第140話 花が枯れた


風が吹いている

じっとり湿り気を帯びて

その匂いを嗅ぎ分けながら

私は知る

今、花が枯れた

様々な思いを秘めたまま

くたりと項垂れ

もう息もしていない

こぼれた花びらは

無惨に踏みつけられた

じわりと滲んだ

血のような赤色

今、花が枯れた

次の蕾へと願いを託して

残された葉だけが風に

ふるふると揺れた

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