第8話 災いを転じて福となす

 宣託市内某所。鮫瓦と影里は上司に命じられていた。

「心霊現象の力が強まっている。直ちに、その原因を追究せよ。」

「確かに反応は強くなっています。しかし、その原因を追究するとなると、反応を追うだけでは無理があるかと存じます。」

「そうだ。先日、又と名乗る探偵に会ったと思うが、彼に協力を要請する。」

「それは何故ですか?」

「彼は心霊現象を多く扱う、いわば心霊探偵だ。彼の協力があれば、捜査は格段に進展すると考える。従って、二人は再び探偵事務所を訪れ、彼に協力を要請してくれ。」

鮫瓦と影里は又探偵事務所に向かった。

「鮫瓦さん、明らかに嫌そうですね。」

「ああ?そう見えるか。我慢しても表に出ちまうわけだ。どうも奴と俺は犬猿の仲らしい。」

「そうだとしても又探偵は僕たちの仲間になる人です。もうすぐ着きます。くれぐれも変な事言わないでくださいね。」

鮫瓦と影里は又探偵事務所の中に入った。

「邪魔する。」

「邪魔するなら帰れ。」

「ああ?邪魔するっていうのは挨拶だ。挨拶した奴に帰れっていうのか?」

「何だ?邪魔するということは特に依頼もないが何か用件があるという時に言う。私は依頼がないなら来るなと言ったはずだ。」

「何だと?」

「鮫瓦さん。言ったじゃないですか。この人は僕たちの仲間になる人ですから。」

「この男を仲間に要請?上司もきついことをおっしゃる。」

「私はお断りだ。私が仲間になるのは依頼者だけだ。」

「頑固野郎だ。」

「サングラスにペロペロキャンデー。変わらないあなたも頑固野郎だろう。」

又次郎丸と鮫瓦が睨み合った。

「ちょっと2人とも。仲間同士で睨み合ってたら、霊に乗り移られたとき対処できませんよ。」

「霊が乗り移ったら、本気でやり合える。」

「私も心霊現象を自らが体験できるとなったら本気で試したいところだ。」

「もう。2人とも本当に頑固野郎ですね。だったら、一回乗り移られればいいです!」

その時、強力な二つの霊が、次郎丸と鮫瓦に乗り移った。

「く、何だ、これは!?体の自由が効かない・・・」

「うわああ!!」

髪が荒々しく逆立つ風神と雷神のような気迫を纏った次郎丸と鮫瓦は髪がないので逆立つことはないが先程よりも激しく睨み合った。

「「貴様を倒す」」

とてつもない衝撃とともに、二人は消え去った。

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