第6話 さてどんどんヤバくなっていきます


 わがあたま

 ときどきわれに

 ことなれる

 つめたき天を見しむることあり



 「私の頭はときどき私に異世界の冷たい天を見させることがある」。

 ……いやアブナイ。

 いや。

 「ときどき異世界が見えるんだよっ!」と、現代の若者が主張しても「中○病」とか言われてしまうのがオチでしょう。

 または。

 「異世界見えるの? じゃあ、「カクヨム」に書いたら? ちょうど「カドカワ読書タイム短編児童小説コンテスト」で「異世界転移」の児童向けファンタジー小説募集してるよ(6月4日まで)。大賞10万円だよ! 応募してみたら?」

……と。

 けど、これ百年前ですよ。

 テレビをつけたら異世界アニメをやっているとか、「カクヨム」を開いたら異世界ものの小説がいっぱい載ってるとか、そんな時代ではぜんぜんないわけですよ。

 その時代にこの想像力というのは、すなおに、すごいな、と思います。

 じっさい、賢治は、病に倒れて、死の恐怖におびえている時期に、「異世界‐異単元たんげん(異次元)」と書いたメモを残していたりするのです。

 この想像力、そして創造力は、すごいと思います。

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