第62話 激突 最恐 VS 最強 開戦――『五曲目 ストーリー part2』
―― ~♪ 奇跡を起こす英雄 今こそ立ち上がれ♪
既に世界滅亡のカウントダウンは始まっており、もうその引き金は朱音にしか止められない。
紅が朱音に押し勝てば世界が崩壊し、朱音に負ければ世界が平和になるかもしれない。もしかしたらその結果によっては人生が終焉を迎える人もいるだろうし、その反対で豊かになる人もいるかもしれない。
そんな二つに一つの選択肢は半ば強制的に答え合わせの時間を迎える。
朱音が正面に手を向けて。
「全砲門照準はメールちゃん! 撃てぇえええええ!!!」
叫んだ。その言葉を合図に激しい撃ち合いが始まり、
「エネルギー急速充填完了。超電磁インパクト弾発射!!!」
「一番から九番までの自動調整全て完了。狙いは要塞の主朱音! 全弾発射!!!」
合計四基の超電磁砲が氷の砲弾と衝突して激しい光と衝撃波を生む。
氷の弾丸は雨が天に向かうようにして激しい豪雨となってまず初めに壁役の神災狐たちへと飛んでいく。だけど「高性能かつ反動が少ないガトリング砲は無敵だぜ!」とイエローの言葉通り同じく天から降り注ぐ死の豪雨となって鉄の雨を降らして相殺していく。
お互いの主砲戦においても一見互角に見えた。
エリカの技術力が紅を支える。
だけどMPポーションを使う余裕がある朱音と自力ではそれすら出来ないブルーとイエローの差はそこにあった。
こんな時でも脳内で音楽が流れる。
まるでブルーとイエローそしてメールの熱い思いを紡いだように。
音楽が紅を護ってくれる。
そして皆が紅を護る。
―― ~♪ 長い時の狭間で人は希望がないと嘆く♪
急いで後方支援に入ろうとするレッドだったが、二人に止められる。
「止めろ!」
「来るな!」
「えっ!? どうして? このままだと弾薬が空に……」
「違う! メールが今作っているソレと天がもたらす恵はもうすぐで完成する! そうなればお前自身回復する手段が後半必ず必要になるはずだ!」
「だからその時までそれはとっておけ! 回復アイテムについては持ち込み制限があるし、この戦いにおいては最後の一つが命運を分ける結果になるかもしれねぇから!」
「わ、わかった……」
ブルーとイエローの言葉を尊重した紅は最後まで二人のMPが持つことを願った。
しばらくして激しい戦いは二体の壁役を失い丸裸となったメールが危険に陥ったタイミングで終わりを迎えた。
「これで終わりよ!」
「悪いけど私は負けないよ!」
メールは飛んでくる氷弾に向かって自ら向かって飛んでいく。
近づく度に身体からあふれ出る鮮血が空中に舞う。
「お兄ちゃん来ないで! 早く空に逃げて!」
歯を食いしばって助けることはせずに少しでも高い所に逃げる紅。
―― ~♪ 私の鼓動が続く限り希望の灯は消えない♪
「ママぁ! これで終わりだよ!!!」
メールは血だらけになっていた。
既に左腕を失い、綺麗な肌は傷だらけで見るに堪えない。
銃弾が右目を直撃して潰れている。
それでも希望を後に託すために死に物狂いで朱音のMPを少しでも奪うために近づき紅が逃げる時間稼ぎと後々のアドバンテージ作りにその身を持って務める。
メールが背中に抱えた巨大な水の塊は地面を完全に多い、海を作れなくした朱音に一死報いるための爆弾。
「悪いけどそれ自体を凍らせれば問題ないわ。私に近づいたせいでソレ無意味になったわね」
「違う! 無駄なんかじゃない! 私はお兄ちゃんの召喚獣!」
「うん? でもほらぁもう半分凍っているわよ?」
「関係ないよ! 私は海の女王! 氷は無理でも水なら操れるから!」
メールが最後の力を使い水の塊から水の触手を出現させて朱音に攻撃した。
だけど氷の触手がそれを防いでしまう。
水の触手はそのまま散開して散っていく。そして本体となる塊は予め中に爆弾を仕込んでいた様に大爆発を起こして朱音の頭上で滝のように地面に向かって落ちた。
「これだけの至近距離での高圧水なら生身の人間では耐えれないよね? それともし生き残ってもお兄ちゃんの十八番でもある超新星爆発がママを襲う! これでチェックメイトだよ!」
メールは撃たれた死に際に遺言を残して光の粒子となって消えていく。
だけど攻撃は止まらない。
朱音は何かを叫び全てのMPを消費した。
瞬間、地上では大爆発と同時に眩しい光が発生し衝撃波が全てを吹き飛ばした。
――。
―ザザッ ― ザッザザッ――。
ザ― ――ザザッザ ―。
大量の水が一瞬にして先ほどの爆発熱によって蒸発しフィールド全体を覆う水蒸気となってプレイヤーの臓器に影響を及ぼす。まるで広範囲型のサウナにいるような息苦しさの中で向かい合う二人はとても息苦しそう。
肺が苦しい痛みに身体がなれるまで二人は動こうとすらしない。
両者は十五メートル先にいる相手をただ見つめ合うだけ。
口も動かさない。
動かして体内の貴重な酸素を失うわけにはいかないからだ。
黒い大地には元が森林フィールドとは思えない光景しか待っていなかった。
所々にあった大きな岩は全て消し飛び、巨大なクレーターが先ほどの爆発の大きさを表す。空の天候は相変わらず不安定で地面は炎で燃えている。
残りの酸素は限られたことから、二人の戦いはクライマックスへと向かう。
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