歓楽の座、シグマット

 皆様方は商業の街というと何を思い浮かべます?

 大きな店が立ち並ぶ商店街?賑わって一杯の大通り?ちょっと暗い食べ物屋さんが電灯に照らされ、看板が所狭しと並んでまして。そんなごちゃついた面白さ?

 ご安心を。今日私が来た、このシグマットはまさにそういう場所ですとも。


 お酒に酔ったように混雑に流され、見上げると夜空がとても小さくて。そんな景色もほどほどに私は周囲を望きます。お腹が空きました。考えてみれば列車でサンドイッチを買って食べたくらいですしね。


 一軒のお店が目に留まりました。煌びやかな町の中で木色の、ひと際素朴なスパゲッティ屋さんです。入ると意外と店内が広く、暗い照明の大人っぽい色気がありまして。木のテーブルにコトンと、トマトのスパゲッティ。口に入れればしびれるようなトマトの味と、ねっとりしたチーズの美味しさが堪りません。何でこんなに美味しいんです?


 満足してがやがやとした道に戻ります。店を出てからもお団子とたこ焼きを買ってしまいました。これは宿についてからのお夜食。よくばりひつじです、楽しいですね!


 お宿の話もしちゃいましょう。まずは外から見ていきますと、横に銭湯、1階はバーになっていて泊まる日は半額。これは嬉しかったことなんですが、銭湯に大きな温風器がありました。ぺたんこになった羊毛もこれで大丈夫。

 青い鍵を回して入りますと、お部屋は存外大きいです。2人はいるくらいのめちゃでかベット、すごい立派な洗面台!こんなの初めて見ましたが、一番驚いたのは部屋の隅の黒い機械!スイッチを入れると何やら人の声、ラジオって言うものなのだそう、一体どんな魔法を使っているのです?


 静かなバイオリンの音を聞きながら、お夜食を食べましょう。

 たこ焼きにマヨネーズをぶちまけ、電気質なクラシック音楽を聴きながら、管下に明るい該当と人や獣人の往来を見下ろし、ぱくり。


 お星さまがキラキラとしています。なんて幸せなんでしょう。


 深夜ですね、お団子も食べます。もちもちです、じんわりと体が温かくなる感覚がします。


 ここらでひつじはお眠です。旅の1日目、ここらで終えると致しましょう。皆さん、良い夜を。



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