第3話 灯台下暗し

 二人の警官、鮫瓦と影里は廃工場にいた。

「新しい反応はここですね。」

「ああ。」

二人は廃工場の中を慎重に進んだ。その時、四方八方に気配を感じた。

「鮫瓦さん。囲まれてます。」

「ああ。反応も一つじゃない。」

二人が警戒していた時、頭上から古びたパイプが落ちてきた。咄嗟に、二人は避けたが、離れ離れになってしまった。影里は起き上がると、銃を構え、慎重に進んだ。その時、影から敵が姿を現した。

「我を捕らえられるかな?」

影里が銃を発砲し、敵に命中した。しかし、敵は別の場所から現れた。

「一体どうなってる?」

驚く影里に、敵は嘲笑して言った。

「撃ったのは我の分身だ。我の実体は一つ。さて、見破れるかな?それとも、その前に死ぬかな?」

そこに、鮫瓦が現れた。

「鮫瓦さん!どこに行ったかと思いましたよ!」

鮫瓦は答えず、銃を構えた。

「見破れなかったな。」

「まさか、鮫瓦さんが・・・。」

その時、分かれた線状の体が集まり、成年男性が現れ、鮫瓦の銃を蹴った。

「しまった!もう一人いたとはな。一度出直そう。」

鮫瓦が意識を失い、倒れるのを影里が支えた。

「鮫瓦さん!しっかりしてください!」

成年男性はそれを見て去ろうとした。

「君。君は一体誰だ?」

「僕はオカルト。心霊現象を追うことが趣味の会社員です。」

オカルトという成年男性は線状に分かれ、消滅した。その後、影里は出来事を鮫瓦に報告した。

「そんなことが。オカルトか。そいつも気になるが、心霊現象の方だ。俺としたことが不覚を取った。次は逃がさねえ。」

鮫瓦はペロペロキャンデーを噛み、棒の部分を吐き捨てた。

「待ってください。」

影里は棒を拾って、後を追いかけた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る