第6話 逆転劇(下)
東矢と僕が作ったこのメガネは非常に単純な作りをしている。メガネの中に埋め込まれたカメラが見ている問題を撮影し、東矢の部屋にあるPCに送る。送られた問題を東矢が作ったAIが解き、回答をこのメガネに送信する、という作りになっている。ここで問題になってくるのはメガネとPCが直接接続することがてきないことだ。単純に東矢の部屋と教室は離れていて仲介がないと繋がらないのだ。これは相当めんどくさくて…
「おい、何ぼーとしてんだ?」
「あ」
話しかけてきたのはうちの担任の西本先生だ。非常に教育熱心らしく生徒からの信頼も厚いそうだ。
「今日のテスト大丈夫か?この様子だと徹夜して勉強したな?徹夜は体に悪いからやめた方がいいぞ!」
「はい」
僕はこういった教師が苦手だ。正直めんどくさい。今日は眠さも相まってより一層だ。
「クラスの前に人溜まりができてるな。何があったんだ?」
クラスの前にいくとそこにはテスト様式の変更、と書かれた紙があった。どうやら5教科のテストを受けるのではなく、すべての教科を1つに統合してテストを行うらしい。これは不得意な科目で大きな失点をしなくてすむ一方、東矢の作ったシステムには不利だ。
でもどうしてこんな変更を学校は行ったんだ?
「こんなテストなら、対策をかえればよかったなぁ」
「これじゃあテクと対策のしようがないじゃないか」
こんな話が学校ではそこらで耳にする。生徒の批判も買うし、採点も面倒だ。なんのメリットがあるのだろうか。とりあえず東矢に伝えないと。
「東矢に伝えないといけないことがある。」
「なんだ改まって。テストの様式が変更されたって言う話だろ?もう知っているし今全力で修正を加えてるから待ってろ。」
「さすがだな東矢。おまえはテストは大丈夫なのか?」
「無難にといて平均点くらいはとるさ。」
そうだ。こいつ頭いいんだった。
そんなこともしつつ、ついにテスト開始時刻となった。緊張はしているがこのメガネがあればなんの問題もないだろう。これで満点をとって下克上だ!
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