露に濡れ 霞晴れれば 空に溶け 共に在りたい 勿忘草(わすれなぐさ)

死は誰にでも平等に訪れる

けれど

死は平等に訪れるわけじゃない


生きたいと望んでも

生きる事に希望がなくても

どれだけ未来に夢を見てても

どれだけ今に絶望してても


死は誰にでも平等に訪れる

けれど

与えられた時は平等じゃない



君と生きたいと

君も生きたいと


互いに望み

想い合ってても


それを容易に引き裂いてく


代わりの死を望んでも

どれほど願っても


それを容易に裏切っていく


やがて君を濡らす露が

葉先から流れ落ちて


またいつかのように

霧の晴れたような青空が

そこに輝く時が訪れても


君の心は

きっとその空の向こう側に

目の前に広がる海の果てに

溶けてしまっているだろう


それほど強い絆で結ばれていることを

羨ましく思うから


いつか不平等な死が

君と僕を裂くその日まで

僕は残された野に咲く

小さな青い花を見守るよ


青い空の色を写し取ったような

この小さな青い花を

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る