第2話 波乱の予感
世の中思った通りに話は進まないものなのである。
それはたいていどの場所や場合にも適応する。今回はそれがたまたま入学式であっただけだ。
「なんだこれ、、、」
入学式の会場である講堂では僕たちの予想していなかった光景が広がっていた。講堂の中ではまるで今までみんな同じ学校にいたかのようににぎわっていた。
「やっぱり僕ら田舎もんが入る隙はなさそうだな、、、」
「また友達出来まいじまいで学生生活終わるんかな、、、」
僕らの出身は誰もが認める田舎の鳥取県だ。そう、半世紀以上も人口最下位の座に座り続けている県である。講堂の中は主に現新京に住んでる奴らと、大阪に住んでる関西勢、そしてどの輪にも入ることのできていない僕らのような田舎勢がいた。
「俺の高校入ってすぐカノジョ作るって夢が、、、」
「それは第一かなわないだろw?」
「そんなつれないこと言うなって忍、、、」
ただこの状況は田舎から引っ越してきた僕らにとってはしょうしょきついものがある。明らかにこのグループの中に溶け込んでいくのは不可能だ。可能でも相当な時間を要することだろう。
「はぁ、どうしたものかねえ、、、」
「大丈夫だって。きっと俺らなら友達100人ぐらいすぐできちゃうって!」
「俺にはお前のその発言がフラグにしか感じないわ、、、」
「おい忍!こんなこと話してたらもう入学式始まっちまうぞ!早く席に着こうぜ!」
「まあそうだな、、、」
この後の学園生活に気がかりを残したまま僕らは入学式の会場である講堂の席に腰を下ろした。そしておもむろに配布されたしおりを開いた。
[正直校長の話とか新入生の挨拶とか聞いてても面白くないからなあ、、、]
しおりに目を通しているとそこに見かけたことのある名前があった。
[これは、、、母さんの名前じゃないか!]
確かにうちの母親もグループの人間だけどまさかこの学校が変わってるとは思いもしなかった。しかも母の担当はAIシステムの担当だったのだ。僕はなぜ自分がこの学校に招待されたかわかったような気がした。
[僕一人じゃなくて東矢まで招待してくれるとは母さんも気が利くなあ、、、]
久しぶりに見た母さんの名前を見て考えを膨らませているうちに入学式はあっという間に終わってしまった。
「忍、大丈夫か?ずいぶんボーとしてたけどそんなに校長の話つまんなかったか?」
「まあ大体そんなところ」
ここでうちの母親がこの学校にかかわっていてグループの幹部だなんてことが知れ渡ったらそれこそ学園生活に影響しかねない。ここは東矢にも一応黙っておこう。
ここから波乱の学園生活が始まりそうだ、、、
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