第2話蝶と一緒に
「アンジュ!ただいま」
僕は彼女の頭をなでる。
蝶は僕の肩で羽を休めている。蝶って懐くのだろうか。
「アンジュへの通知を僕に共有してくれないかい?」
『はい、ライトさん。NAME:アンジュへの通知をNAME:ライトに共有します』
これでアンジュに何かあれば僕が知れる。
「アンジュ、ごめん。またここを離れるよ。ほら、どうせついてくるんだろ?」
小さな友達に声をかけると、案の定ついてきた。
「はは。お前さんホント面白いな」
倒れたビルの奥へ歩みを進める。そこには木々が生い茂っており、魔界への入り口のようだった。
緊張する心を落ち着かせ、僕は木々の隙間をくぐった。
「薄暗い……それに狭いな」
閉所恐怖症殺しなその空間は決して居心地はよくなかった。
『一件の通知』
「おわぁ!!」
いきなり頭の中に響いた音声にすっとんきょうな声をあげてしまった。
「通知って……!」
期待に胸を膨らませ内容を確認する。
僕は言葉を失った。
『NAME:アンジュのバックアップデータが見つかりました。復元しますか?』
僕は喋れなかった。喜びで声を上げることもできなかった。
僕の心に渦巻く「安堵」と「歓喜」のキャパが限界にまで跳ね上がっていた。
ガサガサと音を立てながら必死に森を抜け、友達のことも忘れてアンジュの元へ走る。
僕は叫んだ。
「アンジュ!!」
愛する者の名前を。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます