第7話 混乱
「テスト開始!」
その掛け声と同時にテストは始まった。
試験時間は150分。問題は合計で10題。200点満点のテストだ。
このうち自分の得意範囲である数学や理科の理系科目の大問はたったの4題。圧倒的に不利な状況下で考え出したのが、この眼鏡である。東矢の部屋にあるパソコンにつながっており、眼鏡についてるスキャナーが問題を自動解析してPCに転送、その後PCが回答を作成し、眼鏡に反映するというものだ。しかしこのシステムには欠点がある。それはこの学校のセキュリティだ。東矢がこの学校のインターネットを乗っ取れるとはいえ、この学校から外部に直接データを飛ばすことはできない仕組みになっている。なぜかは知らないが。そのため眼鏡から妨害電波の弱いところにある中継器を使用してPCにデータを怒らなくてはいけないのだ。その中継器はバッテリー駆動で大体100分程度が限界だそうだ。つまりタイムリミットは100分で、その中で解き切らなくてはならない。
(それにしてもあいつの解く速度は異常だ。まだ10分しか立ってたっていないというのに今解いてるのはだいたい大問3か)
西川紫園、彼女のことを調べてみた。彼女はグループ会社の中でも4帝と呼ばれる利益を多く出している会社の一人娘だ。子供のころから英才教育を受けてきたのだろう。でもなぜ僕に挑戦なんてしてきたのだろうか?、、、そういえば彼女の声どこかで聞いたような、、
「おい川谷、起きろ!テスト中だぞ!」
その先生の声で僕は飛び起きた。
「ずいぶん余裕じゃねえか。まさかカンニングでもしてるんじゃないだろうね。」
「いえ、決してそんなことはしてませんよ。僕にそんな度胸なんてありませんし。」
ないわけではないが、こんなリスクは普段なら絶対しないだろう。
「残り100分だ。せいぜいがんばれよ。」
僕がうつつをぬかしてるうちに50分も過ぎたってことか。
それよりも現在の転送状況はっと。
【現在解答を転送中。25%…】
すでに解答は受信できていたのか。残り時間は大体50分か。早く書いてかないと終わんないな。その時だった。
【転送中にエラーが発生したため35%の解答しか転送できておりません。】
(まずいな、まだ半分も解答が転送できていないしバッテリーの限界の100分になってないのになんでだろう。)
正直焦っていたが、もっと焦っているのは東矢の方だろう。何かあったらエラーは東矢のほうだろう。何かあったら対応すると言っていたし、頼んだぞ東矢!
ー一方そのころー
(大問題だ。なぜエラーが発生したんだ?ここには中継器との接続が遮断されたと書いてあるが、たったの100Mだぞ。なんで接続できないなんてことがあるんだ?)
中継器は万が一のことを考えて教室から一番近い男子トイレの個室においてある。基本的にはだれも気づかないような場所に設置されている。まず誰かがいじるなんてことはないだろう。どちらにしろ行って確かめる必要がある。
「先生!トイレに行ってきます。」
タイムリミットはバッテリーの限界の残り20分だ。それまでに何としても復旧しなければ。東矢は急いでトイレの個室に向かった。そこにあったのは特段誰もいじった痕跡のない
中継器だった。
(なんで接続ができないんだ?PCからデータは転送できているようだけども)
東矢はおもむろに中継器の通信周波数を変更した。すると、、、
【接続に成功しました。データの転送を再開します。】
「ふう、何とかなったな。でもなんで周波数をいじったらつながるようになったんだ?」
その時だった。
「何が何とかなったの?上ヶ谷東矢君。」
ダイモスの奇跡 九官鳥 @kyuukancyou01
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