王と王女
「何!『癒しの家』が暴漢に襲われただと」
「はい、ですがフィザリス王女がご自分の身分を明かして制圧し、ディーンの配置していた兵が捕まえたそうです。王女様にも『癒しの家』の者にも怪我はなかったと」
「そうか、それは良かった。フィザリスが帰ってきたらすぐここに来るように伝えてくれ」
「承知いたしました」侍従はそう言うと部屋を出て行った。
王女とディーンはしばらくして帰ってきた。
「王女様、町であったことで王様がお待ちです。帰ったらすぐ来るようにと」
「解ったわ。私もそのつもりだったし、馬の世話お願いね」
王女は馬を降りるとディーンと王の待つ部屋に向かった。部屋の前に着くと
「お父様戻りました」と声を掛けた。
「
「『癒しの家』であったことでご心配かけて申し訳ありません。ディーンが兵を配置しておりましたので、誰にもけがはありませんでした」
「そう聞いている、フィザリス身分を明かしたそうだな」
「はい、そうしないと収まりが付かないようでしたので」
「そうか、いずれ『癒しの家』はフィザリスの発案であることを公示するつもりであったが自分から話したか。これで手を出す者もいなくなるだろう」
「これからは視察の名目で伴を連れて見に行こうかと思っています。『癒しの家』が王族の管轄にあることを示そうかと」
「そうだな、そうした方がいい。公示の方もいずれ行う。ディーンこれからも手配頼むぞ」
「はい、承知いたしました」
「とにかく、みな怪我が無くてなによりだ、『癒しの家』の用意は進んでいるのか」
「はい、ナターシャが良くやってくれています。あと少しで活動できると思います」
「そうか、民の為お前が発案したものだ、出来る限り援助する。帰ってすぐ呼び出してすまなかった。ゆっくり休むがいい」
「ありがとうございます、それでは失礼します」フィザリスとディーンは部屋を出て行った。
一人部屋に残された王は王女の成長を好ましく思った。王族としての自覚と
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