第7話 もう一個、ヤバげなやつを


 目はあか

 関折かんせつ多き動物が

 のごとく群れて脳をはねあるく。



 これは気もちわるい。

 いやだよこれ。

 ホラーだよ。

 なお、「関」は原文のままで、これがいっそう不気味さを増していますが、単純に「関節」の誤記の可能性もあります。

 その「動物」としてどんな「動物」を考えるかにもよるけど、そんなのが、汚水にはびこる藻のようにかたまって脳をはねあるく、って……。

 中島らもの初期の小説に「頭の中がカユいんだ」という作品があるらしい。私は未読で、筒井康隆先生の本で知りました。やっぱりサイケっぽい小説のようです。この歌はそれに迫る感覚があります。なお「Itch In My Brain」(「脳のなかのカユさ」)というのはアメリカのバンド「ユートピア」の曲でもあります。

 賢治の病気のときの幻想というのは独特なものがあって、このずっと後には「丁丁丁丁丁」という、これまた謎っぽい詩を書いたりするのだけれど。

 いや、それにしても、だいじょうぶか?

 これも、下の句字余り連発「八‐八」で読むよりは、「藻のごとく/群れて/脳を/はねあるく」で切って「五‐三‐三‐五」で読むほうがいいのかも知れません。

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