第6話 焼け石に水
宣託市内某所。深夜。少年が金縛りにより、うなされていた。
「う、う」
その傍らにいた少女の霊が呟いた。
「あなたがいけないのよ。」
翌朝、少年は一睡も出来ておらず、目にクマが出来ていた。なぜなら、一週間ずっと一睡も出来ない日々が続いていたからだった。そして、少年は倒れた。
「それで、私に依頼をしてきたわけですね。」
又探偵事務所に少年が来ていた。
「君、何か心当たりはないかな。」
「僕は特に何も。ただ1つ、金縛りの間に同い年くらいの女の子がいました。」
又次郎丸は、少年について情報を得た。少年は、宣託市内の学校に通う学生で、勉学や運動は標準並みで、交友関係も人並みだった。特別に目立つところのないごく普通の少年だった。
「君の言う通り、特に何も変わったところはない。だからこそ、君だったのかもしれない。」
「どういうことですか。」
「推測だが、これは君に思いを寄せる者が起こしたと考えられる。本来、金縛りは心霊現象ではなく、一種の麻痺症状だ。君が見た少女は夢の中で見たことになる。しかし、ここ最近、私は心霊現象を解決する依頼が多い。仮に、金縛りを心霊現象とすると、最初の推測に辿り着くわけだ。おそらく霊感の強い者が君の近くにいるはずだ。」
「僕はどうすれば?」
「また金縛りがあったときに答えてあげればいい。」
その夜、少年は金縛りによりうなされた。
「う、う」
少年の傍に少女がいた。少女を見て驚いた。
「君は、同じクラスの畑神さん!?」
「ふふ。未開くん。やっと気づいた。」
「どうして?」
「教えてあげたかったから。もうすぐ大きな事が起きる。その前にあなたには逃げてほしい。」
「逃げるってどこへ?」
「とりあえず、この家を出て。」
「そんなこと言われても。」
「すでに他の階の人は去ったわ。」
「僕だけじゃなかったの?」
「警告はしたから。」
少女は、まるで本物の霊のように消え去った。次の日の夜、少年がうなされていた。
「う、うわーーー!!」
団地の中の少年の住む部屋からとてつもない光が発せられた。その後、とてつもない炎とともに少年が飛び出した。
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