きつくと、彼も抱きしめ返してくれた。
それが嬉しくて、つい甘えてしまいたくなる衝動に駆られたが、なんとか我慢することができたようだ。
それから数日後、いつものように朝起きると、隣で寝ていたはずの悠人の姿がなかった。
不思議に思って周囲を見回すと、机の上に書き置きが残されていることに気づいた。
それを読んでみると、どうやら急用ができて出かけているらしいことがわかった。
その内容を見る限り、かなり急ぎの案件らしく、今すぐにでも行かなければならないらしかった。
そこで、仕方なく一人で出かけることにした。
電車に乗っている間、ぼんやりと窓の外を眺めていたのだが、ふとした瞬間にあることを思い出したため、慌てて鞄の中を探る。
目的の物はすぐに見つかったので、ほっと胸を撫で下ろす。
それは、悠人から貰った結婚指輪であった。
結婚記念日に贈られたもので、普段はネックレスとして身につけているのだが、時折こうやって取り出して眺めてみたりすることがあるのだ。
そんなことをしているうちに、目的地に到着したので、電車を降りて改札を通る。
それから、駅を出て歩いているうちに、段々と憂鬱な気分になってきた。
というのも、今朝から体調が悪いせいである。
頭痛や吐き気があり、足元もふらついている状態だ。
(まずいなぁ、こんな状態で外出なんてするんじゃなかった)
後悔してももう遅い。
とにかく今は一刻も早く家に帰ることだけを考えなければ……そう思いながら必死に足を動かすものの、思うように前に進まない。
それどころか、ますます悪化している気がする。
このままでは倒れてしまうかもしれないと思った時、背後から声をかけられたような気がしたが、返事をする気力もなく、その場に蹲ってしまう。
意識が朦朧としてきて、もう駄目かと思った瞬間、誰かに抱き上げられた感覚があった。
そして、そのまま何処かへと運ばれていくのを感じたが、抵抗することも出来ずに、されるがままになっていた。
しばらくして、目を開けると、見慣れた天井が見えた。
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