4.彼と僕
家の外で見失ったかと思われた半魚人は、少し歩いたところにできた直径三メートル、深さ二メートルほどの穴の底で倒れ伏していた。声を掛けても返事がないため、魔界特有の長い木の枝を立てかけてジョシュは穴の中へ降り立った。
そして、ジョシュはすすり泣く声に気付いた。
「なんだよ。何しに来たんだよ」
半魚人は不満そういった。魔人も人間も、泣いていると声が鼻声になるんだなあとジョシュは思った。
「質問があったんだけど、その前に助けなきゃいけないね」
「なんだよ。質問だけ言え」
半魚人はうずくまったままそういった。
「君は、僕のこと、何か知らない?」
「なんのことだ。知るわけないだろ」
「そっか。じゃあ、僕みたいな種族、魔界で見たことない?」
ジョシュがそう訊ねると、半魚人は少し起き上がって、まじまじとジョシュを見つめた。
「見たことないな。自動人形って聞いてたけど、よく見ると角なしの有角人みたいだ」不審そうに半魚人は言う。
「実は、ホムンクルスっていうらしいんだけど、何か知らない?」ズィーには止められていたが、ついジョシュはそう口走った。
「いや、全然知らない。まさかお前も希少種族か?」
そういったあと、あ、と半魚人は口をふさいだ。
「希少種族って言うか、僕は自分を人間っていう種族だと思ってるんだけど、ごめん、忘れて」
ジョシュは話を切ることにした。そして、シロムーを抜いて先を歩く。
「いや、ダメだ」
だが、シロムーはそう言ってジョシュの肩を掴んで止めた。
「詳しく聞かせてほしい」
シロムーは強くそういった。
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